アルツハイマー病治療薬開発の最新動向


当研究室はアルツハイマー型認知症の治療に役立つ医薬品の創出をめざしています。
今世界中でアルツハイマー病治療薬の開発が進められ、日々大きく進展しています。このコーナーではその最新動向をとりまとめてお伝えしていきます。(できるだけ毎日更新)

【2011年1月21日】メマンチン(第一三共、メマリー錠)とガランタミン(ヤンセンファーマ、レミニール錠・OD錠・内用液)が1月21日付で製造販売承認された。これで日本におけるアルツハイマー型認知症治療薬は3つとなった。レミニールについては、ヤンセンと武田薬品が同一販売名で共同販売の予定。

【2011年1月11日】武田薬品は、健常高齢者におけるアルツハイマー病のリスクを予見しうるバイオマーカーであるTOMM40アッセイの開発、製造、使用、商業化について、米国ジンファンデル社と全世界での独占的ライセンス契約を締結したと発表。TOMM40は、ミトコンドリアへのタンパク輸送に必要なミトコンドリア外膜のtranslocase(TOM)のチャネルを形成するサブユニットであり、その遺伝情報はAPOEに隣接した19番染色体上にある。 ジンファンデル社のCEOであるDr. Allen Rosesのチームが、TOMM40とアルツハイマー病発症リスクの相関性を見出していた。武田薬品とジンファンデル社は、健常高齢者を対象として、TOMM40の検証を行い、アルツハイマー病の発症リスクの高い高齢者を対象に、糖尿病治療薬ピオグリタゾンの臨床試験を実施する予定。

【2010年11月24日】認可申請中だった第一三共のメマンチン(メマリー)とヤンセンファーマのガランタミン(レミニール)について、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の医薬品第一部会で、承認が了承された。年明けにも正式に承認される見通しとなった。

【2010年8月19日】イーライリリー社が開発中だったγ-セクレターゼ阻害薬・セマガセスタット(semagacestat, LY450139)の開発中止が発表された。日本を含む31か国で2600人以上が参加した第III相臨床試験の中間解析の結果、アルツハイマー病の進行抑制が認められず、認知機能の臨床的スコアの悪化や日常生活能力の低下が示された。また、皮膚がんのリスクも増加した。

【2010年7月23日】エーザイ社とPfizer社は、ドネペジル(Aricept)の高用量23mg錠剤が米国FDAに承認されたと発表した。

【2010年6月21日】Forest Laboratories社とMerz Pharmaceuticals社は、メマンチン(Namenda)の持続放出製剤・NAMENDA XRが中等度〜重度のアルツハイマー型認知症治療薬として米国FDAに承認されたと発表。本剤は1日1回の投与ですむ。

【2010年5月11日】EnVivo Pharmaceuticals社は、アルツハイマー病治療薬候補として開発中の選択的α7ニコチン性アセチルコリン受容体(α7 nAChR)アゴニスト・EVP-6124について、軽度〜中等度アルツハイマー病患者を対象とした後期第II相臨床試験の開始を発表。

【2010年3月19日】最も注目を集めているアルツハイマー病治療薬候補の1つ・Bapineuzumabの臨床試験結果の発表は予定より2年以上遅れそうとの情報あり。

【2010年3月4日】Medivation社とPfizer社が共同開発を進めてきたアルツハイマー病治療薬候補の非選択的抗ヒスタミン薬・Dimebon (latrepirdine) について、第III相試験の結果、プライマリーエンドポイントを達成できなかったと発表された。

【2010年3日1日】小野薬品工業とノバルティスファーマ社はリバスチグミンの経皮吸収型製剤(貼付剤)を厚生労働省に承認申請したと発表した。リバスチグミンは、アセチルコリンエステラーゼとブチリルコリンエステラーゼの両方を阻害する。
また同日ヤンセンファーマ社はガランタミン(錠剤、口腔内崩壊錠、内用液の3剤形)を厚生労働省に承認申請したと発表した。ガランタミンは、アセチルコリンエステラーゼ阻害作用に加え、ニコチン受容体に対する増強作用によりアセチルコリン放出を促進する。
承認されれば我が国で第3・4のアルツハイマー病治療薬になる。

