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政治学科

政治学は古代ギリシャに起源をもつ歴史の長い学問です。その担い手は、プラトンやアリストテレス以来のいわゆる哲学者たちです。中世には、神学者といわれる人びとが政治の研究を行なっていました。19世紀にこの政治学から、経済学や社会学が分化しました。 このような長い歴史をもつ政治学は、基本的には、「統治者の学」もしくは「統治の術」として発達してきました。20世紀半ば以降にデモクラシーが普遍化するまでは、政治学は「統治者の学」であり、そのようなものとして支配者の被支配者への効率的統治の術の追究がなされ知の蓄積がなされてきたと言っていいでしょう。

しかし、20世紀の二つの大戦を経て、普通選挙が実施され、政治的自由が憲法に保障され、大衆が政治過程に登場する状況が多くの国や地域で見られるようになってきました。それはデモクラシーの普遍化とも言いかえることができます。こうしたデモクラシーの時代において、「統治の術」はすべての市民に開放され、各人が身につけるべき「術」へと性格を変化させてきています。20世紀にアメリカ合衆国で政治学が活発に研究され、発展してきた背景には、こうしたデモクラシー状況があります。日本においても、敗戦後に政治学研究が活発になってきた理由は、デモクラシーと切り離せません。政治権力を研究対象とする政治学は、全体主義国家体制の下では成立が困難だと言えます。

デモクラシー時代の現代の政治学は、「統治者の学」ではなく、市民の政治参画のための知の体系といっていいでしょう。デモクラシーとは、公的な決定に、関係者すべてが関与する政治の仕組みを意味すると定義できます。その意味で、各人の自己決定権の延長上にデモクラシーという政治の仕組みが出てくるということができます。私たちが私たちらしく生きるためには、デモクラシーが必要不可欠な前提になります。

以上のような意味で、今日、私たちにはデモクラシーを一層深化させることが必要になってきています。そのためには、市民一人ひとりが、「統治の術」を身につけることが緊要な課題となっているといえるでしょう。なぜなら、ルソーによれば、私たち「市民」は主権の担い手を意味するからです(ルソー『社会契約論』)。

武蔵野大学法学部政治学科は、「統治者の学」としての政治学を、「市民の学」としての政治学へと再構成し、教育・研究することを課題としています。いかなる職業に従事しようと、職業人であると同時に、もしくは、職業人である前に「市民」であることが公共の構成員としての現代人に要求されているからです。武蔵野大学法学部政治学科はデモクラシーの深化をめざしてこのような市民政治学を構築し教育を行ないたいと考えています。そのことによって、現代社会のみならず人類共同体に貢献できる人材を育成したいと思います。

このような政治学を生かせる職業は公務員です。公務員は、中央政府で働く国家公務員と地方自治体で働く地方公務員に大別されます。さらに後者は、都道府県庁レベルと市町村レベルに分けることができます。政治学科の卒業生は、市民政治学の精神と知識をもって、公務の世界で多くの人びとの幸福を作りだす職務に携わってほしいと思います。国家公務員と都道府県庁の公務員をめざす方は、ぜひ、「エグゼクティブ・スカラシップ・プログラム」で勉強してください。それと同時に、憲法、民法、ミクロ経済学、マクロ経済学をも学んでください。また、市町村レベルの地方公務員をめざす方は、「地方公務員特殊研究1、2、3、4」でしっかり勉強することをお勧めします。公務員は身分保障がしっかりしています。その意味で安定した職業です。しかし、この安定した身分は、自分以外の多くの方々の幸福を実現するための手段として与えられたものです。ぜひ、他者の幸福に献身的に貢献するという高い目標をもって公務員をめざしてください。

政治学科のカリキュラムマップの概略

政治学科のカリキュラムのうち「学科科目」が政治学科のいわゆる専門科目に相当します。この「学科科目」は、「基礎科目群」(1年次配当)、「基幹科目群」(2年次配当)、「展開科目群」(3年次配当)から構成されています。この学科科目は、学年進行に従って基礎からしだいに高度になっていくように設計されています。
また、「学科科目」は、「歴史・理論」「日本政治・政治過程」「国際政治・地域研究」の3つの分野から構成されています。それぞれの領域が基礎からしだいに難易度が高くなります。政治学科の学生はできるだけ自分の関心に沿って3つの分野のうち、少なくても1分野は「基礎科目群」(1年次配当)→「基幹科目群」(2年次配当)→「展開科目群」(3年次配当)の順に体系的に履修してください。

