工学部建築デザイン学科の太田 裕通講師と学生18名(4年生3名、3年生3名、2年生12名)のプロジェクト「あわいdeカタチ」で、埼玉県入間郡毛呂山町のマンゴー農家「さいたマンゴー」の直売所をデザインしました。4月の現地視察から、設計、制作を学生主体で進め、7月23日に納品と設置を行いました。
建築デザイン学科の授業の一つである「プロジェクト」では、担当教員毎に異なるテーマを学年横断的に取り組みます。太田講師が担当する、あわいdeカタチ・プロジェクトは「社会のあわいで建築する」をモットーに※、学外でのデザイン実践に取り組んでいます。去年は横浜の関内・吉田町通りにストリートファニチャーを設置しました。
※あわいとは、向かい合うもののあいだや相互関係を表す大和言葉です。
今年は埼玉県入間郡毛呂山町のマンゴー農家「さいたマンゴー」の直売所をデザインしました。園主の中村 奨平さんは太田講師の小学校時代の友人で、そのご縁から今回、直売所の棚、少しくつろげるようなベンチのデザインを学生が設計・制作することになりました。
まず学生たちは現地視察を行い、複数のアイデアを考案しました。その後、中村さんを大学に招いて講評会を実施し、対話を経て一つの案に決定しました。
「さいたマンゴー」は埼玉県内だけでなく、他県からも車で買いにくる人がいるほどの人気商品です。直売所というと、野菜の無人販売などがイメージされるかもしれませんが、「さいたマンゴー」は園主である中村さんが購入者に直接販売しています。
マンゴーは1年かけて成長し、夏に落果し収穫するため、直売所の営業は1年のうち夏の1ヶ月間だけです。学生たちはマンゴーを販売しない残り11ヶ月も存在感があり、通りかかった人に印象を与えること、マンゴーの収穫量に合わせて置き方を自由に変えられること、等をコンセプトに設計しました。最終的には40mm角の檜材を使った格子状の棚のデザインが完成しました。棚板だけでなく、ネットを使ってマンゴーのためのハンモックや、マンゴーを吊るす仕掛けなどさまざまな用途で使えるものになっています。
また、現地にあった運送などで緩衝材として使われるプラスチックパレットを重ねて、ラタンを巻きつけたベンチを作りました。とても簡単な作りですが、少しの工夫で無骨なパレットが人の居場所になりました。ラタンを解けば元の姿に戻るので、ゴミをできるだけ出さない設計となっています。
■コメント
太田 裕通講師(工学部 建築デザイン学科)
普段のデザイン系実習とは異なり、実社会をフィールドとして設計・制作・設置までを行うことができる貴重な機会であり、学生たちのモチベーションも高かったと思います。マンゴーの収穫が7月なので、それに合わせてタイトな慌ただしいスケジュールでしたが、学生たちは皆よく頑張ったと思います。無事に完成し、園主の中村さんにも喜んでいただきました。
佐野 瑠美さん(工学部 建築デザイン学科3年生、プロジェクトリーダー)
プロジェクトメンバーの協力で、現地視察からプレゼン、制作まで無事に遂行できました。自分達で考えた案を実際に造り、成果がカタチとして残る、貴重なプロジェクトになりました。
藤田 夏綺さん(工学部 建築デザイン学科 2年生)
今回の「さいたマンゴー」のプロジェクトは自分達で設計し実際に棚、椅子をつくるという実践的なものでとても貴重な体験ができました。みんなでたくさんの案を出し合い、納得いくものを作れたので良かったです。現地に行き設置してみると想像以上に農家ののどかな雰囲気にあっていて、ただ販売する場だけでなく、訪れたお客さんが写真を撮ったり、少し腰掛けてくつろげたりするような新しいスポットを作れたような気がして嬉しかったです。
【関連リンク】
- 工学部 建築デザイン学科
https://www.musashino-u.ac.jp/academics/faculty/engineering/architecture/
- 武蔵野大学太田研究室HP
- あわいdeカタチプロジェクト Instagram