【2010年2日8日】アスピオファーマ社(第一三共傘下)はアルツハイマー型認知症治療薬SUN Y7017(メマンチン塩酸塩)を厚生労働省に承認申請したと発表した。承認されれば我が国で第2のアルツハイマー病治療薬になる。

【2009年11月27日】Lundbeck社(デンマーク)は、開発中の選択的5-HT6受容体アンタゴニストのLu AE58054について、ドネペジルで治療中の中等度アルツハイマー病患者を対象にした第2相臨床試験の開始を発表した。

【2009年8月28日】日本イーライリリー社は、ズルエッタ社長による事業説明会で、第III相試験中のsemagacestat(セマガセスタット, LY450139; γ-セクレターゼ阻害薬)、solanezumab(ソラネズマブ, LY2062430; 抗Aβ抗体)に加え、第I相試験段階に12品目の化合物がアルツハイマー型認知症治療薬候補として開発中であると発表した。

【2009年7月22日】エーザイ社は、ドネペジル(アリセプト)の新たな剤形となる内服ゼリー剤の製造販売承認を取得したと発表した。嚥下障害を持ち水を飲むことが困難な人でも内服可能な剤形として注目される。錠剤、細粒剤、口腔内崩壊錠と合わせ、医療者、介護者、患者が最適な剤形を選ぶことが可能に。

【2009年7月14日】Humanetics Corporation(米国)が開発中のγセクレターゼ阻害薬・NIC5-15について、初期第2相試験の結果、アルツハイマー病の治療として役立ちうると発表された。

【2009年5月21日】Eli Lilly社は、開発中の抗Aβモノクローナル抗体・solanezumab(LY2062430)の第3相試験の準備(患者エンロール)を開始すると発表した。

【2009年4月17日】大日本住友製薬は、日本、米国、欧州で開発中(第2相)だった AC-3933 の開発を中止すると発表した。米国で実施した第2相臨床試験において想定していた基準を達成できなかったため。 

【2009年4月15日】Pfizer社とMedivation社は、ドネペジル錠を服用している軽度〜中等度のアルツハイマー病患者を対象にしたDimebonの第3相試験の開始を発表した。

【2009年4月2日】Elan社(アイルランド)とWyeth社(米国)は、アポリポタンパク質E4アレルを有さない軽度〜中等度のアルツハイマー病患者を対象にしたbapineuzumabの2つの第3相臨床試験での最高用量(2.0 mg/kg)投与を中止すると発表した。 血管原性浮腫懸念が生じたため。

【2008年9月15日】AstraZeneca社とTargacept社は、軽度〜中等度アルツハイマー病患者を対象にしたAZD3480 (TC-1734) の後期第2相臨床試験で明確な有効性が認められなかったと発表した。

【2008年7月29日】Elan社(アイルランド)とWyeth社(米国)が共同開発を進めてきた抗Aβ抗体・bapineuzumab (AAB-001) について、軽度〜中等度のアルツハイマー病患者を対象とした第2相試験の結果、安全性懸念があると発表された。

【2008年7月18日】開発中止されたElan社のAβ42合成ペプチドワクチン・AN1792の第1相試験に参加したアルツハイマー病患者の追跡調査の結果、Aβ42ワクチンによってアルツハイマー病患者の老人斑が消失しても進行性の神経変性は防げなかったと発表された。

【2008年6月30日】 Myriad Genetics社は、Flurizan (tarenflurbil)について、軽度アルツハイマー病患者を対象とした18ヶ月間の第3相臨床試験で有効性が認められなかったと発表。

【2008年6月17日】 Elan社(アイルランド)とWyeth社(米国)が共同開発を進めてきた抗Aβ抗体・bapineuzumab (AAB-001) について、軽度から中等度のアルツハイマー病患者を対象にした18ヶ月間の第2相試験の結果、アポリポタンパク質E4(ApoE4)非保有者に対して有益な効果が認められたと発表された。

