経済学科 教員紹介
経済学科教員の詳細、研究業績についてはこちらをご覧ください。
プロフィール
馬場 哲(ばば さとし)です。東京出身で、国内ではずっと首都圏に住んでいますが、その間ドイツとイギリスに合わせて5年ほど暮らしています。ヨーロッパの景観が好きです。東京大学で学び、同大学で30年ほど教えたのち、2019年4月に武蔵野大学に移りました。学部長も務めています。
専門について
大きくいえば、欧米経済史・経済思想史となります。具体的には、19世紀末以降のドイツとイギリスを中心とする都市の諸問題(都市経済、都市交通、都市計画、住宅政策、社会政策など)およびその思想的背景を研究していますが、最近は都市と郊外・農村との関係とその変容にも関心を広げています。経済史の魅力は、ある時代ある場所の経済の様々な側面を、必要に応じて法、政治、社会、教育、宗教など他の領域と関わらせて理解しようとする包括性にあると言えます。
担当授業について
経済思想史と現代経済史を担当します。経済思想史では、17世紀以降のイギリス自由主義思想の成立とその変容、およびそれと比較した場合のドイツとアメリカの特徴を扱います。現代経済史では、1870年から約100年間の欧米経済の特徴を、工業、農業、貿易、財政、金融、労働などの諸領域について検討します。世界経済の中心がイギリスからアメリカに移る過程を辿ることになります。
ゼミについて
経済史と経済思想史がテーマです。イギリス、ドイツをはじめとするヨーロッパが中心となりますが、アメリカや日本、中国などのアジア諸国を扱うこともあります。取り扱う時代も幅広く中世から現代までカバーします。ゼミでは『イギリス近代史講義』、『イギリス現代史』、『はじめての経済思想史』といった基本的な文献を読みますが、それを踏まえて自分のテーマを選び、より専門的な文献を数冊読んで卒業論文にまとめあげることを目標とします。意欲があれば外国語文献を読むことも可能です。
メッセージ
本来大学生活は自由で、勉強はもちろん、スポーツ、旅行、ボランティア活動、アルバイトなど色々な経験を積める貴重な時期です。できるだけ多くのことに積極的に取り組んで卒業後の長い人生の足場を沢山築いてほしいと思います。
プロフィール
田中茉莉子(たなかまりこ)です。東京大学経済学部を卒業(総代)、東京大学大学院経済学研究科で博士(経済学)を取得しました。その後、東京大学大学院経済学研究科附属日本経済国際共同研究センター(CIRJE)学術支援専門職員(Research Associate)、明海大学経済学部専任講師を経て、2014年に武蔵野大学経済学部に着任しました。東京大学、法政大学、明治学院大学、横浜市立大学の非常勤講師、日本政策投資銀行設備投資研究所の非常勤研究員、CIRJEの客員スタッフ、独立行政法人勤労者退職金共済機構の資産運用委員の経験があります。
専門について
私の専門は、マクロ経済学とよばれる経済学の1分野です。日本経済や世界経済がどのように動いているのか、今後どうなるのかを理論・実証の両面から分析・考察しています。最近は、少子高齢化に直面している日本経済におけるリカレント教育(社会人の学び直し)の役割、暗号資産(仮想通貨)やデジタル通貨の動向、通貨の国際化、アジア新興国が国際金融市場に与えるインパクト等を中心に研究を進めており、国内外の学会・研究会や学術雑誌で研究成果を発表しています。
担当授業について
私の主な担当科目は「マクロ経済学」と「金融論」です。日本経済論、英語で学ぶ経済学、国際金融論の講義を担当したこともあります。マクロ経済学では、新聞やニュースにも登場する専門用語やロジックを学修することで、日本経済や世界経済について分析する視点を養うことができます。金融論では、時事問題も取り上げながら、金融が単なるお金儲けの手段ではなく、アイディアを実現し、新たな価値の創造をサポートする役割を果たしていることを学修し、ライフプランを検討する際のスキルを身につけることができます。
ゼミについて
私のゼミでは金融とマクロ経済をテーマに、フィンテック、キャッシュレス化、最近の金融政策、少子高齢化の下での経済成長など時事的な問題について、グループディスカッションやディベートを行いながら学修しています。「ERE経済学検定」の大学対抗戦にも積極的に参加しており、個人賞およびFP(ファイナンシャル・プランナーズ)賞を受賞したゼミ生もおります。日本銀行や東京証券取引所など、金融と日本経済に関わる施設への見学会を実施したり、他ゼミとSDGs(持続可能な開発目標)をテーマとしたディベート大会を開催しています。
