4月9日、10日の2日間にわたり、築地本願寺で新入生と教員、約3,300名を対象とした参拝を行いました。今年度は2日間にわたって学部・研究科ごとに全8回に分かれて参拝を行い、参加者は発祥の地である築地本願寺で学祖である高楠 順次郎博士の建学の理念について理解を深めるとともに、自らの夢や目標に向かって初心を固める日になりました。


ご挨拶
※このたびの築地本願寺での参拝に際し、新入生へのあたたかなご挨拶を賜りました。ここに、そのお言葉の趣旨が伝わるよう、一部を抜粋の形でご紹介させていただきます。■築地本願寺宗務長 竒山 明憲 師

本日はようこそ築地本願寺にご参拝くださいました。
阿弥陀如来という仏様は、「人は自分を中心にしか生きられない存在である」ということを認めたうえで、「そんなあなたを私は見守っていますよ」と寄り添ってくださる仏様です。これから皆さんは、学問に励む中で困難に直面することもあるかもしれません。そのときは、ぜひ本願寺に立ち寄って、静かに自分自身の心と向き合う時間を持っていただければと思います。そのことが、解決につながるかどうかよりも、あなた自身の心を見つめ直す大切な機会になるはずです。
築地本願寺はいつでも皆さんをお迎えいたします。ご入学、誠におめでとうございました。
■築地本願寺副宗務長 木村 共宏 師

本日はようこそ築地本願寺にご参拝くださいました。
皆さんはこれから大学で学問を修め、知識や技術を身につけていかれることと思います。しかし、それらをどのように使うかという「心のあり方」も同じく大切です。知識は人の役に立つ力となる一方で、私利私欲に用いれば、人を傷つけるものにもなります。仏法は「心を映す鏡」とも言われ、自分自身の内面を見つめる手助けとなります。仏教の精神に根ざした武蔵野大学で学ぶ皆さんには、学びとともに自らの心を見つめ、知恵を正しく生かす力を養っていただきたいと願っています。
■武蔵野大学総長 釈 徹宗

築地本願寺という場所は、大変精神性・宗教性の高い空間です。皆さんにはぜひ、この場が発している“かすかなもの”に、自分自身の感性をチューニングして向き合っていただきたいと思います。
私たちは、普段の生活の中で強い刺激や多くの情報にさらされ、知らず知らずのうちに心に“バリア”を張っています。傷つかないように守っているうちに、自分のアンテナが錆びついてしまいます。だからこそ、こうした「かすかな発信」に、チューニングしてみると、きっと皆さんの感性もきっと息を吹き返すことだろうと思います。この築地本願寺の地には、数えきれないほどの悲しみや喜び、苦しみ、祈りが積み重ねられてきました。今、皆さんが歩いているその足元にも、多くの命の思いが重なっています。
今日の参拝が、皆さんの大学生活スタートの良い糧になることを心から願っています。
■武蔵野大学学長 小西 聖子

新入生の皆さん、教員の皆さん、本日はようこそ築地本願寺にご参拝いただきました。参拝にあたり、築地本願寺の皆様より温かいご支援を賜りましたこと、心より御礼申し上げます。
本学は1924年、関東大震災の翌年、この築地本願寺の境内にて創設されました。震災で本堂は焼失しましたが、境内は地域の救護拠点として、多くの命を支える場となりました。 救護所では、物資や薬の配布、湯茶の提供、はがきの代筆や郵便の取次ぎ、読経や納骨の預かりなど、被災者に寄り添う支援が行われました。こうした姿に、災害時に人が求める本質的な支えが表れていたのです。築地本願寺には、そうした「寄り添いのかたち」が100年前から息づいていました。創設者・高楠順次郎博士は、困難な時代にあって仏教精神に基づく人格育成を理想に掲げました。その志は、本学の「世界の幸せをカタチにする。」というブランドステートメントにも受け継がれています。
本日の参拝が、皆さんの初心を確かめ、これからの学生生活への一歩となることを願っております。
開学の地、築地本願寺と武蔵野大学
本学は、1924年に築地本願寺で誕生しました。前年9月の関東大震災で東京の下町は焼け野原になり、10万人以上の方々がなくなられました。築地本願寺の本堂も焼け落ち、焼け跡には日本赤十字社の仮設の救護所が建てられました。半年を経て、使用されなくなった病舎を借り受けて誕生したのが本学の前身である武蔵野女子学院です。
本学の学祖高楠順次郎博士は世界的な仏教学者でしたが、「生きとし生けるものが幸せになるために」という仏教の根本的な願い(四弘誓願)を大切にして、人格向上の道を歩むことを願って学院を開設されました。
それから100年、学校法人武蔵野大学は令和6年度に創立100周年を迎えました。今では、幼稚園、中高、そして大学、大学院を含む総勢1万4千人を超える総合学園となりました。大学だけでも、13学部、21学科、13大学院研究科、通信教育部を擁する総合大学となり、たえず成長とチャレンジを続ける大学として発展を続けています。
なお、100周年の記念事業の一つとして、この築地本願寺の境内には「武蔵野女子学院発祥の地」と刻まれた記念碑が据えられました。
