2020年度
「日本の外交政策−小泉政権期の外交−」
概要
日本の外交政策を論じた研究は、アカデミアの立場からも政府の立場からも多い。しかし、ハイレベルの外交の現場から、個別の外交政策がどのように実施されたかを切り口としての外交政策研究は少ない。本研究は、2002年から2004年夏までの日本の外交についてこれを行う試みである。
この期間の日本外交にとって重要な課題が目白押しであった。それらは、アフガニスタン復興への支援、イラクにおける米国の軍事侵攻への対応及び終戦後の復興支援の実施ならびにその過程で存在したテロリストへの対応、総理の北朝鮮訪問と拉致被害者の帰国、対中外交、対韓外交、対ロ外交、対アセアン外交、対中央アジア外交等の地域外交と、WTOのドーハラウンド、国連安全保障理事会の常任理事国入り、大量破壊兵器の処理問題、発展途上国開発問題、気候変動への対応等の多数国間の外交に大別できる。
また、別の視点からは、それらは、戦後の日本外交の基軸をなす日米同盟関係の強化であり、イラク特措法等の我が国の外交政策基盤の強化拡大であり、日本の特色を活かした世界の平和、安定及び繁栄への取り組みであった。
この過程で、日本は米国をはじめとする世界の主要国との連携・協調をはかりつつ、国際社会における地位を確固たるものとしていった。これを支えたものは、世界第二の経済力であり、国内的には長期かつ安定的に存在した小泉内閣の政治基盤、小泉総理と各国首脳の深い友好関係であったが、上から下までの外務省職員、政治層の政策企画・立案・実施の困難な過程を乗り越えた努力の成果でもあった。
中国の台頭や米国の相対的衰退、発展途上国の経済成長、不確定性の増大等、現在の日本外交を取り巻く環境は当時とは大きく異なる点があり、一概に比較をすることは困難であるが、当時の外交の評価すべき側面と改善すべきであった側面を整理することが、今日の日本外交を考える一つの視点を追加することになれば有意義であると考える。
プロジェクトメンバー
プロジェクトリーダー | 川口 順子 | 国際総合研究所 フェロー |
MIGAメンバー | 前田 順子 | 国際総合研究所 客員研究員 |
研究状況
※第2回、第3回研究会は、緊急事態宣言の発令により中止。
第1回研究会(11月26日(木) 17:00-19:00) 講師:金杉 憲治 駐インドネシア大使、前外務審議官 |