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Vol.17

「日本は没落するしかないのか!?」

先日、東大名誉教授の月尾嘉男先生と対談しました。1942年生まれですから、私よりも20歳先輩。そうは思えない若々しさでした。

その対談の後の食事の席で、日本の経済・社会はなぜこんなに没落したのか? という話になりました。月尾先生の答えは明快でした。「日本人が優れていると過信したのが間違いで、ある国が栄えると次は隣が栄えるという経験則に従っているだけ。」イギリスの次はアメリカ、アメリカの次は日本、日本の次は韓国、韓国の次は中国と、栄える国が移り変わっているだけで、それ以外の何ものでもない。国も企業も栄えた後は制度疲労し大企業病になり縦割りになり前例踏襲になり既得権益がはびこりルールとマニュアルだらけになり生産性が下がる。隣の新興国は制度の疲労などなく隣の国を真似してちょっと新しさを付け加えればいいのだから、そりゃあ栄えるわけです。

「では、失われた三十年を乗り超えて日本が再浮上、というシナリオはありえないんですか?」「ないです。」明確でした。

「しかし、明治維新や敗戦のようなカタストロフィックな変化で制度疲労をオールクリアすれば、再浮上の可能性はありますよね?」という質問には、「それなら、ありえるでしょうね」というお返事でした。

日本人は勤勉で優れている。日本には優れた文化がある。日本は特別な国だ。そう思いたい気持ちもわかりますが、考えてみれば、他の国にも優れた面はありますし、どの国だって個性があって特別です。ダイバーシティー&インクルージョンですよね。

ということは、明治維新で身分制度を解体したり、敗戦の時に財閥を解体したりしてオールクリアしたような国家ぐるみのオールリセットを三たびやるしか日本再浮上のシナリオはないのでしょうか。

もうひとつありえるのはアントレプレナーシップと市場原理だと思います。大企業が制度疲労していて魅力がないなら、若い人は行かなければいい。起業するか、ベンチャーに入るか、元気な中小企業に入ればいい。すでに勤めている人も、転職したり起業したりすればいい。流動化の促進です。そして、古いものは退場し、新しくていいものが拡大し、日本の産業界が生まれ変われば、日本は再び活性化するでしょう。政治家も経済界も、この新陳代謝を邪魔しないでほしい。古いものを守るとそれだけ新しくなるのが遅れるわけですから。

このやり方だと、市場原理による淘汰圧のない官僚機構や学校教育の変革は遅れますけどね。しかし、どこかが変われば他も変わる。今必要なのは、ウェルビーイング・イノベーションなのではないでしょうか。
 
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