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活動報告

相談活動

一般相談部門:心理カウンセリング。犯罪被害などによる心的外傷反応の心理治療。
子ども相談部門:親子関係の問題、子どもの不登校などの相談。

平成26年度 相談受理件数

 新規電話受理新規面接受理面接総数(延べ)
一般相談部門 169 件 50 件 1,257 件
子ども相談部門 41 件 29 件 558 件
合計 210 件 79 件 1,815 件

平成25年度 相談受理件数

 新規電話受理新規面接受理面接総数(延べ)
一般相談部門 166 件 40 件 1,122 件
子ども相談部門 35 件 33 件 661 件
合計 201 件 73 件 1,783 件

社会における主な被害者・被災者支援活動等

実施期間活動主な内容
1999~2001年東海村放射能臨界事故後の研修会等子どものケア研修会、こころのケア研修会、グループワークなど
2000年地下鉄サリン事件5年目検診検診企画・こころの相談担当など
2001年 9・11サクラホットライン 9・11(アメリカ同時多発テロ事件)に関する電話相談
2005年スマトラ沖大地震ホットライン震災後の電話相談
2011~2012年東日本大震災 震災支援トラウマ相談震災後の電話相談
2012年~福島県立医科大学「県民健康管理」調査後の電話支援震災後の生活困難に対する電話による心理支援

研修会主催

2004年~毎年1回、「PE研修会」を開催しています。
(当初は当センターが主催しておりましたが、現在は大学の社会連携センターによる開催となり、当センターから講師を派遣しております。)

活動報告

平成24年度 心理臨床センター開所記念シンポジウム「犯罪被害の諸相」を開催

開所記念シンポジウム「犯罪被害の諸相」(2012年11月開催)

●24時間ホットラインから見えてくる性暴力被害の実態と対応
    平川和子(SARC東京代表)
●性暴力被害者への法的支援の現状と課題
    番 敦子(弁護士)
●性犯罪被害の予防
    太田達也(慶應義塾大学法学部)
●武蔵野大学心理臨床センターにおける性暴力被害者の中長期支援の報告
    小西聖子(武蔵野大学心理臨床センター)

24時間ホットラインから見えてくる性暴力被害の実態と対応

平川和子(SARC東京代表)

1年の準備期間を経て2012年6月に性暴力センターSARC東京が開設した。講演ではSARCにおける24時間ホットラインから見えてくる性暴力被害者の実態と対応について報告された。

SARCは性暴力被害直後の女性と子どもへの24時間ホットラインである。35人の支援員が四交代で電話相談を受けている。必要に応じ、面接や産婦人科医療を提供、警察との連携、弁護士や精神科医の紹介、日常的な生活を取り戻すための生活再建など、継続的な総合的支援を行っている。

2011年の全国都道府県警及び警視庁の強姦・強制わいせつ罪認知件数は強姦で1185件、強制わいせつで6870件であった。東京都は強姦が178件、強制わいせつが837件であった。SRACでの相談の実態、つまりどのような電話があり、どのように対応したか、ということについては、2012年6月から10月までの段階において、電話相談702件、来所相談40件、診察(初診、急性期)は14人、弁護士紹介4人、精神科医紹介1人、弁護士事務所へのスタッフの同行が11件であった。SARCの先駆けである大阪のSACHICOでは初診人数が54人、来所相談が159人とSARCよりも多い。SACHICOとの差を考えるのは時期尚早であるが、利用者数の違いの理由として、両者の立地の違いと、SACHICOは総合病院であるため利用者数が多いということが考えられる。今後もSACHICOと協力していきたいと考えている。

SARCへの電話相談の内容として、強姦・強制わいせつが6割、性被害が3割、DVが1割であった。初診14人の内訳は性虐待2件、強姦・強制わいせつが12件であった。紹介元は警察からが8件、子ども家庭センターよりが1件、自分で探しての来診(IT検索)が4件、寄り添いホットラインよりが1件であった。相談者の年齢構成は、幼児2件、10代が3件、20代が5件、30代が3件であった。加害者は、顔見知りの人が8件、見知らぬ人が6件(集団強姦2件)であった。
活動の成果として、24時間対応であるため、病院の時間外の被害者をすくい上げることができた点がある。被害者の多くは、深夜に被害を受け、SARCに辿り着くのが朝方であるので、夜間に支援員が在中するようコーディネートすることが大切である。

