Vol.02「幸せの測り方・高め方」

先日、日立の矢野和男さんと、とある講演会でご一緒しました。矢野さんは、加速度計と人工知能でウェルビーイング(幸福度)を測る、という斬新なテクノロジーを開発した人で、現在はハピネスプラネットという会社の経営も行っておられます。
テクノロジで徹底的にウェルビーイングを測る、というのが矢野さんの得意分野です。矢野さんは私と同じ理科系出身。私の場合はアンケートで幸せを測るという心理学におけるオーソドックスなやり方をに行き着きましたが、矢野さんは理科系のまま幸せ研究しているところがすごいところです。
しかし、面白いもので、矢野さんは、自分の幸せを15項目にわたって10段階アンケートで毎日答えているといいます。もちろん、加速度計+人工知能でも測っているのでしょうが、ここではオーソドックスな心理学的手法を使っているようなのです。
15項目というと、やりがいとか、ポジティブな感情とか、ストレスとか、人間関係の順調さなどでしょうか。心理学をベースとした幸せ研究では、様々な事柄が幸せに影響することが知られていますので、矢野さんがどんな項目で幸福度チェックをしているのか、興味深いですね。
ところが興味深いのはこのあとです。矢野さんはおっしゃっていました。
「調子が悪いと、低い点数をつけるじゃないですか。そうすると、それに引きずられて、なんだか調子が悪くなっちゃうんですよ。だから、最近は、全項目10点満点をつけることにしました」
えっ。全部10点だと、測っていることにならないのでは? そう思いますよね。
矢野さんはおっしゃいます。
「大事なのは、なぜ10点満点になるのかを、項目ごとに考えることです」
なるほど、ポジティブです。どんな事柄にも、いい面と悪い面がありますよね。そこで、全ての事柄に、ポジティブ100%の評価をまずして、そのあとでなぜポジティブ100%なのか意味づけをするというわけです。もはや、幸せを計測しているのではなくて、自分の心を幸せに持っていくための一つの方法ですよね。いいことを聞きました。みんなでやってみましょう。
- あなたはいまやりがいを感じていますか?
- 幸せでポジティブな感情に溢れていますか?
- ストレスは十分小さいですか?
- 人間関係は順調ですか?
最悪を1点、最高を10点として、すべて10点をつけてみてください。
さあ、なぜ10点なのですか?
全部説明できたら、あなたは幸せです。
全部説明できるまで、考えてみてください。矢野和男式幸福度向上法でした。