9月10日、文学部日本文学文化学科の選択科目「日本文学文化研究調査実習」において、1年生から4年生まで7名が長野県の印刷製本会社「日本ハイコム株式会社」の本社を訪問し、実習授業を行いました。 日本ハイコムは、DTP(データ作成)から印刷・製本、発送まで、印刷物が完成するまでの一連の工程を手がける会社です。今回の実習では、実際の現場を見学しながら、印刷・製本の工程について学びました。

印刷の現場で光る「職人技」の数々に目からウロコ!
日本ハイコムは、標高950mの塩嶺高原に本社を構えています。できあがった「製品」は本社からトラックで毎日東京本社まで運ばれ、東京で買い付けた「紙」を乗せて戻ってきます。「紙」が「商品」になるまでには、印刷と製本という工程が必要です。今回の見学では、その全行程を見せていただきました。
紙はとても大きなサイズで運び込まれてきますので、最初の工程は「裁断」。できるだけ無駄がでないように計算されて紙が切られていきます。使用される紙の種類も、軽量タイプから重量タイプまで、実にさまざまです。
日本ハイコムでは、「オフセット印刷機」という大型の機械を使った印刷と、「オンデマンド印刷」というパソコンから直接出力する印刷の二種類を取り扱っています。オフセットは手作業でインクの調節ができるため、職人の技量が求められます。一方、安価で早い「オンデマンド」も性能が上がっているため、素人目にはオフセットとの区別がつかないような製品もありました。
最新の印刷機はUVライトを搭載した大型タイプ。ライトを当てると一瞬でインクが乾くという優れものですが、紙にインクが馴染む前に「固めている」だけなので、職人さんいわく一長一短なのだそうです。また、特殊なインクを利用するため、どうしても高価にならざるをえないという一面もあると教えていただきました。
このように印刷には「機械」の力が必要ですが、その利用にはさまざまな人間の目と手による「微調整」も必須となります。印刷会社の仕事は、執筆者や出版社のイメージをなるべく紙の上に「再現」することが求められますが、1冊の本ができあがるまでには実にさまざまな要素・工夫が詰まっていることが体感できる特別なひとときでした。


詳しいレポートは、学科公式noteで公開されている「2026ぶらりハイコムの旅」をぜひお読みください。
学生の感想 「本に対する解像度が上がる一日」
見学を終えた学生からは、以下のような感想が寄せられました。
- 文学を読むことと、本がどのようにつくられているのかを知ることは、一見すると別の学びのように思える。しかし今回の実習を通して、その二つは確かにつながっていることが分かりました。作品を生み出す人と、それを本という形にして読者へ届ける人。その双方の仕事があって初めて、私たちは一冊の本を手に取り、文学を読むことができるのだと思います。
- 非常に貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。とても楽しかったし、学びになったし、本に対する解像度が上がる一日でした。めったに見られないほどの大きな紙がそこかしこにあることからして大興奮で、そのうえ、裁断機や印刷機、そのほか様々な機械を見ることができて、ワクワクが止まりませんでした。実習の前に印刷博物館で仕組みは多少学んでいましたが、実際に見てみることによって知識が理解になりました。
- 印刷に使用されるインクについても興味を持ちました。普段、本に印刷されている文字や写真を見る際には、インクそのものを意識することはほとんどありませんでした。しかし、実際の印刷現場を見学させていただくことで、インクも本をつくるために欠かせない重要な要素の一つであることを知りました。紙にどのようにインクが乗り、文字や色が表現されていくのかという点にも印刷の技術が関わっていることを知り、普段何気なく見ている印刷物にも、多くの技術や工夫が詰まっていることに気づきました。
コメント
文学部日本文学文化学科 堀切 克洋教授
小ロット部数の制作が強みの「日本ハイコム株式会社」は、俳句や短歌の雑誌も多く手がけているため、わたし個人としても関心があったのですが、実際に工場を訪問すると「本ができるまで」には、さまざまな工夫や苦労があることがよくわかりました。文学を支えてくださっている方々の「顔」が見られたこと、じかに話が聞けたことは、学生のみならずわたしにとっても、とても貴重な経験でした。武蔵野大学の文学部には書店でアルバイトをしていたり、自分で小説や詩を書いたりする学生も多いので、今後も「本」や「雑誌」をめぐる実習を提案していきたいと思います。
関連リンク
- 文学部日本文学文化学科
https://www.musashino-u.ac.jp/academics/faculty/literature/japanese_literature_and_culture/ - 日本文学文化学科公式note「【授業紹介】日本文学文化研究調査実習G──2026ぶらりハイコムの旅」
https://note.com/mu_nichibun/n/nf66572e562ed - 日本ハイコム ニュース&トピックス「大学生の皆さんが工場見学に来ました。」
https://www.hcom.co.jp/news/2026/09/post-136.html