課題として、被害者が警察に届けても受理してもらえないといった告訴の壁や、SARC運営のための財政確保、10代の急性期の被害者で学校や親には知られたくないという理由から被害届をしない被害者の医療費の一時貸与の資金の必要性があげられる。また、支援員のメンタルヘルスと安全確保も課題である。支援員にとって急性期の方の対応が初めてである場合もあり、月1回の事例検討会で、再診、通報、告訴などの流れを検討していきたいと考えている。

性暴力被害者への法的支援の現状と課題

番 敦子(弁護士)


性暴力被害者は、被害について他の人に相談することができない人が多いが、中には弁護士に相談に来る人もいる。しかし相談に来ても、その中で刑事事件として動く事件はごくわずかである。なぜなら事件のほとんどが親告罪であり、かつ警察の告訴の受理のハードルがとても高いからである。法律に明示されている要件を満たしているかどうか、警察担当者の個々の価値観の違い、被害者の属性などが問題となり、警察の受理の判断は明確でないのが現状である。また性暴力被害者は重篤な精神的被害を受けているにもかかわらず、弁護士が警察にずっと付き添うことはできないこと、時間が経過してからの現場保存などの客観的証拠が乏しくなっているなど、刑事事件としての対応の困難さがある。根本的には刑法における性犯罪の規定をもう一度見直すべきではないかと思われる。

民事損害賠償の場合、個人の被害回復という視点が中心である。示談交渉、調停、仲裁という手続は、いずれも非公開で行われる。民事裁判の場合もプライバシーの秘匿に一定の配慮が可能である。近年、性被害では被害賠償の慰謝料も高くなっている。自分の例を他の弁護士などに示すなどして、全国的な慰謝料の高額化を目指している。

二次被害も重要である。司法過程に二次被害の問題はつきまとうものであるが、特に性暴力被害者に対しては、些細な言動でも傷つけてしまうことがある。そういったことがないように、研修などを行うことによって、司法関係者の意識の向上が望まれる。

プライバシーの保護は、刑事事件では常に考慮の必要な問題である。捜査段階での保護の視点も重要である。公判段階では被害者の名前を読まない、住所を特定しないなど、一定の配慮がなされるが、公開法廷がほとんどであるため、完全な保護には不十分である。一方、民事事件では、プライバシーの保護の観点からは、刑事事件に比較すると保護されていると言える。しかし、当事者への付き添いや、遮へいなど、民事訴訟法に規定は設けられているが、実際は裁判官の裁量による部分が大きい。

問題点と今後の課題として、レイプシールド法のような制度を設け、二次被害を防ぐこと、性被害において、裁判員裁判を制限することなど、刑事裁判におけるプライバシー保護と負担感の軽減、被害者の回復の支援、ワンストップ支援センターなどの支援の連携体制の構築があげられる。

性暴力被害者が自己負担を軽減するために、弁護士及び、法的支援をうまく利用してほしいと願っている。その中で、性暴力被害者から依頼を受けた弁護士側も適切な法的支援を通して、被害者の回復に役立ちたいと思う。

性犯罪被害の予防

太田達也(慶應義塾大学法学部)


性犯罪においては、強姦の加害者、強制わいせつの加害者、ともに50%前後が再犯者である。つまり、加害者の約半数が1度は検挙されており、再犯を抑止する機会があったことになる。また刑期を終えての満期釈放後に再び刑務所に入所(再入)する割合は5年以内では約5割であり、仮釈放となった者でも6人に1人が再入している。特に13歳未満の者に対し性犯罪を行った者が性犯罪の再犯をする割合が2倍以上高いことがわかっている。こうした高い再犯率から性犯罪受刑者の処遇や釈放についての検討が不可欠である。

まず、以前は任意であった性犯罪に関する処遇については、平成17年及び18年の刑事収容施設法および平成19年の更生保護法の制定により、受刑者や保護観察対象者に認知行動療法に基づいた処遇プログラムを義務づけることが可能となった。

