8月25日、響学開発センター主催の第2回目的別FD※研修会を実施しました。今回のテーマは「年内入試合格者に対する教育支援について考える」。近年、年内入試による入学者が増加する中、合格から入学までの期間における学習習慣や学力の低下が課題となっています。そこで今回の研修会では、法人内の中学校・高等学校・大学の教職員がそれぞれの立場から年内入試合格者の現状や課題を共有するとともに、入学後の学びにつながる入学前教育の在り方について、情報交換や意見交換を行いました。
※FD(=Faculty Development ファカルティ・ディベロップメント)とは、組織的な教育内容・教育方法改善に関る教員啓発活動のことです。本学では、教育理念の実現に向け、ファカルティー・ディベロップメント(FD)を積極的に推進し、学部学科及び大学院の教育方法を改善、向上することを目的としています。
入試形態による入学者の特徴を共有

はじめに、響学開発センター長の鈴木 克明教授より開会の挨拶があり、続いて、入試部長の渡部 博志教授より「入試形態の多様化と年内入試の現状」について説明がありました。入試形態については、「総合型選抜」「学校推薦型選抜」「一般選抜」の主な3つの類型が挙げられ、本学の入学者データを入試形態別に分析した結果についても説明がありました。入学時には、入試形態によって「思考力の高さ」や「体験の豊富さ」などに一定の傾向が見られるものの、卒業時には大きな差が見られないことが示されました。一方で、4年間で卒業する学生の割合や大学満足度については、入試形態によって差が見られる現状も紹介されました。
高等学校における進路支援の現状

次に、武蔵野大学中学校・高等学校の進路指導部長である田中 理奈先生、千代田中学校・高等学校の進路部長である保坂 朗子先生から、各校の学びの特徴や支援体制、進路状況について説明がありました。また、年内入試を含む進路選択をめぐる現状や課題、各校で行っている進路指導の取り組みについても紹介されました。
大学における入学前教育の現状と課題

続いて、副学長の村松 陸雄教授より「大学における入学前教育の現状」について説明がありました。まず、本学で実施している入学前教育について、「基礎学力の向上」や「学びへのモチベーションの向上」「入学者同士の人間関係の構築」などを目的としていることが説明されました。そのうえで、現在の取り組みとして、全学部共通で「英語教育」「情報教育」を行っているほか、各学科においても、それぞれの学びに応じた入学前教育を実施していることが紹介されました。一方で、現状の課題として、「プログラム数の肥大化による受講完了率の低さ」「成果検証の不確立」「運用の煩雑化」「費用の増大」などが挙げられました。 また、令和10年度入学者を対象とした新たな入学前教育プログラムについても説明があり、入学予定者自身が「受講する意義」を理解し、主体的に取り組める入学前教育の在り方について考える必要性が示されました。
中高大の教職員が入学前教育の在り方を考える

その後、参加者によるグループワークを行いました。まず、「高校と大学それぞれの立場からみた、生徒・学生の実態とは?」をテーマに、生徒・学生の進路選択や、大学での学びに対する意識について意見を交わしました。参加者からは、入試区分による違い以上に、「大学に入って何をしたいのか」という目的意識を持っているかどうかが重要なのではないかとの意見が出されました。大学への進学そのものが目的となり、入学後に何を学びたいのかが十分に考えられていないケースもあることから、早い段階で進路が決まる生徒に対して、入学までの期間にどのように学ぶ目的や意欲を育んでいくかが重要であるとの意見もありました。

続いて、「これからの時代に必要な入学前教育とは何か」をテーマに、大学での学びへ円滑につなげるために、どのような入学前教育を提供することが必要なのかについて議論しました。参加者からは、基礎学力の向上に加え、入学予定者が大学での学びを具体的にイメージし、入学後への期待を持てるような仕掛けが必要ではないかとの意見が出されました。例えば、大学の授業を入学前に体験するなど、実際の大学での学びに触れる機会を設けることで、入学後の学修へのモチベーションにつなげられるのではないかとの意見もありました。また、入学前教育を高校または大学のどちらか一方が担うのではなく、高校と大学が連携し、それぞれの役割を生かしながら入学予定者を支援していくことの重要性についても意見が交わされました。
今後も響学開発センターでは、垣根を越えた教職員の意見交換を通じて、学生・生徒一人ひとりの学びを支える教育の充実に取り組んでいきます。