指導教員:水谷俊博・小池啓介・瀬戸健似・御手洗龍・アリソン理恵
工学部建築デザイン学科 3
設計製図 4
5 人の建築家、水谷俊博、小池啓介、瀬戸健似、御手洗龍、アリソン理恵による「スタジオ制」
により授業が展開されます。スタジオマスターである建築家がスタジオ毎に異なる 2 つの設計課
題を提示します。前半の第 1 課題は 4 週間の小課題で、限られた時間内でコンセプトメイクから
プレゼンテーションまでをいかに構築していくかということが求められます。後半の第 2 課題は
10 週間の大課題。前半の小課題をふまえ、建築のソフトやプログラムの検討等をふまえ提案性を
十分に有した建築空間を計画していくことが求められます。学部の授業では最後におこなう設計
演習となり、卒業設計へつながる設計演習といえます。(水谷俊博)
小池スタジオ :①「公園のような」
        ②「まなびのある公園のような場所」
瀬戸スタジオ :①「新しいこどもの居場所」
        ②「学校の中の新しい場所」
アリソンスタジオ
:①「挨拶のきっかけ」
        ②「町のコモニング拠点」
御手洗スタジオ:①「アリスの家」
        ②「目の見えない5人のための集合住宅」
水谷スタジオ :①「空間創作 :『ジギー・スターダスト』
        ②「武蔵野市現代美術館」
小池スタジオ 課題 1
「公園のような」
まちには様々な目的をもった人々が集まります。友人に会うためであったり、ショッピングであったり、映画
を観るためであったり、食事であったりと。しかしながら多くの人はその目的をはたすと、まちにとどまるこ
となく別のどこかへと移っていきます。まちにはそれぞれの目的をはたす以外にゆったりとすごせる場所が少
ないように思います。そこで、とくに用事がなくとも気軽に訪れて、心地よく過ごすことのできる、「公園のよ
うな」場を計画してください。母親同士が子どもを遊ばせながらおしゃべりを楽しむ、学校帰りの子どもたち
や学生が勉強・談笑をする、コーヒーをのみながら買った本を読む、まち歩きや買い物の途中に休憩する、そ
んな思い思いにすごしつつ、ゆるやかに場と時間を共有できるような開放的な場所をつくってください。
高田明佳里 竹澤穂乃香
福永陽彩 薮原美槻
大森駿佑 齋藤桃稀
齋藤萌果 鳥居陽菜
Mu No.21 2024
46
Mu No.21 2024
47
瀬戸スタジオ 課題 1
「新しいこどもの居場所」
小学生のための「新しいこどもの居場所」を考えてみてください。異年齢同士や学区の異なるこどもたちが、学校、
学童、家にはできないことをしながら、1 人でも友達とでも好きに過ごせる場所です。勉強、読書、運動、工作、音楽、
カフェなど、どのようなスペースをつくってもかまわないし、ランドスケープと合わせて考えるのもかまいません。
低学年、高学年のどちらかだけを対象にしてもいいです。また、小学生が使わないときの利用(例えば日中は高齢
者が利用するなど)も提案してもかまいません。基本的には公共施設としますが、小学生が運営に関わるのもある
かもしれません。放課後あるいは休みの日にこどもたちが来たくなるような魅力的な場所を提案してください。
島直輝 高江柄雄基
高橋葵子 廣瀬すみれ
久原聡太 安味美波
大井美空 森本樹
アリソンスタジオ 課題 1
「挨拶のきっかけ」
ソーシャルイ ノベーションが起きやすい環境 = 近隣で他者と出会う機会を増やすこと」と、デザイン研究者の
Ezio Manzini はいう。
都市には一人になれる場所がたくさんある。それではだれかと知り合いたいとき、挨拶したいときはどこにいけば
よいのか ?
現代の日本の都市の中で、ちょっと立ち止まったり時間を過ごしても不自然でない、外の場所の仕組みとしつらえ
を考えてみてほしい。ちょっと立ち止まって何かを眺める、偶然居合わせた人と会釈する、といった程度でも良い
し、ご飯をたべるとか、仕事できるような場所でもよい。
現在の街の様子を観察して、そこにあるものを調整しながら、外で知らない人と挨拶ができるようなきっかけとな
る場所を設計してください。
林崎智之 榎本陽菜 
桐山慎生 田邉拓巳
森谷玲香 木澤花夏   
杉山陽菜乃    池田カルロス  
Mu No.21 2024
48
Mu No.21 2024
49
御手洗スタジオ 課題 1
「アリスの家」
数学者ルイス・キャロルによって描き出されている物語、「不思議の国のアリス」。その原理を深く読み込んでいく
と、この世界の本質には幾何学や物理現象をベースとしたダイナミズムが見え隠れしているように思えてならない。
冒頭のシーンでは、重力と時間と距離の相対的な関係によって世界を切り取ることを試み、アリスの身体が拡大・
縮小を繰り返すシーンでは、スケールと物質単位と機能の関係を炙り出している。さらに自己と他者といった思考
や扉を隔てた内外の境界の反転の描写は、世界を相対的に位置付けようとしているようにも見える。またストーリ
ーは過剰に断片化された多中心の世界として描かれ、その言葉の連なりが韻やリズムを踏むことで意味が漂白され、
構成自体の組み換えにまで迫っている。
私はここに建築の世界観を見ずにはいられないのである。さて、みなさんにはこの「不思議の国のアリス」を建築
的な視点で再読し、現実世界に新しく、豊かな建築を立ち上げてもらいたい。機能から解放され、物の原理から立
ち上がり、ダイナミズムに満ちた「アリスの家」である。そこには光が差し込み、風が抜け、暖かさがある。新た
に立ち上がる空間が、人間の生きる本質的な喜びを描き出していくことを期待している。
佐藤優月  中野宗壮 
野澤沙帆  小松香穂 
斎藤史菜乃  小林由芽 
恒吉ののか  原佳央理 
水谷スタジオ 課題 1
「空間創作 : ジギー・スターダスト」
「スーパースターの家」シリーズで 20 (コロナ禍で 1 年飛ばしたので、今回が 19 課題目)続いたこの課題。
もともとこの課題のオリジナルは『わがスーパースターたちのいえ』 というコンペの課題である。2022 年までは、
スパースター(アーティスト)を対象としてきたが、昨年度からアーティストの作品自体を課題の素材としてい
る。新しい建築の可能性を提案してもらいたい。対象作品は、『The Rise And Fall Of Ziggy Stardust And The
Spiders From Mars( ジギースターダスト )』(デヴィッドボウイ)とするこの課題は、『ジギースターダスト』
を(“ 音楽→建築 という世界を通して)再解釈することにより、建築的な思考や概念を再構築し、それによって
創作し得る空間や建築は、どのようなかたちで表現することができるのか、時間や空間を超えた構想力豊かな新し
い建築提案を期待している。
伊藤尚輝    清水優太   
白石大翔    梅田皓亮   
久保池祐朱   
高野泰地    竹田結   
Mu No.21 2024
50
Mu No.21 2024
51