キャッチボールが繋いだ世界平和―圧倒的な行動力と挑戦―

No.049
アントレプレナーシップ学部アントレプレナーシップ学科3年
加藤 凛 さん
※所属・内容は取材当時(2026年6月)のものです。『キャッチボール』という新しい平和のカタチ
私は、大阪・関西万博の約2kmにわたる大屋根リングを舞台に、世界70カ国・400名以上が参加した国際交流イベント「世界キャッチボールプロジェクト」の立上げに初期メンバーとして参加しました。
国籍やジェンダー、障害の有無などの違いを越え、キャッチボールという非言語コミュニケーションを通じて偏見のない関係性を構築することが、世界のつながりを体現することに寄与できるという考えのもとに立ち上げられたプロジェクトです。
私は副代表として企画・チームの組織運営に携わり、協賛金を募るための事前の資料作成や営業活動も行いました。キャッチボールイベントの直前に行った交流会では、「あなたにとっての幸せとは何か?」という問いをテーマに、参加者全員でグループディスカッションを行いました。参加者は、英語や翻訳アプリを活用しながら自分の考えに向き合い、平和への想いを共有することで互いの信頼関係を深めました。
イベント当日は、言語の壁を超えて終始笑顔が溢れる1日でした。英語が苦手な方もジェスチャーや表情に加え、しっかりと目を合わせてボールを投げて、受け取ることによって、積極的にコミュニケーションを図り、言語を超えた深い繋がりが生まれました。対話とキャッチボールを通して、互いを思いやり、尊敬し合うことで、新たな平和のカタチを体現することができたと思います。
世界平和への気付きと師匠との出会い
中学時代、恩師の「世界にはあなたの使っている鉛筆や電気、水を使えない人がいるのよ」という言葉をきっかけに、私は世界平和について関心を抱くようになりました。当時の私は「当たり前が当たり前じゃない」という事実に気付かされ、同時にビジネスを通じて持続可能な社会を実現したいと思い、起業家を目指すようになりました。
その中で、YouTubeチャンネルの動画で目にした、主体的に学び積極的に挑戦するアントレプレナーシップ学部の先輩方の姿に憧れ、進学を決意しました。まずは「師匠」となる人のもとで、スキルを身につけたいと考え、自ら積極的に人や機会を探す中で出会ったのが、同学部の先輩であり、本プロジェクトの代表・大武 優斗さんでした。彼の行動力と、人を巻き込む力に魅力を感じ、自ら関わりを求めて対話を重ねました。その中で、「世界平和を実現したい」というビジョンと、困難と思われる目標にも周囲が驚くほどの熱量で立ち向かう姿勢に共感し、大武さんが代表を務める本プロジェクトへの参画を決意しました。
しかし、開催地の決定から開幕まで6年以上の月日と多くの方々の尽力によって計画・調整・実施される万博に「実績のない学生」が参入することの壁は想像以上に高いもので、政府の方々へ呼びかけては「それは無理だ」などの厳しい言葉が続きました。それでも諦めることなく、幾度にもわたる議員会館でのエレベーターピッチを経て国会議員の方からの賛同を得ることができ、万博担当大臣や当時の石破総理大臣への表敬訪問まで実現することができました。
8ヶ月間の挑戦は『微力でも、無力ではない』
立ち上げから実施までの8ヶ月間は、困難の連続でした。副代表として、全国の40人から組織されたチームをまとめることは、経験のない私にとって大きな挑戦でした。加えて、協賛金として2000万円を集める必要があり、企業やパートナー団体への営業や提案書の作成、万博会場を貸し切るための議員の方への交渉など、外部への働きかけにも注力しました。これらに対しては、逆算的にプロジェクトの価値を伝える準備をし、地道にアタックをし続けました。その結果、万博開催2ヶ月前にイベント実施が正式に決定しました。その後の2ヶ月間は毎日朝から晩まで、イベント当日の設計や集客、協賛金の獲得などを並行して進め、ボランティアを含めた70カ国・600名規模の参加者に対応するため、様々な文化への配慮や当日の運営の仕組み化、タイムテーブル管理など、事前準備も徹底的に行いました。
その分、自分がプロジェクトの実現に向けて行動し続けたことが、結果として表れた時はとても嬉しかったです。特に、キャッチボールで最後のボールが繋がった瞬間は、人生で一番の感動でした。周囲から「それは無理だ」と言われても、プロジェクト成功へと導いたことは、私にとって忘れられない経験です。困難な状況でも行動し続けたことで成功できた経験から、私は「微力でも無力ではない」ということを学びました。
師匠から学んだ『とりあえず、やる!』というマインド
世界キャッチボールプロジェクトを通じて、スキルが足りなくても、大武さんのような「とりあえず、やる!できる!」という行動力が、チームを成功に導く原動力になることを学びました。
この経験から、課題に対して主体的に挑戦し、周囲を巻き込みながら価値を生み出す起業家を目指したいと考えるようになりました。現在はその実現に向け、「世界キャッチボールプロジェクト」で培った経験や人脈を活かした新たなプロジェクトの代表として「スタートアップオーディション」の立ち上げを目標に活動しています。これまでの活動やアントレプレナーシップ学部の学びから、プロジェクトやビジネスは、結果だけではなくプロセスにも価値があると感じています。そこで、起業家たちのリアルな挑戦について、映像で発信するメディアを作りたいと考えています。現在は、社長や起業家の方々の1日に密着し、彼らの人間味や挑戦の過程を見せることで、共感を与える映像コンテンツの作成に取り組んでいます。将来的には、大きなプラットフォームで新規事業へ挑む起業家たちを支援する「スタートアップオーディション」番組の発信を目標としています。
私は今、「守破離」で言えば「守」の段階にいます。まずは既存のスタートアップに関するビジネスモデルについて学び、その上で「破」として差別化を模索したいと考えています。そして、私が生み出すコンテンツを通じて、学生や社会に勇気と刺激を届けたいです。


プロジェクトでできた大切な仲間たち
取材を終えて
今回の取材では、加藤さんの論理的かつ計画的に物事を捉えて、積極的に活動する姿が印象に残りました。「世界キャッチボールプロジェクト」では、副代表としての任務を全うするだけでなく、師匠である大武さんの熱量とリーダーとしての立ち振る舞いについて学び、吸収されていました。ご自身が元々持っていた合理的な性格と、大武さんから学んだバイタリティがシナジーを起こしているように感じました。現在、代表を務められている「スタートアップオーディション」で、これまでの学びを糧に突き進んでいく加藤さんのご活躍を、心から応援しています。
取材・執筆:日本文学文化学科 3年 宮良 凜音
関連リンク
- アントレプレナーシップ学部アントレプレナーシップ学科
https://www.musashino-u.ac.jp/academics/faculty/entrepreneurship/entrepreneurship/ - 加藤さんFacebook
https://www.facebook.com/jia.teng.lin.2024/