【2008年6月12日】Elan社(アイルランド)とWyeth社(米国)が共同開発を進めてきたアルツハイマー病ワクチン・ACC-001の第2相臨床試験が、6週間の中断を経て再開された。
【2008年5月5日】EPIX Pharmaceuticals社(米国)は、開発中の新規 5-HT4受容体アゴニスト・PRX-03140について、アルツハイマー病患者を対象とした後期第2相臨床試験を開始したと発表。

【2008年5月1日】 Aβ42低下作用が知られるNSAIDのひとつtarenflurbil(R-flurbiprofen, Flurizan)について、軽度から中等度のアルツハイマー病患者210人が参加した第2相臨床試験の結果、高用量(800mg×2/日)投与によって軽度患者の日常生活動作や全般的機能の悪化を防ぐ効果があることが示唆された。

【2008年4月25日】アステラス製薬は、CoMentis社(米国)が開発中のアルツハイマー病治療薬・CTS-21166を含むβセクレターゼ(BACE)阻害薬の開発・販売について、CoMentis社とライセンス契約を締結した。
【2008年4月19日】Medivation社(米国)が開発中の神経保護薬・DimebonTMについて、軽度から中等度のアルツハイマー病患者183名が参加した治験の新たな解析の結果、認知機能を全般的に改善して介護者の負担を軽減することが確認されたと報告された。

【2008年4月18日】 Elan社(アイルランド)とWyeth社(米国)が共同開発を進めてきたアルツハイマー病ワクチン・ACC-001の第2相臨床試験は、重症有害事象(血管炎と疑われる皮膚病変)によって患者1名が入院したことを受けて、中断された。

【2008年3月31日】Eli Lilly社は、開発中のγセクレターゼ阻害薬・LY450139について、軽度〜中等度のアルツハイマー病患者を対象にした第3相臨床試験(IDENTITY試験)の開始を発表した。

【2008年3月4日】Debiopharm Group(スイス)は、アルツハイマー病治療薬として開発中の Debio 9902 SR について、第2相BRAINz試験の計画通りの続行が独立データ安全性モニタリング委員会に支持されたと発表した。Debio 9902は体内で徐々に活性薬物 huperzine A に変換されるよう設計された長期作用型コリンエステラーゼ阻害薬で、さらに Debio 9902 SR(sustained release)は月1回のimplantで済むように工夫されたもの。
http://www.debiopharm.com/press-releases/debio-9902-zt-1/clinical-update-debio-9902-sr-in-alzheimer%E2%80%99s-dis.html

【2008年2月26日】Prana Biotechnology 社(オーストラリア)は、開発中のアルツハイマー病治療薬 PBT2 について、初期アルツハイマー病患者を対象にした初期第2相(Phase IIa)試験において安全性、CSF中のAβ42低下作用、特定の遂行機能の改善作用が確認されたと発表した。
http://www.pranabio.com/pdf/Success%20in%20Phase%20IIa%20Clinical%20Trial%20of%20PBT2%2026Feb08-final.pdf

【2008年2月6日】 Neuro-Hitech 社(米国)は、開発中のアルツハイマー病治療薬 Huperzine A について、アルツハイマー病患者を対象とした第2相臨床試験の結果を発表した。200mgでは有意差が認められなかったが、高用量400mgでは有効性と安全性が認められたとのこと。今後は400mgで第3相試験へと進む予定。
http://www.neurohitech.com/news.asp#2008-02-06.228

【2008年1月19日】 Religious Orders Studyに登録された平均年齢75歳のカトリックの聖職者929人の12年間の追跡調査の結果、評価開始時点でのコレステロール降下薬・スタチン使用とその後のアルツハイマー病の発現や認知機能変化に関連は認められなかったと発表された。

