「可変的な天井の設えと室内の響き - 教室リノベーションの手法 -」
既存建築物の有効活用が求められる現代社会において、老朽化したキャンパスを再生するサステナブルなデザ
インは重要なテーマである。そこで、本研究では既存の教室をリノベーションする対象として、空間の印象形
成にとって重要な天井部に着目し、可変的な設えを制作した。その上で、特に視覚的に把握困難な音環境につ
いては、その影響を実測し検証した。
設えは、ボールト形状を基本として、フラット形状・ポッド形状へ変形し、立体的でリズミカルな視覚効果
を生み出した。また、音環境については、実用上の悪影響はなく、軟質ウレタンフォームを素材とした際に、
残響時間が明確に減少することで教室の音環境が改善された。
杉村照平
今年度の修士制作は、リノベーションの実践の中で浮かび上がった身近な問題を追求した成果で
す。教室という建築空間の中で、音の工学と空間のデザイン学を結びつけて答えを探していくと
いう姿勢には、「建築デザインを工学から芸術まで広範な領域にまたがる建築学の知見を統合する
術として位置付ける」という工学研究科建築デザイン専攻の設置理念が感じられます。(風袋宏幸)
修士制作
指導教員:風袋宏幸
工学研究科建築デザイン専攻修士課程
Graduate Diploma Project
Mu No.20 2023
8
Mu No.20 2023
9