HOME教育武蔵野大学の教育生成AIの活用に関する注意事項

武蔵野大学 教職員向け 生成AIの利用ガイドライン

第1版 令和5年6月29日
1.本ガイドラインの目的
本ガイドラインは、教職員の皆様が、武蔵野大学(以下「本学」という。)の教育研究及び業務で生成AIを利用する際に注意すべき事項を解説したものです。
生成AIは、業務効率の改善や新しいアイデア出しなどに役立つ反面、入力するデータの内容や生成物の利用方法によっては法令に違反したり、他者の権利を侵害したりする可能性があります。本ガイドラインをお読みのうえ、生成AIをご利用いただくようお願いいたします。

2.本ガイドラインが対象とする生成AI
本ガイドラインが対象とする生成AIは、以下のとおりです。
・対話型生成AI(ChatGPT、Bard等)
・画像生成AI(Stable Diffusion、Midjourney等)
・動画生成AI(Runway Gen 2等)
・音楽生成AI(Amper Music等)
上記以外にも、著作権法、商標法などの法律に抵触する恐れのある生成AIは、最低限、本ガイドラインを準拠するようお願いします。

3.生成AIの利用が禁止される用途
本学では以下の用途・業務での生成AIの利用を禁止します。
他者の著作物※1を使用して二次的著作物を生成し、それを自分のものだと主張すること、およびその上で行われるあらゆる行為※2
※1:著作物:著作権法第二章第一節に規定されているもの、代表的なものとして、発表論文、小説、絵画、音楽など芸術文化作品等
※2:他人の著作物を入力情報に用いない場合や、文面や画像案の検討等、生成物自体を利用せず参考とする場合、或いは作業負荷軽減のための一時的な利用については、この禁止事項に該当しない。但し、後述の著作権法や商標法、意匠法などの規定に抵触していないかを文化庁や内閣府からの情報を参考に確認すること。

4.本ガイドラインの構成
生成AIは、いずれのサービスも基本的に「ユーザが何らかのデータを入力して何らかの処理(保管、解析、生成、学習、再提供等)が行われ、その結果(生成物)を得る」という構造です。
そのため、本ガイドラインは以下の2つのパートから構成されています。
▼ データ入力に際して注意すべき事項
▼ 生成物を利用するに際して注意すべき事項

5.データ入力に際して注意すべき事項
生成AIに入力(送信)するデータは多種多様なものが含まれますが、知的財産権の処理の必要性や法規制の遵守という観点からは、以下の類型のデータを入力する場合、特に注意が必要です。

(1) 第三者が著作権を有しているデータ(他人が作成した文章等)
単に生成AIに他人の著作物を入力するだけの行為は著作権侵害に該当しません。
もっとも、生成されたデータが入力したデータや既存のデータ(著作物)と同一・類似している場合は、当該生成物の利用が当該著作物の著作権侵害になる可能性もありますので注意してください。具体的には「6(2)生成物を利用する行為が誰かの既存の権利を侵害する可能性がある」の部分を参照してください。

(2) 登録商標・意匠(ロゴやデザイン)
商標や意匠として登録されているロゴ・デザイン等を生成AIに入力することは商標権侵害や意匠権侵害に該当しません。
もっとも、この点は著作物と同様、あくまで「入力行為」に関するものである点に注意が必要です。故意に、あるいは偶然生成された、他者の登録商標・意匠と同一・類似の商標・意匠を商用利用する行為は商標権侵害や意匠権侵害に該当します。
すなわち、生成AIにロゴやデザインを入力する際には登録商標・意匠の調査の必要性は乏しいですが、生成物を利用する場合には調査が必要です。

(3) 著名人の顔写真や氏名
著名人の顔写真や氏名を生成AIに入力する行為は、当該著名人が有しているパブリシティ権の侵害には該当しません。
ただし、生成AIを利用して生成された著名人の氏名、肖像等については、それらの氏名や肖像等を商用利用する行為はパブリシティ権侵害に該当しますので注意してください。

(4) 個人情報
生成AIに個人情報を入力する場合、当該個人情報により特定される本人の同意を取得する必要があります。そのような同意取得は現実的ではなく、また入力した情報は他の生成AI利用者の回答に反映されることにより情報が漏洩する恐れがありますので、個人情報を入力しないでください。

