このページの本文へ移動

お知らせ

建築デザイン学科 太田 裕通講師の研究室とデザインチーム OKAAA+dam_がコラボレーションして制作したストリートファニチャーが三軒茶屋の社会実験「SANCHA STREET TERRACE」に設置されました

学部・大学院
  • 学び
  • 工学部
  • 建築デザイン学科

6月29日、工学部建築デザイン学科の太田 裕通講師の研究室とデザインチーム OKAAA+dam_ がコラボレーションし制作したストリートファニチャーが、三軒茶屋で開催された社会実験 「SANCHA STREET TERRACE」 に設置されました。
このイベントは、茶沢通り(三軒茶屋銀座商店街)を歩行者中心に開放し、公共空間を活用した“街に開かれた居場所づくり”を検証する取り組みです。令和7年度は、令和6年度に実施された 「三茶ストリートファニチャーデザインコンペ」 で選ばれた4作品がまちに設置されました。当日は、同時開催されたマルシェイベント 「have a goood market」 とともに、多くの来場者で賑わいました。

作品について

本作「JELLY SANCHA」は、素朴な素材である波板と合板を組み合わせてデザインした、シンプルなストリートファニチャーです。舞台となる三軒茶屋のメインストリート・茶沢通りは、個性豊かな路上店の魅力が街路にあふれ出す活気ある場であるため、この街のチャーミングな雰囲気にふさわしい、親しみがあり、軽やかなファニチャーを提案しました。透明感ある波板を円柱状の構造体として使用し、視覚的にゼリーを思わせるような愛らしい印象を与えつつも、スツールやテーブルとして必要な強度を確保しています。天板や座面はラワン合板をデジタルファブリケーションによりシンプルに加工。平面形状と高さに多彩なバリエーションを持たせ、複数が群として街路に配置されることで、多様で魅力的な人々の拠り所を生み出します。また、使用する透明波板には東急・三軒茶屋駅のシンボルカラーであるレモン色を施しています。さらに、天板の裏面には電池式照明を仕込み、波板を照明カバーとして利用することで、夜間には街路を優しく照らす行灯のような役割も果たします。昼と夜で異なる表情を見せる三軒茶屋の街並みと調和し、夜間は幻想的なムードを演出しながら、街路空間を柔らかな光で満たすことを目指しました。

撮影:岡本章大

コメント

■工学部建築デザイン学科 太田 裕通講師

近年、歩行者利便増進道路、いわゆる「ほこみち」の制度を活用した都市空間の再編が、全国各地の自治体で活発に進められています。都市における歩行者空間の再定義は、単なる交通機能の転換にとどまらず、日常の風景や人々のふるまいに新たな質をもたらす契機となっています。
本プロジェクトは、そうした都市空間の転換期における実践のひとつとして、世田谷区三軒茶屋を舞台に行われたストリートファニチャーコンペで受賞した提案を、実際の茶沢通りに設置・展開したものです。我々が制作したファニチャーは、単なる一過性のインスタレーションではなく、継続的な社会実験の一部として位置づけられており、今秋以降には夜間照明を備えたバージョンが街路空間に設置される予定です。時間帯によって表情を変えるファニチャーが、三軒茶屋の夜の風景に新たな彩りを添えることが期待されます。

学生にとって本プロジェクトは、アイデアを社会に実装する過程を実地で経験できるまたとない学びの場となりました。地域住民や行政、企業と協働しながら設計・製作を進めるなかで、建築や都市デザインが単独の創造行為ではなく、多様な主体との対話を通じてかたちづくられていく営みであることを実感したはずです。
太田研究室では、地域の公共空間における滞在の質の向上や、人と場所との関係性を豊かにするデザインの可能性について、実践的な研究を進めています。今後も、社会との協働を通じたデザイン教育と研究の深化を目指してまいります。

関連リンク

一覧に戻る