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人的資本経営を分析-経営学部会計ガバナンス学科の教員の共著論文がQ1国際学術誌「Sustainability」に掲載-

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Q1国際学術誌に掲載:日本の人的資本経営に関する大規模分析

経営学部会計ガバナンス学科の池田 安生教授と京都産業大学経営学部の星野 雄介准教授の共著論文が、Q1※国際学術誌「Sustainability」 (IF 3.3, 2025年現在) に掲載されました。本論文は、現代の重要課題である人的資本経営について、日本企業における認識変化を実証的に解明したものです。グローバルレベルでの研究成果の発信は、本学の研究機関としての評価向上に貢献する大きな成果です。

※Q1とは、学術雑誌の評価指標の一つである四分位(Quartile)のうち、上位25%以内を指す。雑誌の影響度を示すインパクトファクター(IF)が、同分野の雑誌の中でどの位置にあるかを相対的に判断する尺度において、最上位グループであることを示す。

掲載論文概要

  • タイトル
    ”From Productivity to Sustainability?: Formal Institutional Changes and Perceptual Shifts in Japanese Corporate HRM”
  • 著者
    星野 雄介 (First author)、池田 安生 (Second author)
  • 掲載誌
    Sustainability 2025, 17(20)
  • 概要
    本論文は、2008年~2024年における日本企業の人的資源管理(HRM)と人的資本(HC)に対する認識変化を、上場企業3,970社の記述開示文書51,666件を用いて分析したものである。分析の結果、開示義務化が転換点となり、企業の関心が短期的生産性から長期的持続可能性へと移行したことが明らかになった。また、人的資本と働き方改革は競合せず、共存と意味の再構築を通じて発展したことを明らかにした。また本研究は、制度改革が企業認識を変革しうることと、大規模テキスト分析の有効性を示唆している。

人的資本(HC)への認識変遷を大規模テキスト分析で追跡

本研究は、企業価値の非財務要因として注目される人的資源管理(HRM)および人的資本(HC)に対する日本企業の認識が、どのように変遷したかを実証的に明らかにすることを目的としています。研究チームは、大量のテキストデータから、企業が実際に何を重視し、その関心が時代とともにどのように変化したかを、大規模テキスト分析という手法で詳細に分析しました。

短期的な生産性から長期的な持続可能性への移行

分析の最も重要な成果として、開示義務化が企業の認識を大きく変える転換点となったことが明らかになりました。具体的には、企業の関心が短期的な生産性の向上から、長期的な持続可能性へと明確に移行したことが示されています。また、企業が人的資本への投資と「働き方改革」を競合するものとして捉えるのではなく、共存と意味の再構築を通じて発展させたという点も重要な発見です。本研究は、制度改革が企業の認識を変革しうる可能性と、大規模テキスト分析の有効性を示唆しています。

著者コメント

経営学部会計ガバナンス学科 池田 安生教授
ホットなトピックスの一つである人的資本経営に関して、2025年3月より財務会計とデータサイエンス、それぞれの知見を持ち寄って共同研究を進めてきました。今回、このようにグローバルレベルでの発信ができたことは大きな成果であると考えます。 今後も、武蔵野大学の研究機関としての評価に貢献できるよう、引き続き努力を重ねたいと思います。

大学の研究機関としての評価向上に貢献

本研究の成果は、人的資本経営という現代社会の課題解決に資するものであり、企業のサステナビリティ戦略や政策立案にも貢献が期待されます。経営学部会計ガバナンス学科は、会計分野の研究領域をより学際的に展開させ、社会に貢献する研究を継続的に推進してまいります。

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