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生理のタブーを、開かれた話題へ――大学生が「スポーツの場」から社会に問いかけた挑戦/人間科学部社会福祉学科 全員挑戦ソーシャルアクション!【第4回/全5回】

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人間科学部社会福祉学科では2年次に「発展ゼミナール」という必修授業を行っています。発展ゼミナールでは、学生全員が「ソーシャルアクション」に取り組みます。
ソーシャルアクションとは、人々の生きづらさを生み出す原因となっている社会構造そのものに働きかけを行うメゾ・マクロレベルのソーシャルワークの活動です。各クラスで3~4人の小グループを作り、夏休み前から準備をはじめて、身近な社会問題の解決、軽減に向けた活動を実際に行ってきました。
今年度は、全クラス合わせて43のアクションを起こしました。第4回は「生理のタブーを開かれた話題に―withナプキンプロジェクト」の活動を紹介します。

沈黙が当たり前になっている社会課題

「生理のことは、話しづらい。」そんな空気が、今も社会のあちこちに残っています。「With ナプキンプロジェクト」は、生理がタブー視されやすく、女性が悩みや気まずさを一人で抱え込みがちな社会構造そのものに目を向けました。そして、その状況を変えるために選んだ舞台が、意外にもスポーツの現場でした。
プロジェクトメンバーは男性2名、女性1名という男女混合の3人チームであり、彼らが最初に向き合ったのは、「なぜ生理の悩みは孤立しやすいのか」という問いです。背景には、生理について話題にしづらい空気や、正しい情報に触れる機会の少なさがあります。特に、生理を経験しない人にとっては「自分には関係がない」「よく分からないもの」となりやすく、無意識の距離が生まれてしまいます。
こうした状況の中で、生理の悩みは「個人の問題」として扱われ、支援や理解が社会全体に広がりにくいという課題がありました。

最初の挑戦と、思わぬ壁

当初、学生たちは大学内で生理用品を無料設置したり、寄付文化を広げる「ありがとうBOX」を設置したりすることを検討しました。しかし、運営上の制約などから、実現のハードルが高いことが分かります。そこで彼らは「より多くの人の意識に触れるには、どうすればいいだろう?」と発想を転換しました。
アルバイト先や出身高校など色々な場所の候補を考えた結果、行き着いたのがスポーツの場でした。

なぜ、スポーツの場だったのか――タブーを開くカギは「楽しさ」「一体感」「開かれた場」

スポーツの会場には、性別や世代を超えて、多様な人が集まります。そこには「楽しい」「一体感がある」「開かれている」という空気があり、日常では触れにくい話題への心理的ハードルを下げる力があると考えました。
「生理の話題に初めて触れた」という体験も、この場なら自然なかたちで生み出せるのではないか。この仮説のもと、学生たちはJFLに所属するサッカークラブ・クリアソン新宿との連携に挑みました。

諦めなかった先に開けたJFL・クリアソン新宿との協働

問い合わせフォームへの連絡から始まり、電話やメールでの交渉を続けました。簡単にはいきませんでしたが、粘り強い働きかけの末、ついにクラブとの直接交渉の場が設けられました。事前に企画書やスライド、ありがとうBOXの試作品、複数の実施案を用意し、クラブと「できること」「難しいこと」をすり合わせていきました。その結果、試合会場でのチラシ配布とポスター掲示が認められることとなり、目標に向けて準備を進めていきました。

試合当日、想定外を乗り越えて

実施日は11月23日。来場者5,690人に向けてチラシを配布し、アンケートやSNSでの発信も行いました。当日、会場の設備の関係で「ポスター掲示が難しい」という想定外の事態が発生しましたが、ポスターを手に持ち、ハーフタイムや屋台に並ぶ来場者一人ひとりに声をかけ、直接対話を重ねていきました。

成果と、次につながる一歩

この取り組みを通じて、学生たちは三つの成果を実感しました。
1つ目は、「生理について知る入口」をつくれたこと。スポーツの場を通じて、多くの人が生理の話題に初めて触れ、考えるきっかけが生まれました。
2つ目は、関心を可視化し、発信できたこと。アンケートやSNSを通じて、共感や応援の声が集まりました。
3つ目は、単発で終わらない関係性の芽です。シーズン終了後のブース展開や、ありがとうBOXの運用など、今後の継続的な連携の可能性も見えてきました。

「一人で抱えるもの」から「みんなで理解するもの」へ

With ナプキンプロジェクトは、生理の悩みや気まずさを、完全に解決したわけではありません。それでも、「沈黙が当たり前だったテーマ」を、みんなで考えていいものとして社会に差し出しました。

大学生だからこそできた、柔軟な発想と行動力。武蔵野大学での学びが、社会課題に向き合う実践へとつながった一例です。その結果、SNSのフォロワーは着実に増え、投稿の閲覧数も安定。企業アカウントからの「いいね」も寄せられるなど、関心は確実に広がっていきました。

コメント

■株式会社Criacao フットボール部門 競技運営室 山﨑 光 様

今回、学生の皆さんから主体的にご提案をいただけたことを、心から嬉しく思っています。生理という社会的に触れづらいテーマに真正面から向き合い、課題意識を論理的に整理した上で具体的な実行案まで示してくださった姿勢に、大きな可能性を感じました。女性用トイレへのナプキン設置はこれまでも小規模に行っていましたが、今回の提案をきっかけに認知を広げることができたのではないかと思います。発展途上にあるクリアソン新宿にとって、ご来場の皆さまが少しでも安心し、快適に過ごせる試合会場づくりは大切な挑戦です。限られた時間の中で形にできたことを誇りに思うとともに、この取り組みを今後も皆さんと共に育て、広げていけたら嬉しく思います。

学生のソーシャルアクションの実現においては、学内外の多くの方々のご理解やご協力をいただきました。心より御礼申し上げます。

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