しかし、近年、仮釈放になる者の割合(仮釈放率)がやや低下傾向にあり、特に性犯罪受刑者の仮釈放率の低下が著しい。これは釈放後に保護観察を受ける受刑者の割合が少なくなっていることを意味する。さらに、性犯罪者が再犯を犯すリスクの高い期間は釈放後約5年であるにもかかわらず、日本では仮釈放後の残刑期間に限って保護観察を行う残刑期間主義を採用しているため、保護観察はせいぜい釈放後の数か月から6か月程度であり、再犯リスクの高い期間をカバーすることができない。そのため、仮釈放時に残りの残刑を猶予し、一定の期間、保護観察を行う考試期間主義を導入すべきと考えるが、日本では犯罪者の権利侵害であるとする批判が多い。

一方、性犯罪受刑者の半数近くは満期釈放となっているが、これらの満期釈放者については刑期が終わっているため、これまで何らの再犯防止策も取られてきていない。しかし、満期釈放者は再犯のおそれありとして仮釈放にし得なかった受刑者であるから、本来、何らかの再犯防止の対策を取るべきである。

以上の仮釈放や満期釈放の問題を一部解決するための制度が、先の国会に提出されていた刑法改正案で導入される予定であった刑の一部執行猶予である。これは刑期の最後の一部の執行を猶予する代わりに猶予期間を設けて、刑事施設から釈放後も一定期間、猶予刑の取消の可能性を残し、必要に応じて保護観察を付けることができるものである。これにより、満期による釈放という形がなくなり、仮釈放に付する場合でも、1年以上5年以下の一定期間国が関与することができるため、再犯防止対策としても有効である。

釈放された性犯罪者に住所登録を義務付け、それを公開するメーガン法は日本では採用されておらず、それでよいと思われるが、平成17年から実施されている性犯罪者の釈放情報を警察署に提供して犯罪の未然防止に役立てる再犯防止措置制度は実効性に乏しく、大阪の条例による住所登録制度も問題が大きい。

加えて、暗数として表面化しない親族等による性犯罪(性虐待)も問題である。日本の児童虐待の発見、通告、確認機能は弱く、児童相談所の機能も含め解題が山積している。

武蔵野大学心理臨床センターにおける性暴力被害者の中長期支援の報告

小西聖子(武蔵野大学心理臨床センター)


センターは、大学付属機関として1999年に武蔵野キャンパスに開設され、2012年4月に有明キャンパスに移転した。被害者支援は活動の中心であり、被災者の支援も行っている。センターには一般相談部門と子ども相談部門がある。一般相談部門ではカウンセリング、PTSD(Posttraumatic Stress Disorder: 外傷後ストレス障害)治療のための認知行動療法のPE(Prolonged Exposure: 持続エクスポージャー法)等が行われており、今後はグリーフの治療であるCGT(Complicated Grief Therapy)も行う予定である。また裁判関連の支援グループも行っている。子ども相談部門はプレイセラピー、面接、PCIT(Parent-Child Interaction Therapy: 親子相互交流療法)、やDV(Domestic Violence: ドメスティック・バイオレンス)母子に対する支援も行っている。

平成22、 23年度の相談件数は一般相談部門の面接件数が1000件から1500件程度、電話受理件数は800件から1500件程度である。また、子ども相談部門は電話受理件数が30件程度、面接は600件程度である。過去5年間に初めてセンターを利用した人のうち、何らかの被害に遭った人数は約300人であり、そのうち性暴力被害者は100人程度である。しかし、今年度の相談件数は移転したことで減少傾向にある。

センターの来談者は、「DV被害者」の場合、医療機関からの紹介が約7割を占めるが、「性暴力被害者」は医療機関からの紹介が約4割である。DV被害者の95%が医療機関、女性センター、保健所等の公共の相談機関、民間の支援機関などから紹介されている。このことは、法律による支援体制が整ってきていることの表れである可能性がある。また、「その他の被害者」は医療機関からの紹介が約6割、「その他のクライエント」は医療機関からの紹介が約3割と少なく、代わりに公共機関・支援団体等が約5割と被害者と比較して多い。このように、当センターへの来談は全体的に他の機関からの紹介が多い。特筆すべきは他のクライエントの殆どが「社会的支援」からの紹介で来談するのとは異なり、性暴力被害者はその3割がインターネットや書籍といった「個人努力」で来談に至った点である。つまり、性暴力被害者はインターネットや書籍などを個人で調べる必要性が高い可能性があることが示唆される。

