「無意識アクション」で社会を変える。私たち学生団体「にわとり」が駆け抜けた3年半の軌跡と未来へのバトン

No.042
工学部
環境システム学科4年
清水 美知花 さん
小林 千夏 さん
戸田 二巴 さん
林 利咲 さん
今野 こもも さん
※所属・内容は取材当時(2026年3月)のものです。 結論は「無意識アクション」。対話を重ねて強みを見つける
私たち「にわとり」は学内で「無意識アクション」を仕掛ける学生団体として活動しています。工学部環境システム学科4年の5人で構成されており、1年生の冬から3年半にわたり自主プロジェクトを継続してきました。私たちが掲げる「無意識アクション」とは、「環境に配慮してください」と直接呼びかけるのではなく、「便利だから」「楽しいから」と行動した結果、無意識の内に環境配慮につながっている仕組みのことです。環境問題の解決には、無理なく社会全体を巻き込む必要があると考え、この手法を軸に据えました。
これまで主に環境問題をテーマに、3年半でいくつかののプロジェクトに挑戦してきました。
その中で、私たちが一番長く取り組んだのが「2ndClothes」というプロジェクトです。このプロジェクトは、いらない服を持ち込んだり、展示してある服で気に入ったものがあれば自由に持ち帰ったりできる服のリユースブースで、約2年半の間、5号館の1階に常設展示を行いました。きっかけは、団体の立ち上げ間もない頃、卒業研究で服の交換会を実施されていた先輩から「引き継ぐ後輩がいなくて困っている」と伺ったことです。その直前に、授業で服の廃棄問題に関する映画を見て、「なにか行動を起こしたい」という思いが強かったため、リーダーの清水が引き継ぎを提案したことを皮切りに、全員が「やりたい」と賛同し本格的にスタートしました。
他にも、江東区・東京ガスと連携した産官学イベントなど活動は多岐にわたります。これらの活動は、社会にアクションを起こしたいという思いと同時に「メンバーの得意なことを見つけるきっかけとなるか」を裏テーマとしています。環境問題を多くの人に知ってほしいという思いを胸に、普段できないことにチャレンジする姿勢を大切にしてきました。 その結果、社会に無意識アクションの仕組みを少しずつ増やしながら、全員が自分の強みに自信を持てるようになりました。
授業だけで終わらせない。人と関わり社会を変えるチームへ
団体結成のきっかけは、必修プロジェクトでの経験から感じた「もどかしさ」と「好奇心」でした。せっかく素晴らしいプロジェクトに取り組んでも、学期が終われば活動も止まってしまうプロジェクトもあり、そんな現状を変えたいと強く思いました。
1年生の時、体育の授業帰りのバスの中で語り合った熱量をそのままに、信頼できる友人たちを集めて活動をスタート。単なる仲良しグループではなく、社会にアクションを起こし、周囲を巻き込んでいく「変革のチーム」としての挑戦がここから始まりました。
友人から「チーム」への壁と新しい文化が生まれた喜び
最大の壁:仲良しグループからの脱却
活動における一番の試練は、意識を「ただの友達」から「チームメンバー」へ切り替えることでした。無報酬の自主プロジェクトだからこそ、多忙なメンバーとの時間調整やタスク管理、そして「仲が良いからこそ言いづらい厳しい指摘」に直面し、何度も壁にぶつかりました。
解決の鍵:徹底した対話と「全会一致」のルール
私たちは、モチベーション維持のために「全員がやりたいことをやる」という全会一致のルールを徹底しました。「今、これは本当に必要なのか」と立ち止まり、ホワイトボードを囲んで本音で議論を重ねました。役割を明確に管理し、妥協せずに「プロジェクトの価値」を追求し続けたのです。
得られた成果:学科に根付いた新しい文化
こうした熱意は周囲にも伝わりました。一番嬉しかったのは、私たちの活動に刺激を受けた後輩たちが、新たに自主プロジェクトチームを立ち上げてくれたことです。学科になかった「自ら動く文化」を創り出し、次世代へ継承できたことが、私たちにとって最大の喜びです。
「にわとり」の文化を未来へ。後輩たちへ贈る「鉄は熱いうちに打て」
結成当初からの目的は「個々の成長」と「後輩たちへの引き継ぎ」でした。私たちは卒業後、それぞれの未来へと歩き出します。「にわとり」の活動を通して培った、対話から相手の本当の願望や欲求を見つけ出し、サポートしていく力など、メンバーそれぞれが、この活動で得たかけがえのない経験や知識をこれからの未来のために力強く活かしていきたいです。
後輩たちへ引き継ぎたい思いは、「自分の興味のきっかけや心の動きを絶対に逃さないでほしい」ということです。「鉄は熱いうちに打て」という言葉の通り、少しでも興味を持った瞬間に挑戦しなければ、その火はすぐに消えてしまいます。日常の小さな気づきや心の声を大切に聞き逃さず、これからもワクワクするアクションの輪を広げていってほしいと願っています。
取材を終えて
今回、インタビューに先立って、2月10日に有明キャンパスで開催された学生団体にわとり主催の「MU気候学生会議2026」に私も参加してきました。会議のメインテーマは「カーボンニュートラルな理想の未来の大学はどのようなものか」というもので、4人1組の12グループに分かれて意見を交わしました。本格的な話し合いに入る前には、事前の宿題として配布されていた動画を題材にした、個人戦のクイズ大会も用意されていました。上位3名には環境に優しい素敵な景品が贈られるなど、細部にまで参加者を楽しませるこだわりが詰まっており、とても面白く充実した時間を過ごすことができました。
そして今回の取材を通して何より強く感じたのは、にわとりさんの圧倒的な「チーム力」です。「メンバーの得意なことを見つけるきっかけとなるか」という大きな軸を持ち、ボランティアだからこそ全員が本気でやりたいことだけをやる、というルールを徹底している点が非常に印象に残りました。そのブレない姿勢があったからこそ、活動の中でそれぞれの役割が自然と見つかり、メンバー全員が自分の強みに確かな自信を持てるようになったのだと思います。ただの仲良しグループから始まり、本音でぶつかり合いながら社会にアクションを起こすチームへと成長していく姿は、同じ学生として大変刺激を受けました。
取材・執筆:経済学科 3年 和田 みんみ