【2008年1月17日】パデュー大学(Purdue University, Indiana, USA)の研究者等がデザインしたβセクレターゼ阻害薬・CTS-21166の第1相臨床試験が終了し、その安全性が確認された。
http://news.uns.purdue.edu/x/2008a/080117GhoshAlzheimers.html
【2008年1月16日】EPIX Pharmaceuticals社(米国)は、開発中の新規 5-HT4受容体アゴニスト・PRX-03140について、アルツハイマー病患者を対象にした初期第2相(IIa)試験で良好な結果が得られたと発表した。2007年12月18日の発表に一部修正。
http://investor.epixpharma.com/phoenix.zhtml?c=91717&p=irol-newsArticle&ID=1096952&highlight=

【2007年12月21日】Elan社とWyeth Pharmaceuticals社は、開発中の抗Aβ抗体・バピネオズマブ(bapineuzumabe, AAB-001)について、軽度から中等度のアルツハイマー病患者を対象にした第3相臨床試験プログラムにおいて北米で最初の患者への投与が始まったと発表した。

【2007年12月19日】グラクソ・スミスクライン社(英国)が開発中の742457(5-HT6受容体拮抗薬)について、大規模なフェーズ2b臨床試験を実施中であることが発表された。

【2007年12月5日】Lexicon Pharmaceuticals社(米国)は、アルツハイマー病、統合失調症、血管性認知症に関連する認知障害の治療薬候補・LX6171の初期第2(IIa)相試験を開始したと発表した。LX6171の作用機序は未公開で、グルタミン酸作動性ニューロンのシナプス前膜に存在するタンパクを阻害するとのみ発表されている。
http://www.lexicon-genetics.com/investor/press_release.php?id=381

【2007年12月4日】エーザイは、バイオアークティック・ニューロサイエンス社(スウェーデン)と、BAN2401(Aβプロトフィブリルに対するヒト化モノクローナル抗体)のライセンス契約を締結した。
http://www.eisai.co.jp/news/news200747.html

【2007年12月】現在わが国で臨床試験が進行中の新薬

リバスチグミン(rivastigmine) 

ノバルティスファーマ&小野薬品工業 アセチルコリンエステラーぜ阻害薬 欧米では既に承認・発売。
日本では副作用軽減のためパッチ剤として開発、第3相臨床試験中。

ガランタミン(galanthamine) 

ヤンセンファーマ アセチルコリンエステラーぜ阻害作用に加え、ニコチン受容体感受性増強作用もある。 欧米では既に承認・発売されている。
日本では第3相臨床試験中。

メマンチン(memantine) 

第一アスビオファーマ 脳神経保護薬 欧米ではすでに承認・発売。
日本では重度と軽中度のアルツハイマー病に分けて臨床試験中。

ロシグリタゾン(rosiglitazone)

グラクソ・スミスクライン PPAR-γアゴニスト、インスリン抵抗性改善薬 欧米ではすでに糖尿病治療薬として承認・発売(日本では未承認)。商品名アバンディア(avandia)。服用患者にアルツハイマー病発症率が低いという報告があり、応用が検討されている。ブドウ糖の取り込みを助け炎症を抑えると考えられている。日本と米国で第2相臨床試験中。

AC-3933

大日本住友製薬 ベンゾジアゼピン受容体インバースアゴニスト GABAの機能を減弱させ、間接的に中枢神経機能を亢進させる。アセチルコリン遊離促進によりコリン作動性神経系を賦活するとともに、グルタミン酸作動性神経系を賦活する。
米国で第2相臨床試験中、日本でも第2相試験開始。

バピネオズマブ(bapineuzumab)

エラン(アイルランド)&ワイス(米国) Aβに対する抗体 日本で第1相臨床試験中。

LY2062340

日本イーライリリー Aβに対する抗体 日本で第1相臨床試験中。

【2007年11月8日】Neurochem 社(カナダ)は、アルツハイマー病の治療薬として開発を進めてきたトラミプロセートtramiprosate(商品名:アルツヘメドALZHEMED)について、北米での第3相臨床試験で有効性が確認できなかったことから、欧州で進めていた臨床試験も中止すると発表した。今後はアルツヘメドを医薬品としてではなく栄養補助食品として来年早期にも販売する予定とのこと。また同社は次のアルツハイマー病治療薬として NRM-8499(tramiprosateのプロドラッグ)の研究に重点を置く方針。
URL
*トラミプロセートは、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、メマンチンに続くアルツハイマー病治療薬として最も早く登場すると期待されていた。しかもアミロイド仮説に基づいた原因療法薬第一号として。第3相臨床試験が終わって2007年7月にはFDAからアルツハイマー病治療の最優先(Fast Track)医薬品として認定されたにもかかわらず、このような結果となったのは残念。(阿部)