メッセージ
経済学を学ぶことで、日本経済の現状や先行きについて自ら分析できるようになります。大学卒業後の進路に関わらず、皆さんの大きな強みになります。ぜひチャレンジしてください。
石原 真三子
イシハラ マミコ
労働経済学
プロフィール
石原真三子(いしはらまみこ)です。福岡県出身です。東京大学文学部を卒業し日本郵船(株)という会社に5年半ほど勤務した後、経済学を学びたいと思って東京大学大学院経済学研究科に入学しました。大学院修了後、東京都立大学、城西大学を経て、2008年から武蔵野大学に勤務しています。留学などで、イギリス(コルチェスター)で2年、スペイン(バルセロナ)で1年ほど生活したこともあります。
専門について
専門は労働経済学という分野です。労働経済学は、大雑把に言うと、職場で仕事をするときに起こる問題(長時間の残業や賃金格差、差別など)を経済学の理論を使って分析するのですが、仕事がある場合だけでなく無い場合の問題も考えます。たとえば、COVID-19の影響で仕事が無くなってしまう(失業してしまう)と、所得が減って生活に困ってしまいますよね。このような場合に政府はどのような政策をおこなったらよいか、などを考えます。さらに、職に就くには教育・訓練が重要だし女性の就業を増やすためには保育園が必要…など、社会の様々な問題を考えます。
担当授業について
主な担当科目は「労働経済学」「ミクロ経済学入門」「経済学入門」などです。「労働経済学」は私の専門分野で3年生の専門科目です。「経済学入門」や「ミクロ経済学入門」は、1・2年生の基礎的な授業です。
ゼミについて
考える問題は労働分野ですが、ゼミ生には、私たちの社会にはいろいろな問題があって、その問題について、誰かの言っていることをそのまま信じるのではなく、自分で統計データを分析して、本当はどうなっているのかを確認できるようになってほしいなあと思いながら、ゼミをやっています。石原ゼミでは、3年生の後期から卒業研究の準備をはじめるのですが、いろいろ試行錯誤しながらデータ分析を進めていくうちに、データ分析の面白さにはまっていく学生や、ちょっとした興味深い発見をする学生がでてきて、私自身楽しいです。
メッセージ
経済学や統計学の基礎的な部分の学修は、七面倒くさいと思うかもしれないですが、そこを我慢して理解して、実際の社会の問題に応用できるようになると、俄然、経済学が面白くなると思います。統計データを分析したり理論的な枠組みを考えたりすることが、ちょっと面白い、という感覚を掴んでもらえたら嬉しいなあと思います。
また、よくわからない場合や気になったことを「質問すること」は、質問者の理解にとって重要であることはもちろん、質問される側にとっても、新たな視点を得られたり理解が深まったり等の重要な意味があることが多いのです。学生には積極的に質問できるようになってほしいと思っています。
大阿久 博
オオアク ヒロシ
ミクロ経済学
ゲーム理論
プロフィール
大阿久 博(おおあく ひろし)と申します。栃木県佐野市というところの出身です。地元の高校を卒業し、もともとは理系で工学系に進んだのですが、後に経済学に興味を持ち、新たに経済学部に入り直しました。大学卒業後は銀行に務めました。時期的にちょうどバブルのころで、むちゃくちゃ忙しかったのをよく覚えています。5年ほど勤務しましたが、銀行での仕事に限界を感じて退職、早稲田大学大学院経済学研究科で再び経済学を勉強しました。
その後、最初に新潟県の私立大学で職を得たのですが、縁あって2002年に武蔵野大学(当時は武蔵野女子大学)に移りました。
専門について
私は理論経済学、特にゲーム理論という分野を研究しております。ゲームといっても任天堂スイッチなどとは直接の関係はありません。ちょっと抽象的ですが、ゲーム理論は、社会において複数の人々が互いに影響を及ぼし合うような相互依存的状況でどのような振る舞いをするかを研究する学問で、経済学、特にミクロ経済学と呼ばれる分野の発展に大きく貢献してきました。
担当授業について
ミクロ経済学とゲーム理論を担当しています。本学の経済学科では経済学を「理論的な推論」「統計データを用いた分析」「歴史的な考察」といった3つの手法をバランス良く学び、現実の社会経済を理解する力を育むことを目標としていますが、私の担当している科目は理論的な推論を学ぶ分野です。
数学を利用するのですが、無味乾燥な計算ではなく、経済を理解するための生きた数学も同時に学べます。
ゼミについて
