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島の想いをカタチに:徳之島で挑んだ5人の「共生ジャム」プロジェクト

No.034

工学部サステナビリティ学科2年

岩瀬 彩名 さん

文学部日本文学文化学科2年

山中 千歩 さん

文学部日本文学文化学科2年

池田 侑生 さん

経営学部経営学科2年

新田 暦 さん

ウェルビーイング学部ウェルビーイング学科2年

秦 宇宙 さん

※所属・内容は取材当時(2025年9月)のものです。

「徳之島とつながり、そして私は自然に生きる」―ジャムに込めた私たちの強い願い

私たち5名は、学部を超えて集まり、令和6年度の基礎FS(フィールド・スタディーズ)プログラムに参加しました。基礎FSとは、全ての1年生※を対象とした必修科目で、キャンパスの外へ飛び出し、学外のさまざまな地域・社会と交流することで、新しい価値観や視野を広げる、武蔵野大学独自のプログラムです。※一部学科を除く

私たちが選んだプログラム「鹿児島県 SDGs未来都市 徳之島 宝をつなぐ・宝をつくるプロジェクト」のミッションは、「離島という地理的・経済的な不利や人口減少の課題があるなかで、自然とともに生きる徳之島の生き方に幸せのあり方を見つけ、その持続に貢献する商品開発を行うこと」でした。その中で、私たちは「アマミノクロウサギとの共生につながるフルーツジャム開発」に取り組みました。

徳之島では、絶滅危惧種であるアマミノクロウサギが増加したことで、たんかんの木をかじってしまう食害が発生しましたが、農家の方々は、たんかんの木の根元にかじられないようネットを設置するという工夫をすることで、動物と人が「共に生きる」道を選びました。私たちは、この素敵なストーリーを広く発信するため、まず「徳之島とつながり、そして私は自然に生きる」というコンセプトをチームで考案しました。このコンセプトには、ジャムを通じて、徳之島の豊かな自然とそこに暮らす人々の想いを感じてもらい、自然と人が支え合いながら生きることの大切さに気づいてほしいという私たちの強い願いが込められています。

そして、このコンセプトに基づき、商品名の考案と、パッケージデザイン案を作成しました。消費者に届く小さなパッケージの中に、徳之島の魅力と共生の物語をぎゅっと詰め込みました。完成したジャムは、JALのふるさと納税や学内、道の駅「とくのしま」などで販売され、売上を通じて共生の取り組みを応援するとともに、農家の方々の所得向上にも貢献する成果となりました。現在は、各種ふるさと納税サイトにて取り扱いが開始されています。

ジャム開発に集まった5人の共通点

数あるFSプログラムの中で、私たちがこの徳之島プロジェクトを選んだのは、徳之島が掲げる「自然保護と住民の幸せを両立させる」という、サステナブルなテーマに強く惹かれたからです。

徳之島での活動は「アマミノクロウサギとの共生につながるフルーツジャム開発」と「島の素材で訪れる人を癒すバーベキュー体験開発」の2つのプロジェクトに分かれていましたが、私たち5人は「0から1を生み出す楽しさ」を味わい、具体的に形に残る商品を作りたかったため、フルーツジャムの開発に取り組むことにしました。「やったことのない挑戦を主体的にやりたい」という強い思いを持つ学生同士でした。私たちは、学部学科が異なっていたため、話し合いでは、それぞれの今まで学んだ知識や考え方を存分に出し合い、多角的な視点からプロジェクトを進めることができました。島に住む方々や、たんかん農家の方、町役場の方から直接お話を聞く中で、私たちの活動が、徳之島の「豊かさ」を守り、その持続に繋がる意義あるものになると信じ、このジャム開発に熱中していきました。

島での経験がカタチとなる―五感で感じたからこそ譲れないこだわり

8日間のFS期間中、前半の4日間は、夜の森でのアマミノクロウサギ観察や島の踊り、地元の方々との交流を通じて、徳之島の豊かな自然と温かさを肌で感じました。この体験が、「ジャム開発を通じて徳之島の魅力を絶対に伝えたい」という私たち全員の強い想いを生みました。

意見を伝えあう上で役に立ったのが、毎朝晩の「チェックイン・チェックアウト」という言語化の習慣です。朝は一日の目標を、夜は感じたことや明日への活かし方を発表し合うことで、仲間がどう考えているかを深く理解し合えました。その結果、絆は深まったものの、後半4日間のジャム開発では、一人ひとりの「商品に懸ける譲れないこだわり」が強く、議論が激化しました。中でも、コンセプト決めには最も苦戦し、出したアイデア全てについて一つひとつ理由を語り合い、「絶対に妥協したくない」と何度も話し合いをやり直しました。時間がなく、夜中まで議論が及ぶこともありましたが、地域おこし協力隊の方などがまとめ役に入り、話し合いに参加してくださったことで、方向性が整理でき、議論は一気にまとまりました。その妥協のない議論の結果、「あのときのウサギです守ってくれてありがとう」というユニークで個性的なネーミング案が生まれ、細部までこだわりが詰まったジャムが完成しました。「頑張って良かった」「妥協しないでやった甲斐があった」とみんなで感想を語り合いました。開発期間中は切羽詰まる瞬間もありましたが、全員が島の魅力を知って、もっと多くの人に伝えたいと本気で想い、同じ熱量で話し合えたことが本当に嬉しく、いい思い出になりました。

このジャムをきっかけに徳之島を好きになってほしい

私たちの今後の目標は、このジャムを現在販売されている場所からもっと多くの人の手に届けること、そして購入したすべての方に「徳之島に興味を持ってもらうこと」です。

現在、販売はふるさと納税サイトや道の駅が中心ですが、今後は「手に取ってもらえる機会」を増やすため、広報活動に力を入れていきます。具体的には、ジャムの制作過程を徳之島公式インスタグラムで発信したり、店頭のポップやリーフレットを作成する予定です。また、「徳之島とつながり、そして私は自然に生きる」というコンセプトに基づき、「見た人が島に来たくなるような」ホームページも作成する予定です。

私たちは、このジャムが単なる商品ではなく、「共生」というストーリーを伝えるきっかけになれたらいいなと思っています。私たちの活動をきっかけに、購入した人が徳之島を実際に訪れて、私たち自身が五感で感じた「人や自然との深いつながり」を心ゆくまで感じて欲しいです。

このジャムを通じて、徳之島の豊かな自然とそこに暮らす人々の想いに触れ、私たちがそうであったように、徳之島を好きになってくれることを心から願っています。

みのり館でのコンセプト・商品名・パッケージデザインの提案の様子

宿泊拠点でのブレインストーミング


アマミノクロウサギのナイトツアー

アマミノクロウサギを守る工夫がされているたんかんの木

完成したジャム

取材・執筆:経済学科3年 和田 みんみ

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