必修科目と選択科目

1年次必修科目「共生原理」「政治学原論1」「政治学原論2」「日本政治論基礎」「国際政治学基礎」
2年次必修科目「プレゼミ」
2・3年次必修科目「企業エクスターンシップ」
3年次必修科目「プレゼンゼミ」「ゼミナール1」「ゼミナール2」
4年次必修科目「ゼミナール3」「ゼミナール4」

ゼミについて

「プレゼミ」

2年次後期に行なわれるゼミです。3年次からはじまるゼミナールの準備段階と位置づけられます。政治学の基礎知識や研究の方法論を学びます。ゼミは学生の自発的な参加によって成り立つものです。したがって、ゼミ参加者は、主体的な発言と綿密な事前学習が要求されます。

「プレゼンゼミ」

このゼミでは、プレゼンの練習を行ないます。素材は新聞の記事などを使って行ない、時事問題や一般常識問題の理解を深めるとともに、プレゼン能力の向上をめざします。自分が努力して培ってきた能力や情報を発信し、現代社会で活躍するためには高度なプレゼン能力が不可欠です。このゼミでは、少人数でプレゼン能力を鍛えてゆきます。

「ゼミナール1」「ゼミナール2」「ゼミナール3」「ゼミナール4」

この4つのゼミは3年前期から4年後期にかけて履修します。ゼミは担当教員の専門に沿って開講されます。政治学科のゼミは、「歴史・理論」「日本政治・政治過程」「国際政治・知己研究」の3つの分野それぞれに開講されます。この4つのゼミは、政治学科の学びの集大成を行なう授業です。綿密な事前学習に基づく積極的な発言、高度なプレゼン、論理的な説明などの能力が要求されます。

「政治学基礎文献講読」について

「政治学基礎文献講読1」「政治学基礎文献講読2」「政治学基礎文献講読3」が2年次に開講されます。この科目は、政治学科の3つの専門分野(「歴史・理論」「日本政治・政治過程」「国際政治・地域研究」)に対応しています。政治学科の学生は2年次に自分の関心に沿ってこのうちの1科目を必ず履修しなければなりません。

「政治学英語文献講読」について

政治学科では、英語の能力の向上を重視しています。自分の考えを英語で発信できるようになることは現代社会を生きる上できわめて重要なことです。また、政治学の専門能力の向上のためにも英語の文献を読破できる能力は必須です。こうした目的のために、「政治学英語文献講読1」「政治学英語文献講読2」「政治学英語文献講読3」が置かれています。それぞれが政治学科の3つの専門分野(「歴史・理論」「日本政治・政治過程」「国際政治・地域研究」)に対応しています。政治学科の学生は2年次に自分の関心に沿ってこのうちの1科目を必ず履修しなければなりません。

卒業後の進路について

武蔵野大学法学部政治学科では、卒業生は、ビジネスの世界と公務の世界の2つの進路のうちどちらかに進むことを想定しています。カリキュラムもこの2分野を意識して作られています。政治学科生はできるだけ早期にどちらかの進路を決定することが望ましいと思います。

ビジネスの分野に進む方は、「企業エクスターンシップ」にしっかり取り組んでください。早くからSPI対策や面接の練習をしておくことがよいでしょう。また、2年次には「地方公務員特殊研究1」と「地方公務員特殊研究2」が始まります。公務員をめざす方は、ここからがスタートになります。2年次からスタートすることで、4年次の公務員試験合格の可能性が高くなります。

以上2つの進路が卒業後の進路として想定されていますが、しかし、マスコミへの就職、大学院進学、司法試験予備試験受験、司法書士試験受験なども当然卒業後の進路として考えられます。各人の希望に沿って早期に勉強をはじめてください。このような進路を希望する方は、「学科科目」をきちんと学修することがきわめて重要です。
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