(5) 他社から秘密保持義務を課されて開示された秘密情報
外部事業者が提供する生成AIに、他社との間で秘密保持契約(NDA)などを締結して取得した秘密情報を入力する行為は、生成AI提供者という「第三者」に秘密情報を「開示」することになるため、NDAに反する可能性があります。
そのため、そのような秘密情報は入力しないでください。

(6) 自組織の機密情報
入力した情報は他の生成AI利用者の回答に反映されることにより情報が漏洩する恐れがありますので、本学内の機密情報(ノウハウ等)を生成AIには入力しないでください。生成AIの処理内容や規約の内容によっては当該機密情報が法律上保護されなくなったり特許出願ができなくなったりしてしまうリスクがあります。併せて就業規則の服務規律における秘密保持に関する条項も参照してください。

6.生成物を利用するに際して注意すべき事項
(1) 生成物の内容に誤った情報が含まれている可能性がある
対話型生成AIの基盤となる大規模言語モデル(LLM)の原理は、「ある単語の次に用いられる可能性が確率的に最も高い単語」を出力することで、もっともらしい文章を作成していくものです。出力結果には誤った情報や倫理上問題のある表現などが含まれている可能性があります。
このような限界を知り、その生成物の内容を盲信せず、必ず根拠や裏付けを自ら確認するようにしてください。

(2) 生成物を利用する行為が誰かの既存の権利を侵害する可能性がある
①著作権侵害
生成AIからの生成物が、既存の著作物と同一・類似している場合は、当該生成物を利用(複製や配信等)する行為が著作権侵害に該当する可能性があります。
そのため、以下の留意事項を遵守してください。
・特定の作者や作家の作品のみを学習させた特化型AIは利用しないでください。
・プロンプトに既存著作物、作家名、作品の名称を入力しないようにしてください。
・特に生成物を「利用」(配信・公開等)する場合には、生成物が既存著作物に類似しないかの調査を行うようにしてください。

②商標権・意匠権侵害
画像生成AIを利用して生成した画像や、文章生成AIを利用して生成したキャッチコピーなどを商品ロゴや広告宣伝などに使う行為は、他者が権利を持っている登録商標権や登録意匠権を侵害する可能性がありますので、生成物が既存著作物に類似しないかの調査に加えて、登録商標・登録意匠の調査を行うようにしてください。

③誤った個人情報・名誉毀損等
生成AIは、個人に関する誤った情報を生成する可能性があることが知られています。誤った個人情報を生成して利用・提供する行為は、個人情報保護法違反(法19条、20条違反)や、名誉毀損・信用毀損に該当する可能性がありますので、そのような行為は行わないでください。

(3) 生成物について著作権が発生しない可能性がある
仮に生成物に著作権が発生していないとすると、当該生成物は基本的に第三者に模倣され放題ということになりますので、自らの創作物として権利の保護を必要とする個人や組織にとっては大きな問題となります。
この論点については、生成AIを利用しての創作活動に人間の「創作的寄与」があるか否かによって結論が分かれますので、生成物をそのまま利用することは極力避け、できるだけ加筆・修正するようにしてください。

(4) 生成物を商用利用できない可能性がある
生成AIにより生成した生成物をビジネスで利用する場合、当該生成物を商用利用できるかが問題となります。
この論点は、利用する生成AIの利用規約により結論が左右されますのでご注意ください。

(5) 生成AIのポリシー上の制限に注意する
生成AIにおいては、これまで説明してきたリスク(主として法令上の制限)以外にも、サービスのポリシー上独自の制限を設けていることがあります。詳細は各サービスごとに異なりますので、ご確認をお願いします。

7.生成物を利用するに際して注意すべき事項
武蔵野大学研究倫理委員会規程第1条に基づき、人間を対象とし、個人の行動、環境、心身等に関する情報及びデータ等を収集・採取して行われる研究のうち、倫理上の問題が生じるおそれのある研究活動に、生成AIを活用する際は、適切な取り扱いに留意した利用をお願いいたします。

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