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Vol.14

「ワールド・ハピネス・レポート」

前回は国際幸福デー(3/20)の話をしましたが、毎年同じ日に「世界幸福度調査(World Happiness Report)が発表され、毎年、「今年も日本は先進国中最下位」とマスコミで話題になります。果たして日本人の幸福度は本当に低いのでしょうか。

この調査は、「最悪の人生を〇点、最高の人生を一〇点としたとき、あなたの人生は何点ですか」という質問に対する回答結果を各国ごとに平均したもの。今年はどんな結果になるのでしょうか。

私はこの調査方法には違和感を持っています。図はある年における分布図です。東アジアでは5がピークの分布、北米・豪州・NZは8がピークの分布。一方で、日本は5と8にピークのある分布となっています。

東アジア、日本、北米・豪州・NZの幸福度分布の比較

図 東アジア、日本、北米・豪州・NZの幸福度分布の比較
(出典:『ウェルビーイング』(日経文庫)を著者が改変)
東アジアのような集団主義的な傾向の強い文化圏では、最悪が〇で最高が一〇だといわれると、自分の人生は普通だから五と答える国民が多いと考えられます。周りとの調和を重視しますから、自分だけ高い点をつけることは憚られます。また、中庸や平穏無事な幸福感を重視する傾向も影響するでしょう。一方、個人主義的な文化圏では自分に自信を持ち自立することが優れていると考える傾向が強いので、北米などの個人主義的な国家では「自分はもちろん幸せ」と自信を持って八や七と答える人が多いのではないでしょうか。

日本だけ二山なのは、集団主義的な考え方と個人主義的な考え方が混在している、つまりアジア的思考の国民と欧米的思考の国民の、二つの思考が拮抗する国と考えることができそうです。統計的に見て、日本人は一つの集団というよりも二つの正規分布の重ね合わせから成る多様な人々と考えるほうが妥当なのです。

ちなみに、オランダエラスムス大学のWord Database of Happinessの研究結果をみると、日本の幸福度は先進国の中で中程度です。こちらの方が日本の順位を適切に表しているように思えます。アンケートの取り方が少し変わるだけで日本の順位は先進国中最下位にも中程度にもなるというわけですから、統計データを比較するときには注意が必要です。

人の目を気にしすぎない人が幸せなわけですから、他人は他人、自分は自分。他人と比べすぎるのではなく、自分の個性的な幸せを追求していきましょう。
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