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FD-LC-MS/MS 法とは?

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図には、FD-LC-MS/MS 法を、病態関連タンパク質を検出する疾患プロテオミクスで用いられるディファレンシャルプロファイリング(差異分析)に応用した例を示す。
病態サンプル中のタンパク質を界面活性剤、グアニジンで一次元構造にまで変性させ、さらにジスルフィド結合を還元剤で切断することにより、タンパク質内部に巻き込まれたチオール基を露出させ、 DAABD-Cl で誘導体化反応を進行させる。その後、標識化タンパク質を HPLC-蛍光検出で検出し、クロマトグラム(分離図)を得る。

次に、対象となる健常サンプルを新たに蛍光誘導体化後、同様にクロマトグラムを得る。
両者のクロマトグラムを比較し、同一ピークの高さ比より変動するタンパク質を選定し、その量比を算出する。
次いでそのピークのみを蛍光検出器のセルを通過後に分取する。
分取したタンパク質を同定する際には、トリプシンで消化後、nanoHPLC-MS/MS に供し、ペプチドのアミノ酸組成を決定する。
このアミノ酸配列データをデータベースと照合した後、タンパク質名を決定する。



DAABD-Cl(7-chloro-N-[2-(dimethylamino)ethyl]-2,1,3-benzoxadiazole-4-sulfonamide)はそれ自身無蛍光で、 ベンゾフラザン骨格を有するプロテオーム解析用発蛍光試薬であり、 チオール基と選択的に反応し、初めて蛍光体となる。親水性であるため、タンパク質のような巨大分子との反応後も水溶性を保つことができる。



下記 FD-LC-MS/MS 法の特長をまとめた。

・ 発蛍光試薬を用いるため S/N 比が大きく、タンパク質誘導体の高感度検出が可能(10^-15 molレベル)
・ HPLCによる分離のため、定量値の再現性が高い
・ 目的のタンパク質のみを分取することにより異性体や翻訳後修飾などの識別が可能
・ 簡便な装置(汎用のポンプ、カラム、カラムオーブン、蛍光検出器)を使用し操作に熟練を必要としない


詳細は下記の Review をご覧ください。

・ Imai K, Koshiyama A, Nakata K (2011); Towards clinical proteomics analysis. Biomed Chromatogr 25: 59-64.

・Ichibangase T, Imai K (2012); FD-LC-MS/MS Method for Determining Protein Expression and Elucidating Biochemical Events in Tissues and Cells. Biol Pharm Bull 35: 1393-1400




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