■三鷹08 第一赤道儀室

■所在地…大沢2丁目 国立天文台構内
■建築年次…大正10(1921)年
■設計…東京帝国大学営繕課
■構造…鉄筋コンクリート造
■規模…2F
■用途…観測所

三鷹天文台構内で現存最古の建築物で、1Fが倉庫、2Fが口径20pの屈折望遠鏡を設置した観測室となっている。観測室内を数歩で回れるほどの小さな建物だが、装飾が少なく機能性がそのまま形になった姿をしている。望遠鏡の操作は、錘が落下する重力によるもので、最長約1時間半の天体追尾が可能。昭和14(1939)年から60年間、スケッチによる太陽黒点の観察が行われた。90年経った今日でも使用することができ、大正期の天文科学に対する期待を、最もシンプルな形で今に伝える建物である。(斉藤)

■三鷹07 大赤道儀室(天文台歴史館)

■所在地…大沢2丁目 国立天文台構内
■建築年次…大正15(1926)年
■設計…東京帝国大学営繕課
■規模…2F
■構造…鉄筋コンクリート造
■用途…観測所

地面からの高さが19.5m、ドーム直径が15mもある巨大な天文観測室。2Fには日本最大の口径(65cm)を誇る屈折望遠鏡が在り、1998年まで星の位置観測が行われていた。望遠鏡を包み込む高く大きな半球の天井は圧倒的で、そのまま天球を思わせる。そのドームの屋根は、造船技師の船底を作る技術を借りて作られたという。また2Fの床は観測床としてエレベーター式に上下する。巨大な望遠鏡、それを包み込む圧倒的なドーム、天文観測のために時代の様々な技術が活用された建物となっている。(斉藤)

■三鷹06 国際基督教大学高風居

■所在地…大沢3丁目 国際基督教大学泰山荘内
■建築年代…明治19(1986)年
■設計者…不明
■構造…木造
■用途…書斎・茶室

実業家・山田敬亮の別荘「泰山荘」の核である建物。幕末の探検家松浦武四郎により、全国の著名な神社仏閣から寄贈を受けた柱、壁板などの部材を使って、部屋が1 畳分の広さしかない「一畳敷」の書斎がつくり上げられた。贅沢だが小さくまとまる、数奇屋の精神性を反映しているように思える。後に徳川頼倫の手に渡り高風居の一室となる。失われてもおかしくない流転が繰り返された中で、野川畔のはけの森の中に現在もひっそりと建っている。(森田)

■三鷹03 天命反転住宅

■所在地…大沢2丁目
■建築年次…平成17(2005)年
■設計者…荒川修作
■規模…地上3F
■構造…鉄筋コンクリート造
■用途…集合住宅

「天命反転」=与えられた環境を当たり前だと思わず過ごすことで、不可能と思っていたことが可能になるかもしれない、そういう思いをこめて名前付けられた住宅。球や円筒、立方体が積み重なった形をし、床は傾いたり凸凹だったりと、眠っている様々な感覚を身体に呼び起こさせるこの住宅は、忌避してきたこれらの要素を用いて現代の豊かさの再考を問いている。空間が本来持っている原始的力、始原性、そんなことを考えさせられる建物である。(遠藤)

■三鷹02 国立天文台アインシュタイン塔

■所在地…大沢2丁目 国立天文台構内
■建築年次…1929年
■設計…東京帝国大学営繕課
■規模…5F
■構造…鉄筋コンクリート造
■用途…天文台

国立天文台構内の奥の木立に囲まれてひっそりと立っている。アインシュタインの相対性理論を検証するために建てられた5階建ての、建物全体が望遠鏡のような建物。塔が筒の役割を果たし、太陽を観察する。入口や庇、屋上のバルコニーに曲線をとり入れ、幾何的なユニークな形となっている。また職人技の残る時代の反映か、外壁のタイルは焼きむらによる色の違いを巧みに組み合わせている。(森田)

■三鷹01 ルーテル学院大学チャペル

■所在地…大沢3丁目 ルーテル学院内
■建築年次…1969年
■設計者…村野藤吾
■規模…2F
■構造…鉄筋コンクリート造
■用途…チャペル

設計者の村野藤吾は、このチャペルは大地の中から生まれ出てきたかのように建てたと言う。その言を証するようにチャペル背面のモルタル壁の根元は、まるで土からモルタルが湧き出たようにごつごつと打ち込まれている。最大の特徴は内法が低く抑えられていること。それが建物全体をまるで茶室のように覆い尽くしている。垂直線が強調されたチャペルは開口部が低く抑えられ、縦横に走るスリットはあくまで繊細なものである。
(長坂)

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