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政治経済学研究科修士課程

 従来政治学は、権力を分析の中心に置くことによって、国家と個人、国家と集団、国家と国家などの権力関係を研究対象としてきた。ところが、21世紀の今日、経済のグローバル化が惹起した新たなプロブレマティークとして政治学に突きつけられている課題は、そもそも国民国家そのものの存在それ自体である。ボーダーレスに移動する情報、資本、人間の出現によって、それは溶融しつつあるのか、相変わらず強固であるのか、国民(民族)とは何であるのか、そしてそもそも国民国家とは何であるのか、市民社会の政治的機能はいかなるものであるのか等の問題群である。まさにその点で、近代国民国家そのものの存否の可能性が問われるとともに新たな理念、新たな制度の提示要求が政治学に突きつけられている。いわば、経済主導による政治の変質に政治学からの回答が迫られている。

一方経済学は従来、市場における対等なアクター間の価値配分の問題に関心を集中してきた。しかし今日新たに発生してきている現象は市場における権力関係である。企業権力が個人の市民的自由にとっての脅威になりつつあるだけでなく、生活世界それ自体が企業の権力によって植民地化されてきている。この現象は、新自由主義改革以来、企業による国家機能の代替が顕著になることによって、いっそう明瞭になりつつある。ここにおいて社会構造は経済的な目的に合わせて再構成される。人間は社会構造の従属変数に貶められているといえよう。ウォリンはかかる社会構造を、デモクラシーと対比させて、「政治経済」political economy体制と命名する。かくして経済の政治化は明確であるといえるだろう。

さて、以上のような現代世界の構造変化を踏まえるならば、政治学と経済学は相互に協働することにより共通の問題解決に取り組まなければならなくなってきているといえるのではないだろうか。本研究科は、以上の問題意識に基づいて、政治経済学研究科と称し、政治学および経済学の緊密な協働関係を築き、発展させながら喫緊の課題に立ち向かい、新たな理念の構築、制度と政策の提示、さらにはそれらを担いうる人材の養成とを目的として研究教育活動を行う。

かかる目的実現のために本研究科では、「政治経済」体制に正面から立ち向かいながら、①政治および経済の新たな理念の再構築、②政治および経済の新たな制度設計・政策提示・制度および、③政策の実現のための活動能力を備えた主体の育成という3つの課題に積極的に取り組む。

その意味で、本研究科は、単なるエリート養成ではなく、生活世界の植民地化という事態に対抗し、市民社会の強化に寄与できる人材、すなわち、市民の立場から政治経済を分析し、理念を構築し、行動することのできるシティズンシップ・マインドを備えた人材の育成を行う。そのことによって、政治経済両領域における人間性の回復という社会的要請に応えていきたいと考える。

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