今後の支援としてはPE、CGTやその他エビデンスに基づいたPTSDや複雑性悲嘆の治療およびその開発、PCITや裁判関連支援グループなど狭義の治療にとどまらない生活の改善、そして大学院生の研修や外部機関との連携、ワークショップなど専門家の研修を通じて心理支援専門家の育成・研修を行うことを目指していく。


※この原稿は、武蔵野大学人間科学研究所通信からの転載です。
平成25年度 「臨床心理学国際交流シンポジウム」を開催

 臨床心理学国際交流シンポジウム

平成26年11月24日(祝・月)、ホテルサンルート有明にて、「臨床心理学国際交流シンポジウム」が開催されました。当日は三連休の最終日にもかかわらず、約160名の皆さまにご来場いただき、盛況のうちに終了しました。

シンポジウム風景

開催概要

主催者を代表して、本学の寺崎修学長よりご挨拶を申し上げた後、ペンシルバニア大学 不安障害治療研究センターOCDクリニックディレクターであるElna Yadin(エルナ・ヤディン)先生より、「(原題)Healing Old Wounds: Diagnosis and Treatment of PTSD in Civilian and Military Populations」、「(邦題) 過去の傷をいやす -市民や兵士におけるPTSDの診断と治療-」というタイトルで基調講演が行われました。

続いて行われたシンポジウムでは、「日本におけるPTSDの認知行動療法」と題して、エルナ・ヤディン先生、国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター研修指導部長の堀越 勝先生、本学の小西聖子教授の3名のシンポジストによりプレゼンテーションおよび討論が行われました。

寺崎修学長

基調講演

エルナ・ヤディン先生の基調講演では、心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、生命の脅威を感じるようなトラウマ体験をした後に生じることのある衰弱状態であること。PTSDが生じた人はトラウマの記憶に非常な恐怖を感じるし、その記憶を思い出させるような物事に対しても同様に恐怖を感じること。治療しないとPTSD症状は慢性的になり、長い目で見た時のその人の生活の質に、また家族の生活の質に、悪影響を及ぼすこともあるというお話がありました。

また、PTSDの診断とその生活への影響、およびなぜある人たちにはPTSDが起こってきて、ある人たちには起こってこないのかという疑問に対するいくつかの答えが示されました。

Prolonged Exposure(持続エクスポージャー)法についてはPTSDに推奨されている治療法の一つであり、PTSDにどのように有効か例を挙げて説明があり、トラウマの違いや文化の違いをもつさまざまな対象者に対してどのようにこの治療が適用されるかというお話しがありました。

エルナ・ヤディン先生

堀越勝先生からは、「心に引っ掛かった骨」というタイトルでプレゼンテーションが行われました。堀越先生は心的外傷後ストレス障害(PTSD)は誰の人生にも起きる可能性があり、それはちょうど喉に魚の小骨が引っかかった状態と似ている。PTSDは受けた衝撃が心に引っかかったまま取れなくなっている状態であり、それは直接命に係わることはまれだとしてもそのまま魚の骨(衝撃を受けた体験)は私たちを苦しめることになるというたとえを用いてわかりやすく説明をされていました。そして、その骨をとる一つの方法として認知処理療法(CPT)の概要とその効果についてお話がありました。

堀越勝先生

シンポジウム

続いて、小西聖子先生から「武蔵野大学における持続エクスポージャー法(PE)の実践とこれから」と題して、プレゼンテーションが行われました。発表では、まずこれまでに武蔵野大学で行われてきたPEの実際、特にPTSD症状についての説明や、抑うつ症状、解離などの症状も含めた治療効果や、その中断率が低いことについてもお話がありました。

その要因については、PEの事前もしくは並行しての支持的なカウンセリングの効果もあるのではと分析され、今後の課題はとしてPEの「普及」が挙げられていました。

当日ご来場いただいた皆様方ありがとうございました。この場を借りて改めて御礼申し上げます。

小西聖子先生

シンポジウム01

シンポジウム02

シンポジウム03

この他、多くの支援活動・研修会講師等をしております。