工学部建築デザイン学科の2024年度卒業生、伊藤 美紀さんが埼玉建築設計監理協会主催の「第25回卒業設計コンクール」において「埼玉県住宅供給公社賞」を受賞しました。受賞作品は、2025年6月中旬頃まで埼玉県住宅供給公社本社(さいたま市浦和区)および、川越市役所に展示されています。


このコンクールは、埼玉県の地域性や歴史、自然、文化を踏まえながら、新しい視点で未来の建築やデザインを提案する卒業設計作品を募集・表彰するものです。伊藤さんの作品は、「まちづくり」の観点から特に優れた提案として評価され、「埼玉県住宅供給公社賞」に選ばれました。
今回、伊藤さんが制作した作品は「作品名:みらいのわ -50年後のいま、50年後のみらい-」です。
本作品は、1960年代に開発された埼玉県川越市の分譲戸建住宅地「角栄団地」を対象とし、約50年間にわたって育まれてきた地域固有の魅力や暮らしの積層を丁寧な調査によって紐解き、これらを継承・再編する建築および地域デザインのあり方を提示したものです。
計画的に整備されたメインストリートや三角公園、商店街といった特徴的な空間の発見に加え、公民館などの施設の利用実態、住民団体の活動、子どもたちの遊びの様子など、現地で観察された多様な生活の痕跡を織り込みながら、縮小傾向にあるニュータウンがそれでもなお豊かな住環境を保ち続ける姿を描き出しました。
本作品は、学内の卒業設計審査会においても最優秀賞を受賞しており、高い評価を受けています。
なお、今回応募した第25回卒業設計コンクールは、埼玉県を主たる敷地とする作品を対象とした地域密着型のコンクールであり、本作はその主旨にも非常に適合していたといえます。
受賞作品は、2025年6月中旬頃まで埼玉県住宅供給公社本社(さいたま市浦和区)および、川越市役所に展示されています。
コメント
■工学部建築デザイン学科 2024年度卒業生 伊藤 美紀さん
この度は、埼玉県住宅供給公社賞というまちづくりに関する賞をいただき、大変嬉しく思います。生まれ育った地域を対象とし、少子高齢化問題を街の利点と捉え、高齢者に寄り添いながら未来へ継承していく地域計画を研究してきました。地元・埼玉県で作品を評価して頂けたこと、この地域をより多くの方に知って頂けたことをとても誇りに思います。この作品は、埼玉県住宅供給公社と川越市役所に今後展示していただきます。この作品が多くの方々の目にとまり、この街に関心を持っていただけるきっかけになればいいなと願っています。
■工学部建築デザイン学科 太田 裕通講師(指導教員)
伊藤さんの作品が今回受賞されたことを、大変うれしく思います。彼女が1年をかけて、対象地域を丁寧に読み解き、真摯に設計提案へと昇華させた姿勢は素晴らしく、教員としても誇らしい限りです。 一見すると派手さに欠ける印象を持たれるかもしれない作品ですが、だからこそ、実際の暮らしや地域性をていねいに掘り下げたプロセスと提案が評価されたことに、深い意味を感じます。 今回の賞を授与された住宅供給公社は、まさにまちづくりや団地の再編に取り組まれているところであり、作品のテーマとも強く響き合ったのではないかと感じております。