4月30日、経済学部経済学科の石原 真三子ゼミ、平湯 直子ゼミ、那須田 晃子ゼミの3年生(計52名)で都立第五福竜丸展示館および夢の島熱帯植物館の見学を行いました。この学外授業は、事前学修から実地見学、事後の課題発見・分析までを一貫して行うことで、核問題や環境保全といった現代社会の重要課題について多面的に分析することを目的としています。
事前学修で歴史的・社会的背景を深める
見学に先立ち、ゼミごとに「第五福竜丸について」「夢の島の成り立ちについて」「木場の歴史」「原水爆禁止運動」「ノーベル平和賞」「イランアメリカ核合意」などのテーマでグループワークを実施しました。自分たちの足で訪れる場所の歴史的・社会的背景をあらかじめ共有しておくことで、単なる見学に留まらず、当事者意識を持つことを意識しました。
核被害の実態と環境保全の取り組みを肌で感じる
第五福竜丸展示館では、1954年の米国の水爆実験による被害を受けた木造漁船「第五福竜丸」の実物を見学しました。展示館の学芸員の方から、第五福竜丸の乗組員の被害の実態、当時の報道や日本社会の状況の説明を聴き、その他の原水爆実験についての展示をみることで、核被害の実態および国際社会や地球環境に与えた影響を知り、平和の大切さについて再確認しました。 続いて訪れた夢の島熱帯植物館では、熱帯の水辺に生息する植物、私達の生活にも関わりがあるバナナやカカオなどの果実植物、絶滅が危惧される小笠原諸島の固有種などを観賞しました。かつてのゴミ埋立地が、清掃工場の余熱を利用した熱帯雨林の再現や環境教育の拠点へと生まれ変わった歴史を学び、循環型経済の重要性について理解を深めました。
学生の感想「平和と環境の課題を改めて考える機会に」
- 被爆の惨状や当時の社会情勢を学ぶことができた。
- 歴史を身近に感じ、戦争や核問題について深く考える良い機会になった。
- 実際に船体に降り注いだ放射性降下物がそのまま展示されており、その生々しさにとても圧倒された。
- 第五福竜丸を見終えて植物館に入ると、重苦しさから解放され、破滅感から生命感への転換を感じた。
- さまざまな植物を観察し、自然の多様性や環境を守る大切さを実感した。
- 植物館はゴミ焼却の余熱を利用するという環境に優しい取り組みで、同時に来館者を楽しませることができるのは、とても素晴らしいことだと思った。
事後学修で社会課題への問いを深める
見学後のグループワークでは、「(被爆したマグロを廃棄したことから)核実験の問題は、軍事だけでなく、自分たちの食卓や経済につながっていることがわかる」「核兵器の被害は、(広島や長崎のような)戦争中だけでなく、戦争と関係なく普通に働いていた人にも及ぶ」「被害を受けた人々はその後どのような生活を送ったのか」「(この水爆実験地域である)マーシャル諸島の住民はどうなったのか」「第五福竜丸事件がなぜ世界で報道されていないのか」「世界中で原水爆実験の被害はどれくらいあるのか」などの疑問点や気づいたことが挙げられました。
問いから分析へ
ゼミナールでは、今回の見学で得た学生自身の「問い」から現在の社会・経済につながる問題を考えて、社会問題の分析の学修に発展させていく予定です。