私のゼミではミクロ経済学やゲーム理論、あるいは最近盛んに研究されているメカニズム・デザインと言われている分野などの書籍を輪読しています。各自が本を読み、理解した内容を他のゼミ生に解説することで、論理的な思考力やプレゼンテーション能力が身につき、またゼミ生同士で議論することでディスカッションにも強くなることが期待できます。
メッセージ
とにかく何かを深く勉強するためには興味を持つことが一番大切です。経済学というとテレビのニュースで聞くようなGDPや失業率等々の言葉が思い浮かぶかもしれませんが、皆さんが思っているのを遥かに超えて、経済学の研究対象は広範囲に渡っています。そうした中に必ず興味を持てる分野を見つけることができると思います。そういう意味で経済学はオールマイティで魅力的な学問分野なのです。
沓澤 隆司
クツザワ リュウジ
行動経済学
都市・地域経済学
応用ミクロ経済学
公共経済学
プロフィール
沓澤隆司(くつざわりゅうじ)と申します。1986年東京大学法学部を卒業し、当時の建設省(現国土交通省)に入省し、主に都市住宅行政を担当した後に、大阪大学で博士号(経済学)を取得し、大阪大学社会経済研究所准教授、政策研究大学院大学教授等を経て、2023年4月に武蔵野大学に着任しました。
専門について
専門は都市経済学、行動経済学と応用ミクロ経済学です。大学卒業後は中央省庁で都市や地域に関わる行政を担当し、バブル経済崩壊後の国際競争力のある都市再生、阪神・淡路大震災によって損害を受けたまちの復興などに取り組み、その経験から、まちづくりと経済学との関係、あるいは身の回りの状況の変化に応じた人々の選択行動について関心を持って研究を行うようになりました。都市の中心に人口や様々な機能を集約したコンパクトシティに関して、財政負担軽減、経済活性化、住民の健康の改善、環境負荷の軽減といった多様な効果について他大学の先生方と共同で実証分析を行っています。また、最近では、新型コロナウィルスの流行が都市の中の住み方や企業行動に与える影響についてGIS(Geographic Information System:地理情報システム)を用いて分析しています。
担当授業について
主に3年次からの「都市経済学」、「行動経済学」と「経済学特殊研究A」を担当します。「都市経済学」は、都市や地域といった空間の拡がりの中で、どこに住むか、どこで働き、経済活動を営むかという選択やそれが経済とどのような関係にあるかという課題について理論と実証の両面から学んでいきます。また、「行動経済学」は、最近急速に発展している分野で、必ずしも経済合理的と言えない人間の行動の特徴を明らかにし、そうした行動が経済社会にどのようなインパクトを与えていくかを分析します。いずれも、将来の姿を見通すことが難しくなりつつある日本での経済の動きを捉える上で大きな手がかりを与える学問分野と考えています。また、「経済学特殊研究A」は、大量の経済データを分析する計算ソフトであるStataを使った実証分析の演習を行うもので、これを学ぶことで近年注目を集める「ビックデータ」の分析による経済現象の解明のための技術を習得していきます。
ゼミについて
都市・地域といった空間の中での経済現象や時間の流れの中での人々の流動的で多様な経済行動を学ぶことで、現在日本が直面している多くの課題について、経済の理論と実証を通じて、その解決策を考えていくことをゼミのテーマとしています。このため、都市経済学・行動経済学に関係する文献・論文の輪読を行うとともに、データ分析についての演習を通じて実証分析の技術を習得していきます。これを基に、グループ単位での研究を行うとともに、都市経済学・行動経済学の中でそれぞれの個人が関心を持った特定のテーマについて卒業論文を作成して頂きます。また、複数の大学が参加する日本政策学生会議(ISFJ)にも積極的に参加を促していきます。都市や地域で繰り広げられる人々の多様な経済活動のダイナミクスを学んで頂くことで、学んだことを実際の経済活動に活かせる人材を育成していきたいと考えています。
メッセージ
個人や企業が行う経済活動は決して一つの点に止まるものではなく、空間的な広がりを持った都市・地域の中での出来事であり、しかもその行動や選択は、時間の流れ、置かれた状況の変化の中で、それぞれの個人の個性・特徴によって幅広い多様なものとなります。こうした現実を直視して、自分ならどう動き、行動するかを考え、数字を使ったシミュレーションを行ってみてこそ本当の経済の将来の姿が見えてきます。都市経済学、行動経済学やゼミナールでの学びを通じて、そうした広い視野での経済活動の姿を掴み、自分の熱意と才覚で経済社会を生き抜いていく力を身に着けてください。
