
建築家の、水谷俊博、小池啓介が担当する、大学院修士課程 1 年後期の設計演習の授業です。専
門性の高い建築の提案をおこなうことにより、実施設計のトレーニングをおこなうとともに、新
しい建築のあり方を考察します。課題は、三鷹駅前の文化施設「武蔵野芸能劇場」の敷地に新た
に劇場を計画する、というものです。建築のソフトやプログラムの検討等の詳細な分析をふまえ
実現性、及び提案性を十分に有した建築空間を計画・提案していくことが求められます。授業内
において、適宜、構造設計を田中正史、設備設計を金政秀の両教員が、アドバイス・指導をおこない、
設計・計画を充実させていきます。
2023 年度は最終成果の発表として、1/17 に最終講評会(設計クリティーク)を開催しました。
(水谷俊博)
三鷹駅北側に位置する武蔵野芸能劇場。武蔵野市立武蔵野芸能劇場条例第 1 条に定められている
通り、郷土の古典芸能の保存、育成及び芸術文化の振興をはかることを目的に 1984 年に建設さ
れた。武蔵野市の公共施設であり、武蔵野文化事業団が施設の管理運営をおこなっている。施設
は伝統芸能の他、現代劇の利用も対応した 154 席の小劇場と、展示会や講演会に多目的に活用で
きる小ホールが設けられている。開館当時は、東京都無形文化財にも指定されている江戸糸あや
つり人形劇の公演の稼働率が高かったが、1990 年代以降は特に伝統芸能に特化しない演目が開
催されている傾向もみられる。築 50 年が視野に入ってくるこの施設を新たな「劇場的な場」と
して改築計画をおこなうことを課題とする。現代においては街と建築のつながりの重要性が叫ば
れて久しい。大学における設計課題でも都市への戦略をどうとらえてどう提案するのかというこ
とを求める課題も少なくない。そこで、今回の課題は建築と都市の関係をよりよいものとするた
めの建築の計画 ( 建築デザインを含めて ) を考えてもらいたい。ここで言う「劇場的な場」とい
うものは、既存の町にある一般的な劇場に限る必要はない。ただ、まちの人 ( 或いは、あなたで
も構わない ) がそのコミュニティ劇場でなんらかのモノ ( 文化活動やイベントや情報など ) を発信
できて、それを様々な人 ( もちろんあなたも含める ) が楽しめる仕組みを建築の中で構築しても
らいたい。
【必要機能(参考)】
・劇場的な場 : 演じる場所と観る場所をもつことを基本とする。
合計で 150 名程度の集客が可能なものとする。
( さまざまな規模の小劇場のコンプレックスも可能 )
・展示機能
・その他コンセプトに応じて必要機能を設ける
・その他トイレ、廊下、倉庫、機械室などの共用部
・駐車場、駐輪場は既存施設保有台数分を確保する。
「街の中の劇場的な場 - 武蔵野芸能劇場改築計画 -」
大学院 建築設計演習
指導教員:水谷俊博・金政秀・田中正史・小池啓介
工学研究科建築デザイン専攻修士課程
Advanced Design Studio 2
田代麻華
Mu No.20 2023
10
Mu No.20 2023
11