2月10日、有明キャンパスにおいて本学初となる「MU気候学生会議2026」を開催しました。本会議は環境システム学科(2023年度よりサステナビリティ学科に名称変更)の学生グループの呼びかけにより実現したもので、近年国内外で注目される「気候市民会議」をモデルに本学独自の形式にアレンジし開催したものです。

気候市民会議とは?
気候市民会議とは、無作為に抽出された市民が複数回会合に参加し、科学的知見を得て、対話と熟慮と投票を繰り返し、気候変動対策をまとめ、提言するというものです。特定の業界や利害関係者の強い影響を受けにくく、多様な市民に共通する意見を反映した、広く受け入れられつつ効果の大きな気候変動対策を提示することができます。 2019年から2020年にフランスやイギリスで100人を超える市民を集めて実施され、その後、日本を含む世界各地の国や地方自治体で実施されています。(国立環境研究所HPより)
大学近隣では小金井市や多摩市で実施されており、大学生主体となって行ったものとしては龍谷大学、お茶の水女子大学等で事例があります。
武蔵野大学における「気候学生会議」とは?
本学では学部・学科・学年の枠を超えて学生が集まるように、教員を通じて様々な学科へ呼びかけ、参加者を募りました。多くの学生が専門的な予備知識を持たないことをふまえ、参加にあたっては特設ページに設置された動画を視聴したうえで、会議に参加することを求めました。動画では、工学部サステナビリティ学科の白井教授が気候変動の現状や課題、私たちにどんなアクションができるかについて解説を行い、個人行動から社会的な行動に踏み出すことへの意義や有効性について説明されました。また、東京臨海まちづくり協議会における気候変動への取組みを説明する動画も視聴してもらいました。
ゲーム形式で環境問題について考える~当日の様子①~
当日は、事前学習の内容をゲーム形式で振り返るグループワークからスタートしました。短冊に記載された選択肢を2つ組み合わせて回答を導く形式で、「なんだっけ?」「難しいな」という声が飛び交い、5分という短時間での挑戦に苦戦する様子が見受けられました。
続いて、オンラインクイズ学習プラットフォームを使用した個人戦の環境クイズを実施しました。「2015年のパリ協定で採択された世界的な努力目標は次のうちどれでしょう?」といった、事前学習動画でもふれられた環境問題について基礎知識を問う問題から、「まちづくり協議会が取り組んでいる臨海地域の課題として誤っているものはどれでしょう」といった地域特性をふまえた問題まで出題されました。苦戦する学生に対し、当日オブザーバーとして同席したまちづくり協議会の方からは「これは正解してもらいたい」というつぶやきが聞こえました。

短冊形ゲームに苦戦する学生

オンライン環境クイズ

見守る大人たち
学生が考えるカーボンニュートラルな未来の大学とは?~当日の様子②~
その後、「カーボンニュートラルな未来の大学を考えよう!」というテーマの下、グループワークが行われました。まずは各自の考える理想の大学を付箋に書き出しました。温泉や足湯、休憩所、おいしい学食が欲しいなど個人の欲望を満たす案があがるなか、白井教授より「カーボンニュートラルとは温室効果ガスの排出量を、実質的にゼロにすることを指している」という説明が加えられ、軌道修正が行われました。また、進行を担ったサステナビリティ学科の学生が各テーブルを回り、個人のアイディアと環境問題との関連付けをサポートするアドバイスを行っていきました。
最終的に書き出したアイディアを班ごとにまとめ、発表を行いました。「ジムに自転車発電の機械を用意する」「学生が集まれる休憩所を用意して冷暖房をまとめる」など学生ならではの意見が出ました。



コメント「学生の間で気候変動への関心とアクションの輪が広がる新たな始まりになることを期待」

工学部サステナビリティ学科
白井 信雄教授
気候変動に対して何をしていいかわからないという声が強まっているなか、行政や企業に任せず、誰もが自分たち主導で学び、気候アクションを起こしていくことが必要だと考えています。各地の気候市民会議のサポートをしたり、授業内で世の中の動きとして「気候市民会議」を取り上げています。学科としても気候学生会議ができないだろうかと考えていたところ、学生たちが「学生主体で気候市民会議を実施したい」と動きだしてくれて、今回の開催となりました。主体となった学生たちは、自分たちで学生団体を立ち上げ、1年生時から地域のごみ拾い、キャンパス内の古着リユース、企業と連携した環境映画やイベント出展等の活動など様々な形で走り続けてくれました。今回はメンバー(清水 美知花さん、戸田 二巴さん、小林 千夏さん、林 利咲さん、今野 こももさん)が卒業する前のラストイベントとして主催してくれ、後輩たちによいバトンパスができたのではないかと思います。
当日は、学生ならではの自由で柔軟な発想や、率直な意見が数多くうまれ、非常に意義深い会になりました。私たち一人ひとりが環境問題に対してできることは決して大きくありませんが、集団で社会に働きかける意識を高めることが求められます。この「MU気候学生会議」が学生間に気候変動問題への関心とアクションの輪を広げる新たな始まりとなることを期待しています。
学生主導プロジェクトの立ち上げを目標に活動
本来の気候市民会議は、無作為に選ばれた市民が複数回にわたり議論を重ね提案をまとめます。今回の「MU気候学生会議」は今後継続して実施していく会議のキックオフとして位置づけ、継続的参加はもとより、メンバーを固定せず、武蔵野大生であればだれもが参加できるよう門戸を開く予定です。
最終的には、大学や地域に対する学生発の提言や学生主導で実践していくプロジェクトを立ち上げることを目標に、活動を展開していきます。
関連リンク
- 工学部サステナビリティ学科
https://www.musashinou. ac.jp/academics/faculty/engineering/sustainability_studies/ - 工学部サステナビリティ学科(特設サイト)
https://esg.musashino-u.ac.jp/ - 日刊工業新聞社掲載(26.02.27 第二部)
https://biznova.nikkan.co.jp/article/feature/environment2602_07