卿 瑞
ケイ ズイ
財政学
プロフィール
卿瑞(けい ずい)と申します。「パンダの故郷」と言われる中国四川省の出身です。上海外国語大学を卒業した後、東京大学大学院に進み、2019年に同大学院の博士(経済学)を取得し、2020年に武蔵野大学に着任しました。
専門について
私の専門分野は財政学です。財政学とは租税、社会保障制度の運営、公債発行といった政府の経済活動を研究する分野です。特に、財政学の中でも、地方創生や持続可能な社会の実現など、地方自治体の課題を研究対象にしています。例えば、これまでの過疎化対策は成果があったか、どの部分を見直さなくてはいけないかは重要な課題です。現在、地方政府の財政データを用いて、エビデンスに基づく研究を行っています。
担当授業について
財政学1・2および他学科向けに開講される経済学入門1を担当しています。財政学1・2では、財政学の基本的な概念を理解できる能力を身に着けることを目的としています。財政学1は消費税、所得税などの税のこと、財政学2は国と都道府県の関係について扱っています。また、「牛乳パックはなぜ四角い?同じ炭素でできたものなのに、なぜダイヤモンドは鉛筆の芯よりはるかに高い?」といった問題を考えたことがありますか。経済学入門1ではこのような問題に答えられる力を体系的に習得することを目的としています。
ゼミについて
私のゼミでは、財政学と地方創生をテーマとしています。地方の課題の裏側にある原因を理解するために、経済学やデータ分析の手法を学習します。3年次では、Pythonを勉強するとともに、実証研究のワークフローの全過程を体験します。そして、4年次では、各自で課題を設定し、卒論研究を行っていきます。
メッセージ
武蔵野大学には、世界各地から集まる留学生や、世界各国に留学する日本人学生がいます。 ここでは、科学は常に非合理的な声に勝って、協力的な雰囲気は常に偏見を超えます。日本に留学してから8年目になりますが、毎年新しい発見があり、新しい感動をいただいています。そのため、世界中から武蔵野大学に来てくれた皆さん、そしてここから世界中に旅する皆さんにも、私のように、世界の隅々にある驚きを目にして、今までに感じたことのない異文化とのぶつかり合いを感じて、様々な価値観に触れてほしいです。卒業して、社会に出て、いつか道を見失ってしまい、答えの見えない問いに悩まされるときもあるかもしれません。武蔵野大学で学んだことのすべては、きっと皆さんにその壁を打ち破る力、再び出発する勇気を与えると信じています。
(中国語)
武藏野大学有从全世界各地来的留学生,也有去往世界各地的交换生。在这里,科学总是能战胜非理性的声音,合作共赢总是能超越偏见。我来日本留学已经8年了,每一年都能有新的发现,收获新的感动。因此,希望从世界各地来到武藏野大学的你们,以及从这里出发前往世界各地的你们,也能和我一样,去看看在这个世界不同角落里的惊奇,去感受不同文化的碰撞带来的前所未有的感受,去接触拥有不同价值观的人。我相信,当你们毕业后走向社会,如果有一天遭受命运的不公,失去了方向,从这里学到的一切,一定能给你们冲破桎梏的力量,给你们重新出发上路的勇气。
小坂 賢太
コサカ ケンタ
国際貿易
経済政策
プロフィール
小坂賢太(こさかけんた)と申します。高校までは兵庫県で育ち、大学から東京に来ました。学部は、東京大学経済学部を卒業し、東京大学大学院経済学研究科で博士号(経済学)を取得しました。その後、2014年に武蔵野大学に着任いたしました。
専門について
専門は「国際貿易論」です。主にデータを用いた実証研究を行っています。現在は、貿易政策の効果などについて、データを用いた分析を行っています。
担当授業について
「国際貿易論1、2」「マクロ経済学3、4」「経済学のための数学」を担当しています。「国際貿易論」は、貿易について分析する学問ですが、その他にも企業の海外直接投資、WTOやFTAなどの国際貿易体制なども扱います。「マクロ経済学」は田中先生と分担して担当しているのですが、現在のカリキュラムでの私の担当は、為替レートの決まり方、株価の決まり方、一国の経済が成長するメカニズムなどを扱っています。これらの「国際貿易論」や「マクロ経済学」で扱う内容は、ニュースや新聞などでも頻繁に取り上げられる現実の経済にとって重要なトピックスですが、その背景にある仕組みや論理を理解するには「国際貿易論」「マクロ経済学」を学修することが欠かせません。「経済学のための数学」では、経済学の学修の基本となる数学を学修します。経済学部は、大学では文系の属することもあり、数学が苦手な学生も多いのですが、基本的な数学からじっくり学修をすすめることで、数学が苦手な人でも無理なく数学が身につくような授業を心がけています。
