無線近赤外分光器を用いたV字型混合機での混合均一性の
in-Lineモニタリングと製剤特性予測

poster 無線NIR分光器を用いることで,中規模V字型混合機 (5 L) での混合均一性,滑沢剤を含む錠剤原料の流動性,および製剤特性の混合工程中における変化のモニタリングを行っている.
【実験1-直打用モデル処方】 無線NIR 分光器(分散型,LancIR II, Bruker Optics K.K)を装着したV字型混合機(5L,徳寿工作所)を用いて,テオフィリン9.9%,無水乳糖62.4%,バレイショデンプン26.7%(全量2 kg)を毎分20回転で混合し,その混合過程について粉体のNIRスペクトルを連続的に測定(1スペクトル測定時間:約1秒)した.
【実験2-直打用モデル処方】 混合後,滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム1%を加え,毎分20回転で一定時間混合した.滑沢剤混合の各時点において,試料を秤取し, FT-NIR 分光器(MPA, Bruker Optics K.K.)を用いて粉体のNIR拡散反射スペクトル測定と安息角測定,さらに応力試験機(TG5-KN,ミネベア)で定圧下(14kN)にて打錠し,得られた錠剤の硬度と崩壊時間を測定した.
【実験3-顆粒用モデル処方】 無線NIR分光器(分散型,LancIR II, Bruker Optics K.K)を装着したV字型混合機(5L,徳寿工作所)を用いて,アセトアミノフェン4.0%,乳糖一水和物68%,バレイショデンプン28%(全量2 kg)を毎分15回転で混合し,その混合過程について粉体のNIRスペクトルを連続的に測定(1スペクトル測定時間:約1秒)した.
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【結果・考察】 混合過程における単位時間あたりの各成分濃度を,NIRスペクトルと検量線より求め,混合均一性を評価した.評価には,Pirouette 3.11を用いてPartial Least Squares(PLS)回帰分析により行った.その結果,直打モデルでは,はおよそ10-20回転(1-2分)で濃度が一定になることが確認された.また,滑沢剤添加後の製剤特性試験で得られた結果を実測値とし,PLS回帰分析を用いて各時間でのNIRスペクトルから,各物性値の検量モデルを作成した.流動性,硬度,崩壊時間のいずれにおいても予測値と実測値との間に良好な相関が得られ,良好な予測を行うことができた.
顆粒モデル処方では,100から200回転で各成分濃度が一定となることが確認された.また,希薄な主成分(アセトアミノフェン4%)に対しても,良好な濃度のモニタリングを行うことが可能である.

委託評価について

無線近赤外分光器導入を検討されている企業からのin-Lineモニタリング評価委託を受付ています.
問い合わせ
武蔵野大学 薬学部・薬学研究所 製剤学研究室
大塚 誠
電話:042-468-8658