「己が身にひきくらべて、殺してはならぬ。殺さしめてはならぬ」
ロシアによるウクライナへの軍事的な侵攻と武力による攻撃に対して、強い抗議の意思を表明します。
本学は、「生きとし生けるものが幸せであるために」という仏教の基本精神に基づき、「世界の幸せをカタチにする。」(Creating Peace & Happiness for the World)をブランドステートメントに掲げて、教育・研究に取り組んでいます。今回の事態は、生きとし生けるものが平和で幸せにという願いに真っ向から反するものです。
折しも、2月26日(土)、武蔵野大学しあわせ研究所第6回シンポジウムならびに武蔵野大学通信教育部2021年度シンポジウム(共同開催)が開催されました。シンポジウムのテーマは、「持続可能性 2030年の未来に向けて ~「しあわせ学」の前進~」でした。今回の事態を憂慮し強い憤りを感じる中、冒頭の挨拶で『ブッダの真理のことば 感興のことば』(中村元訳、岩波文庫)より「第10章 暴力」の一節を紹介しました。
「すべての者は暴力におびえ、すべての者は死をおそれる。
己(おの)が身をひきくらべて、殺してはならぬ。殺さしめてはならぬ。
すべての者は暴力におびえる。すべての(生きもの)にとって生命は愛しい。
己が身にひきくらべて、殺してはならぬ。殺さしめてはならぬ。」
暴力によって殺される側に自分自身を置き換えて考えれば、他者の生命を脅かし奪い去る暴力は決して容認することはできません。ロシアが一刻も早く武力侵攻を中止し、ウクライナから全面撤退することを望みます。また、恐怖の只中にあるウクライナの人々に、安穏な生活が一刻も早く取り戻されることを願います。
私たちにできること、それは、学問すること、研究すること、そして平和と幸せを脅かす力に対してともに声を上げ、ハピネス・クリエイター(Happiness Creator)として為しうることを為すことです。
2022年3月1日
武蔵野大学学長
西本 照真