このページの本文へ移動

お知らせ

「見えない」からこそ、伝えたい。精神疾患への理解を広げる/人間科学部社会福祉学科 全員挑戦ソーシャルアクション!【第3回/全5回】

学部・大学院
  • 人間科学部
  • 学び
  • 社会福祉学科

人間科学部社会福祉学科では2年次に「発展ゼミナール」という必修授業を行っています。発展ゼミナールでは、学生全員が「ソーシャルアクション」に取り組みます。
ソーシャルアクションとは、人々の生きづらさを生み出す原因となっている社会構造そのものに働きかけを行うメゾ・マクロレベルのソーシャルワークの活動です。各クラスで3~4人の小グループを作り、夏休み前から準備をはじめて、身近な社会問題の解決、軽減に向けた活動を実際に行ってきました。
今年度は、全クラス合わせて43のアクションを起こしました。第3回は小髙 真美教授のクラス内の「インビジブル」が取り組んだ、精神疾患をはじめとする“見えない障がい”への理解を社会に広げる活動を紹介します。

日本社会が抱える課題から出発

日本では、自殺は依然として深刻な社会課題です。様々な生きづらさが重なると、人は誰もが自殺に追い込まれることがあると言われています。
「生きづらさの背景の一つに、周囲から理解されにくい障がいがあるのではないか?」
精神疾患は、自殺との関連が指摘されており、約5人に1人が生涯に一度は罹患するといわれている身近な疾患です(Ishikawa et al., 2015)。一方で、精神疾患や精神疾患に罹患している人に対する誤解や偏見、差別は未だに存在しており、理解されないことによる孤立感が、生きづらさを深めてしまうこともあります。

“現状を知る”アンケートから浮かび上がった「周囲の理解と想像力の重要性」

活動は、そんな「見えない障がい」の認知度調査から始まりました。Instagramを通じて身の回りの友人等を対象にアンケートを実施し、90件の回答が集まりました。
調査から見えてきたのは、「精神疾患という言葉は知っているが、具体的な理解までは十分でない」という現状です。一方で、満員電車でパニック状態になっている人や、吃音のある人とのやりとりなど、日常の中で“見えない障がい”に接している体験談も寄せられました。そこから浮かび上がったのは、「周囲の理解と想像力の重要性」でした。

ユニークなアプローチ「幻聴妄想かるた」をきっかけに

ではどのように周囲の人が障がいに対して理解を深めることができるのか、学生たちが選んだのは、「堅苦しくなく、誰もが関心を持てる形で伝える」というアプローチであり、就労継続支援B型事業所である「ハーモニー」が制作した『幻聴妄想かるた』を活用したかるた大会でした。
ユニークなイラストと当事者の言葉で構成された札を通じて、精神障がいのある当事者の世界観や感覚を体験的に学ぶ場をつくりました。さらに、SNSでも分かりやすく情報発信を行い、画像やグラフを活用して理解を深める工夫を重ねました。

「感じる」体験が認識の変化に

イベント後のアンケートでは、9割以上の参加者が「理解が深まった」「多様性について考えようと思った」と回答しました。
参加者からは、次のような感想が寄せられました。

    • 「自分の日常の動作が(疾患や障がいのある人に対して)不安を与えているかもしれないと気づいた」
    • 「何が正解というわけではないが、自分の常識とのズレを感じた」
    • 「歯車はガチガチだと動かない。少し余裕があって動くんです」

    知識だけでなく、「感じる」体験が、認識の変化につながったことが分かります。

    大学での学びが、社会の見え方を変えていく一歩に

    「インビジブル」は、学生たちが社会課題に向き合い、調査・企画・実践・評価までを行いました。精神疾患への理解を深めることは、特定の誰かのためだけではありません。それは、誰もが安心して生きられる社会をつくることにつながります。
    「見えないからこそ、伝える。」小さなきっかけづくりが、社会の見え方を変えていく一歩につながりました。

    参考文献

    Ishikawa H,Kawakami N, Kessler RC, the World Mental Health Japan Survey Collaborators (2015). Lifetime and 12-month prevalence, severity, and unmet need for treatment of common mental disorders in Japan: results from the final dataset of World Mental Health Japan Survey. Epidemiol Psychiatr Sci.25(3):217–229.

    関連リンク

    一覧に戻る