【2007年11月2日】 Memory Pharmaceuticals 社(米国)は、開発中のアルツハイマー病治療薬 MEM3454(α7ニコチン受容体部分作動薬)について、軽度から中程度のアルツハイマー病の患者80人を対象に行われた初期第2(IIa)相臨床試験において有効性が認められたと発表した。
http://phx.corporate-ir.net/phoenix.zhtml?c=175500&p=irol-newsArticle&t=Regular&id=1071665&

【2007年10月】イギリスの情報提供会社ピリボPiriboより、"Alzheimer's Disease: New Drugs, Markets and Companies")と題したレポートが発行された。現在300種類以上の物質がアルツハイマー病治療薬として開発中と報告されている。
http://www.piribo.com/publications/diseases_conditions/alzheimers/alzheimers_disease.html
【2007年10月15日】 Memory Pharmaceuticals 社(米国)は、開発中のアルツハイマー病治療薬 MEM1003(neuronal L-type calcium channel modulator)について、第2相臨床試験(アメリカの40以上の医療機関で軽度から中程度のアルツハイマー病の患者183人を対象)において有効性が認められなかったと発表した。
http://phx.corporate-ir.net/phoenix.zhtml?c=175500&p=irol-newsArticle&t=Regular&id=1062734&

【2007年8月26日】Neurochem 社(カナダ)は、アルツハイマー病の治療薬として開発を進めてきたトラミプロセートtramiprosate(商品名:アルツヘメドALZHEMED)について、北米で実施された第3相臨床試験の最終結果を報告し、有効性が確認できなかったと発表した。個別には有効と思われる事例もあったが統計学的に薬効の有意性を実証するに至らなかった。欧州で進行中の臨床試験について方法を再検討。
URL

【2007年7月19日】アフィリスAffiris社(オーストリア)は、アルツハイマー病のワクチンである Affitope AD01 の第1相臨床試験を始めると発表。ウイーン総合病院 Vienna General Hospital (AKH)で24人の軽度から中等度のアルツハイマー病の患者に3ヵ月間に4回ワクチンを注射し6ヵ月間かけて薬の安全性や適合性について調べる予定。
http://www.affiris.com/press_releases/07_E_Affiris.pdf

【2007年7月17日】Cortex Pharmaceuticals社(米国)は、開発中のアンパカイン(グルタミン酸作動性神経伝達増強薬)・CX717について、軽度から中等度のアルツハイマー病患者を対象にしたPET試験の再開がFDAに承認されたと発表した。 CX717の臨床試験は2006年4月3日からFDAに差し止められていた。

【2007年7月9日】ノバルティス社(スイス)が開発したリバスチグミンのパッチ剤(商品名:Exelon Patch)が米国で承認された。内服時にみられる消化器に対する副作用の軽減および服薬率の向上が期待される。
http://www.novartis.com/newsroom/media-releases/en/2007/1138163.shtml
【2007年6月11日】 Medivation社(米国)は、開発中の神経保護薬・DimebonTMについて、軽度から中等度のアルツハイマー病患者を対象にした1年間の第2相臨床試験の結果を公表し、認知機能、日常生活機能、行動問題等のアルツハイマー病の重要な症状の悪化を防ぐのに有効だったと発表した。
Dimebonはロシアで20年以上にわたり抗ヒスタミン薬として用いられていたが、神経保護作用が注目され Medivation 社が認知症治療薬として開発を手がけたもの。作用機序としてCaチャネル阻害、mitochondrial permeability transition poresの抑制、NMDA受容体を介した興奮毒性の抑制などが考えられている。
http://investors.medivation.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=247377
http://en.wikipedia.org/wiki/Dimebon

