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MUSIC教職員座談会

AI-Ready-Universityを推進する機関:MUSICに所属する教職員に、2020年度以降の具体的な教育内容などについて伺いました。

20190926_MUSIC対談 (15)★

AI × 医療、AI × 銀行、AI × 人事・・・
自分の強みにAIという付加価値を

Q) 2020年度入学生から全学部・全学生対象に、AI科目が必修となりますが、なぜ文理関係なく、AIを学ぶのですか?
<上林> 
AI科目の全学必修化は、大学業界において極めて新しい試みです。
いまやコンピュータを使わない業種はありません。そのため、AIを含む情報科目の履修は、すべての学生の専門分野に必要だと考えています。文系の学生にはAIの開発者になってもらいたいわけではなく、AIを使いこなせる人材になってほしいと思います。例えば、銀行員に必要なスキルで考えると、昔はそろばん、電卓、平成はエクセル、そして令和ではAIと変遷してきています。理系の学生だけでなく、文系の学生も、AIを利活用するスキルを身に付けて社会に出ることができれば、AIは自分の付加価値になると思います。

20190926_中村准教授 (15)★

渡邊 紀文 准教授
<田丸>
看護・医療現場は、すでにヒト型ロボットを導入している医療機関もありますが、特にAIが入りやすい場所ですよね。例えば病院の受付で、ロボットが患者と対話をすることで、様々な症状に関する情報を事前に聞きとって受付業務を行ったり、患者が気になる症状に関してロボットに問い合わせをするといったことがすでに起こっています。医師に面と向かって聞きにくいことでもロボットには素直に聞くことが出来る、などの効果もあるようです。他には、企業の人事部。社員の巨大なデータをいかに使いこなして、社員の能力をより活かすための施策を考えたり、社員が辞めるリスクをAIが見つけ出したりすることも、今後は普通のことになるでしょう。

20190926_田丸センター員 (1)★

田丸 恵理子 センター員
Q) 教養科目としての新しい情報教育とは、具体的にどのような授業が行われるのですか?
<渡邊>
従来の情報の授業では、エクセルやワードの使い方、メールの送受信の方法など、社会に出るための基礎的なスキルを教えてきました。しかし、特定の人が特定のツールを使う時代から、誰でも自由に情報を獲得してSNSなどで発信できる時代に変わり、社会においても様々な新しいツールを積極的に取り入れて、自分に組み込んでいける人材が求められてきています。そこで武蔵野大学の新しい情報の授業では、Googleドキュメントやスプレッドシートといったクラウドツールで情報を共有したり、Google earthを使って地球上でどういうことが起きているのか見てみたり、YouTubeで動画を発信したりなどをして、自ら情報を獲得して発信することを重視していきます。また、集めた情報をエビデンス(根拠)として示した上で意見を主張することや、著作権、情報セキュリティなどについても学びます。
<中村>
1年次2学期で必修科目となる「メディア・人工知能リテラシー」は、AIツールの開発方法を学ぶのではなく、AIを知的生産活動の道具として使いこなす方法を学ぶ授業です。例えば、文章を自動的に要約してくれるAIツールがあります。一つの文章(テキスト)を学生が要約すると30~40分かかるようなものでも、AI要約ツールを使えば、1~2秒で終わってしまいます。情報の海から、目的にあった情報を適切に見つけ出す時に威力を発揮します。また、インターネット上で社会的に情報を公開しているホームページ、ブログ、ソーシャルネットワークサービスに代表される公共空間メディアにかかわる様々なリスク(フェィク情報、他者の権利侵害など)を知り、それらを自己防衛的に回避するスキルをベースにポジティブに情報収集・発信をスキルも学んでもらいたいですね。

<渡邊>
1年次3・4学期に選択授業となる「プログラミング・リテラシー」では、社会の問題を自分で分解し、共通項目を抽出して、プログラム化する技法を学びます。例えば、電子レンジはプログラム化された機械です。ごはんだけ温める時、ごはんとおかずを同時に温める時など、状況によってどんな温め機能が必要なのか、共通項を見つけてプログラム化されているのです。これらの仕組みを理解することで、自分が関わる問題を解決するツールもしくはサービスを、自分で作成することが出来る能力を身に付けて欲しいと考えています。
また授業では、最近話題のIoT(Internet of Things。モノに通信機能を持たせ、インターネットに接続したり、相互に通信したりすることにより、自動認識や遠隔計測などを行うこと)を取り入れています。micro:bit*というツールを使って、自分が話した音声をLEDで映し出してみるなど、パソコンだけではなく実際に手で触れてみることで、プログラミングの楽しさを学んでもらいたいと思います。

*片手に収まる大きさのプログラムできるマイクロコンピューター。ロボットや楽器などの製作が可能。
Q) さらに、2021年度入学生からは、サブメジャーとしてAIを選べるようになるのですね。
<上林>
そうです。AI科目は1年次に必修科目として基礎的な内容を全員が受講し、AIをもっと学びたいと思った学生は、2・3年次に発展的な内容の授業を、選択科目またはサブメジャーとして選択履修が可能になります。

