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ラマン散乱とは,光と物質が相互作用した際に発生する,非弾性散乱の一つであり,1928年にC. V. Ramanによって発見された.弾性散乱とは,分子に照射された光と散乱された光の間にエネルギー差はなく,レイリー散乱と呼ばれるのに対し,非弾性散乱では,照射光と散乱光の間には,分子の振動に応じたエネルギー差が生じる.ラマン分光は,この非弾性散乱光を分光し,分子の振動スペクトルを得る分光法である.
同じ振動分光である赤外,近赤外吸収との大きな違は,水に対する感度が低いことである.そのため,水を含む系において,水以外の分子の構造変化,分子間相互作用を測定するツールとして有効である.また,共焦点顕微ラマン分光や表面増強ラマン分光,紫外共鳴ラマン分光など,光学系や励起レーザーなどを工夫することで,用途に合わせたシステムを構築することが可能である.
デメリットを挙げるとすれば,強度が全体的に低いことと,それ故に,ある程度強力なレーザー光源や高性能なフィルター,検出器,サンプリング時間が要求されることである.そのためサンプルによっては,励起レーザーの集光によってダメージを受けてしまう恐れがある.特に医薬品には,光に対して不安定な化合物が多く,その物性を調べることは容易ではない.
分子間相互作用や分子の構造を解析できるラマン分光は,医薬品分野において,薬物分子の定量だけでなく,結晶多形解析やスクリーニングのツールとして非常に有効であるといえる.しかしながら,光照射によるダメージを回避することは難しく,その解決が急務となっていた.(有)レーザー分光の江口氏が開発した光学系は,その励起レーザーによるサンプルへのダメージを極力抑える設計になっている.つまり,通常の顕微ラマン分光装置では,励起レーザーの焦点と集光の焦点は,同一の点で結ばれるが(下図(a)),江口氏は励起レーザーの焦点と集光の焦点位置が異なる光学系(下図(b))を開発することで,励起レーザーによるサンプル表面へのエネルギーを分散させながらも,集光は表面から効率良く行える.