【2007年5月17日】DURECT Corporation社(米国)がVoyager Pharmaceutical社と共同開発中のMemryateは、男性患者には有効性が認められなかったが、早期終了した第3相臨床試験に結果女性には有効だったと発表された。女性患者を対象として開発を進めるもよう。

【2007年5月4日】Accera社(米国)は、開発中のAC-1202(KetasynTM)について、軽度から中等度のアルツハイマー病患者152人を対象にした後期第2相(IIb)試験において有効性が認められたと発表した。Ketasynは肝臓でケトン体に変換され、インスリン抵抗性のためグルコース代謝障害に陥った脳細胞に対する代替エネルギー源を供給するもの。
http://www.accerapharma.com/18/news.html
http://www.medicalnewstoday.com/articles/75335.php

【2007年4月】
AstraZeneca社とTargacept社は、AZD3480(イスプロニクリン,ispronicline)について、第2相臨床試験を実施中である。イスプロニクリンは脳選択的α4/β2ニコチン性アセチルコリン受容体パーシャルアゴニストで、大脳皮質におけるアセチルコリン放出を持続的に促進すると報告されている。
Nymox Pharmaceutical Corporation社は、スタチン系の高脂血症治療薬をアルツハイマー病の治療と予防に使う試験の特許を獲得した。
Memory Pharmaceuticals社は、MEM1003をアルツハイマー病の治療薬として研究中。
エーザイは、 γセクレターゼ調節薬・E2012の第1相臨床試験をアメリカで実施中。

【2007年4月3日】Transition Therapeutics社は、Elan Corporation社と共同開発しているアルツハイマー病治療薬候補・AZD-103/ELND005(scyllo-cyclohexanehexol or scyllo-inositol, myo-inositol stereoisomer)について、FDAからFast Track薬剤に指定されたと発表した。scyllo-inositolはAβoligomerに結合し安定化すると報告されている。

【2006年12月13日】Athenagen社は、開発中のGTS-21について、アルツハイマー病患者を対象とした第2相臨床試験を開始したと発表した。

【2006年10月19日】DURECT Corporation社(米国)は、開発中のMemryteについて、アルツハイマー病を対象とした第3相試験の終了をVoyager Pharmaceutical社から通知されたと発表。

【2006年10月13日】エーザイは、軽度および中等度アルツハイマー型認知症治療薬として発売中のドネペジル(アリセプト) について、重症のアルツハイマー病を適応として追加することがFDAに承認されたと発表した。

【2006年9月19日】 TransTech Pharma社がアルツハイマー病治療薬候補として開発中のRAGE阻害薬TTP488 (PF-4494700) について、Pfizer社が共同開発するライセンス合意を発表した。

【2006年9月13日】Evotec AG社(ドイツ)は、アルツハイマー病治療薬として開発していたMAOB阻害薬・EVT 301の開発中止を発表した。

【2006年8月8日】Evotec AG社(ドイツ)は、アルツハイマー病と神経因性疼痛の治療薬として開発中のNR2Bサブタイプ選択的NMDA受容体アンタゴニスト・EVT 101について、第1相臨床試験を完了したと発表した。

【2006年7月18日】アステラス製薬は、アルツハイマー病治療薬候補・FK962の開発中止を発表した。

【2006年3月30日】Humanetics Corporation(米国)は、アルツハイマー病治療薬として有望な新規経口化合物・NIC5-15の臨床試験実施がFDAに許可されたと発表。NIC5-15は、γセクレターぜを直接阻害するとともにインスリン感受性と関連する間接的な機序によりアミロイド生成を抑制する非合成薬物。(2008年現在第2相治験中)

【2006年2月】米ジョンソン・エンド・ジョンソングループのヤンセンファーマは「ガランタミン」について追加臨床試験の実施を決めた。当初は2005年末にも承認申請する予定だったが、2009年以降になる見通し。米国では2003年に発売済みだが、これまでの国内臨床試験ではデータが不十分と判断したため。