
指導教員:太田裕通・奥村理絵・伊原慶・植木健一・井上岳
工学部建築デザイン学科 2 年
設計製図 2
三鷹市は全国の自治体に先駆けて SOHO(Small Oce/Home Oce)※1集積を推進した都
市としても知られており、三鷹駅周辺には三鷹市 SOHO パイロットオフィスや三鷹産業プラザ等
のビジネス・起業の支援拠点が多く存在している。また近隣に位置する武蔵野大学との関わりも
深く、駅南口の三鷹三菱ビルには武蔵野大学三鷹サテライト教室、北口の三鷹ビジネスパークに
は武蔵野大学アントレプレナーシップ学部の教員を中心に設立された「Musashino Valley」が設
立された。
こうした動きの背景には、産学・地域連携やイノベーションの拠点となるようなコモンズとして
の大学のあり方への期待がある。新しい価値やイノベーションが生まれるためには、誰もが気軽
にチャレンジできる土壌が必要であり、さまざまなジャンルの人々が出会い、交流する開かれた
場が必要である。また学生の本質的な学びや成長による創造性の底上げには、こうした場の長期
的視点での活動・運営へのアイデアが常に求められている。
そこで第1課題では三鷹駅南口の商店街エリアに位置する敷地を対象として、大学・地域・企業
が連携し新しい価値を生み出すための「地域共創の場」を考えてほしい。それは仕事や学習がで
きるワークスペースはもちろん、アイデアの交換や人々の交流を促す空間、展示やレクチャーと
いった人々が集まることができる空間などを含んだ、街とつながったような incubation ※ 2 拠
点を期待する。
現在、シェアオフィスやコワーキングスペース※3というと最低限の情報環境と画一的な机・椅
子とパーテーションが並ぶ無個性なものが多い。しかしここではまちで活動していることが身体
で感じ取られたり、その空間でしか味わえない体験ができたりするような建築を考えてほしい。
課題1「Urban Incubation Village」
新たな価値を生み出す地域共創の場
設計の基礎から応用へと展開していく、その途上に位置する 2 年生後期の必修科目です。建築図
面の表記法や CAD・3DCG の基本的知識の学修だけでなく、自身の作品を他者へ十分に伝える
ためのプレゼンテーションパネルと建築模型を期限内に完成させる総合的な技術力が求められま
す。第1課題では、「Urban Incubation Village」と題して三鷹駅南の商店街内に地域共創のため
の働く・交流する施設の設計、第2課題では「まちの学校/学びのまち」と題して地域と共にあ
るこれからの小学校の設計に挑戦します。どちらの課題も、現地での丁寧なフィールド・観察調
査を通して、この場所の文化的・環境的意味を読み取ることから始めること、機能的な要求に縛
られずに人間の認知や行為、交流の根本を考えて空間作りを行うこと、そして各学生がそれぞれ
紡いだ問題系にオリジナルな解答を提出することに重きを置いています。(太田裕通)
Design Studio 2
1. 藤田夏綺
2. 清宮悠
3. 村上輝星
Mu No.21 2024
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