
6月2日、法学部法律学科1年生を対象に、公正取引委員会による特別授業「独占禁止法教室」を実施しました。法学の基礎を学び始める段階にある学生が独占禁止法に触れることで、社会における公正な競争の意義や法の役割についての理解を深めるとともに、将来社会で活躍する社会人として経済活動におけるルールである独占禁止法の重要性を理解し、さらに一消費者としての視点から公正な競争の意義を学ぶことを狙いとして実施されました。
当日は、公正取引委員会の小畑 紳一郎氏が講師を務め、独占禁止法の基本的な考え方や役割について解説が行われました。
競争の必要性と公正取引委員会の実務について学ぶ

講義では、企業間の競争のあり方や市場の仕組みに加え、カルテルや入札談合などの具体的な違反事例も紹介され、学生は実社会と結び付けながら理解を深めました。また、公正取引委員会の役割や意思決定の仕組みについても触れられ、合議制による判断を通じて公正性や中立性が確保されている点について理解を深める機会となりました。
さらに講師の小畑氏がこれまで担当されてきた、途上国の競争当局に対する技術支援や適切な価格転嫁を図る取組、事件審査といった公正取引委員会での具体的な業務についてもご紹介いただき、公正取引委員会の実務への理解を深める内容となりました。
講義内容
講義では、以下のようなテーマが取り上げられました。
- 市場における競争の意義と公正取引委員会の役割
- 行政機関としての公正取引委員会の位置付けと組織体制
- 独占禁止法における主な禁止行為(カルテル、不公正な取引方法等)
- 具体的な事例を通じた制度理解
教員コメント「社会のルールを多角的にとらえるリテラシーの向上へ」
法学部法律学科 学科長
佐々木 通孝教授
法学部法律学科の1年生が、独占禁止法を含む経済法を学ぶ意義は、社会のルールを多角的に捉える視点を得られる点にある。1年次で履修する憲法が、公権力から「個人の自由や権利」を守る基本法であるのに対し、独占禁止法は「市場における経済活動の自由」を守る「経済憲法」と称される。憲法が保障する経済的自由(職業選択の自由や財産権など)が、実際の社会でどのように具体化され、公正な競争のためにどう制限されるのかを初期から意識することは、法の全体像を立体的に理解する一助となる。国家と個人を律する憲法の視点と、企業間競争を律する独占禁止法の視点を同時に養うことは、社会のルールを多角的に捉えるリテラシーの向上へと繋がるであろう。
参加学生のコメント
- 「私的独占」として独占禁止法で取り締まるのは主に、独占している“状態”よりも、独占しようとする“行為”であるということが興味深かったです。
- 公正取引委員会の意思決定が合議制で行われていると知り、複数の視点で検討することで、公正な競争を支えているのだと感じました。
- 法律によって企業を規制することが、市場における公正な競争を維持し、最終的には消費者の生活を守ることに繋がっているのだと理解できました。
- 普段何気なく見ている価格も、公正な競争の上に成り立っていると知り、日常生活での価格の見方が変わりました。
- 日本や海外の有名企業での実例もご紹介いただき、身近な出来事として捉えながら独占禁止法の意義を理解することができました。
- 将来企業で働くうえでも、公正な取引を意識することが重要だと感じました。