<渡邊>
サブメジャーはメインの専攻をおろそかにするものではありません。例えば、看護や社会福祉、教育など、やはり人と関わるようなことを勉強している学生は、ロボットが人の心を理解できるようになる仕組みに興味を持ってくれると思います。サブメジャーとして、それぞれの専門に合ったAI・IoTツールを学び、例えば社会福祉学科の学生から、介護の現場で役立つような会話をするロボットを作るアイディアが出てきたら、とても楽しく発展的ですし、これからの社会を変えていくのではないでしょうか。

<上林>
AIのサブメジャーコースを修了すると、「コース修了認定」をします。武蔵野大学には国家資格を取得できる学科が多数ありますが、国家資格にAIスキルが加われば、学生のみなさんにとって、就職時にも大きな強みになるはずです。

中村准教授トリミング後

中村 太戯留 准教授

学生の自由度を高め、可能性を広げる
BYODキャンパス

Q) 今回、AI科目の必修化に加えて、BYODを推進する理由はなんですか。
<中村>
BYODの意義は「今いる場所が教室になる」ということです。今までは大学の教室に行って学ぶスタイルでしたが、PCが手元にあれば、自宅も電車の中もカフェも教室になります。学生生活のスタイルがガラッと変わります。未来志向の学びのスタイルを実現するのがBYODの一番の要です。また、どこでも学べることで、逆に大学に集まらないとできない学びが浮かび上がってきます。例えば、学生同士のディスカッションやグループワーク、実践的な実習など、仲間と頭を突き合わせて学んだ方がいい場面はたくさんあります。インプット型の学習はe-learningで自分のペースで進めて、アウトプット型の学習は大学で先生や仲間と進める、というように、棲み分けができてくるかもしれません。

<田丸>
BYODによって、ある学生は社会のコミュニティ(現場)にいながら大学の授業を受けられるなど、自由度がものすごく増してきます。どの時間帯にどこでどう学ぶかは自由ですから、自分で能動的に考え、学び方を設計していくスタイルになっていきます。

<渡邊>
さらに、PCが手元にあると、授業中、目の前にいる先生の意見を聴いているだけでなく、他の視点の意見もその場で調べることができるので、自分の意見を多角的に考える時にも役立ちますよ。

<上林>
学生は常にPCを携えて授業に参加するわけですから、PC教室は縮小化して順次廃止します。5年くらいで無くなるかもしれません。

BYOD

<中村>
BYODにより、学生は教室を携えて3つの旅に出ることができるようになります。1つ目は学内の旅。武蔵野大学は19学科もありますから、PC片手に他学科の授業を履修*するのも、サブメジャーとして履修するのも、選択肢が広がるでしょう。2つ目は国内の旅。実習や他大学に行ったり、現場へ行って学んだりするのも、今より容易になります。そして3つ目がAIの旅。例えばフライトシミュレーションなど、現実ではなかなか体験できない、AIが作り出す世界へ旅することもできます。この3つの旅が、これからの時代の標準的な学びの姿になり、学生の可能性を広げていくはずです。

*一部許可された科目のみ
Q) AIによって、世界の幸せをカタチにできるでしょうか。
<中村>
もちろん、それは究極の目標ですね。

<田丸>
シンギュラリティといって、AIが人間に置き換わって、人間は働く場所が無くなってしまうのではという説もありますが、放っておけばそういう世界になるという警告です。人間がAIやロボットとどうパートナーシップを組んで社会を作っていくのかは、まだまだ人間の手に委ねられています。AIが世界を幸せにしてくれるのではなく、人間が選択して共存社会を作っていくことが、世界の幸せにつながるのではないでしょうか。
<中村>
野村総合研究所によると、日本の労働人口の49パーセントがAIやロボット等で代替可能ではないかと言われていますが、逆に言うと51パーセントは代替困難であることが重要なメッセージではないでしょうか。クリエイティブな内容や感情を必要とする内容など、人間らしい部分が残って、そこにだんだんと働き方がフォーカスしていくのかもしれません。

<田丸>
優秀なパートナーがいるって幸せじゃないですか? AIやロボットが自分より優秀にやってくれることがあればそこは任せて、自分の強みの部分だけにフォーカスすればいい。ロボットやAIがパートナーになってくれれば、自分一人よりも容易により良いアウトプットが出せるようになるのですから、幸せな世界と考えることもできます。

BYOD2

<上林>
AIは計算は得意ですが、心と意識は形成できません。仏教精神を根幹に据えた武蔵野大学で心を鍛え、仲間との絆を育み、“AI-Ready-University”が誇る先進的なスマートラーニング環境のなかで、人間とコンピュータの共生が問われるAI時代を担う実践者を育成していきます。
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