ゼミについて
ゼミの前半では、国際経済に関する基本的な教科書を輪読することにより、国際経済について経済学の視点で分析する基本的な力を養います。ゼミの後半では、現実の国際経済についての時事的なテーマについて議論やデータを用いた分析を行います。具体的なテーマとしては、今までに米中貿易戦争、日本の韓国への半導体材料輸出管理強化の問題、TPP、日本・EU経済連携協定などについて扱いました。
メッセージ
経済学を学ぶことで、ニュースや新聞に出てくる経済現象について、その背景にある仕組みや論理が分かるようになります。また、そのような仕組みや論理を理解することは、現実の経済の動きが、私たちにどのような影響を与えるのかを考えるときに欠かせません。ニュースや新聞に出てくる経済現象に関心がある人や経済社会の仕組みについて知りたい人には、経済学部をおすすめします。
齋藤 英里
サイトウ エイリ
欧米経済史
経済思想史
プロフィール
齋藤英里(さいとうえいり)と申します。よく女性にまちがえられますが、前期高齢者の男性です。
この名前の男性は調べた限り、私を含めて3人います。
出身は東京都三鷹市(生家は井の頭公園のはずれ、ジブリ美術館近く)です。 山本有三著『路傍の石』に感銘を受けたことが遠因で、慶應義塾大学経済学部に進みました。同大学大学院経済学研究科博士課程を修了し、高校や短大で教えた後、まだ女子大で、学部の数も少なく、武蔵野キャンパスしかなかった頃の本学に赴任しました。
専門について
欧米の経済史や経済思想史です。数年間アメリカで生活した経験から、日米の物の考え方や社会の違いを実感し、その背景にある歴史の重要性に気が付きました。大学で出会った経済史は、そうした関心に答える学問で、比較経済史は私の重要な視点となり、今に至っています。大学院時代には1年半アイルランドに留学し、それ以降、「日英の植民地政策の比較―朝鮮とアイルランドー」をテーマの一つとして研究しています。
担当授業について
・「大学での学び方を考える」 1年生の授業です。
大学で学ぶのは何のためか、学ぶとはどういうことなのかを新入生のみなさんと考え、学ぶ動機づけをはかります。
・「国際経済史」「経済思想史」 2年生以上の専門科目です。
「国際経済史」は、15世紀以降、世界が一体化し、産業革命に至るまでの過程を講義し、グローバル経済が成立する歴史的背景を学びます。
「経済思想史」は、アダム・スミスが出発点です。スミスは自由放任主義者とされていますが、それは一面的な理解です。スミスを正しく理解せずに、経済学を学ぶことはできません。
歴史は覚えるのではなく、論理的に考える学問です。歴史も思想も、答えは一つとは限りません。物事はどのような視点に立つかで、見え方は違ってきます。多様な見方を学びながら、自分の視点を確立してください。
ゼミについて
産業革命以降の資本主義の変化を歴史と思想から考えます。テキストに指定した文献を深く調べ、発表し、疑問点についてみなで討論します。卒業論文では自分の好きなテーマを選んで、研究してもらいます。テーマは欧米だけでなく、日本やアジアの歴史・思想をとりあげてもよいです。最近のテーマで人気があるのは、2024年に一万円札になる日本資本主義の父、渋沢栄一の思想です。
年度によっては、グループに分かれて研究しました。「企業資料館を調べる」「日本橋老舗の調査」などのフィールド・ワークに取り組み、成果を冊子にまとめました。渋沢史料館や、世界遺産の富岡製糸場を見学したことも良い思い出です。
メッセージ
広く世界に目を向け、深く物事を考えてください。
那須田 晃子
ナスダ アキコ
開発経済学
プロフィール
那須田晃子(なすだあきこ)です。静岡県浜松市の出身です。中学生の時にスタディツアーでメキシコを訪れ、日系企業の工場見学をしたことをきっかけに途上国問題に関心を持つようになりました。静岡大学人文学部を卒業後、一橋大学大学院経済学研究科を修了し、2022年から武蔵野大学に着任いたしました。
専門について
専門は開発経済学です。開発経済学とは、発展途上国が直面する問題をどうしたら解決できるのか、どうしたら経済発展することができるのかについて考える学問です。私はマイクロデータと呼ばれる家計や個人レベルのデータを使って、定量的に政策効果を分析する研究を行っています。現在は、電力が個人の働き方に与える影響について関心を持っています。
担当授業について
「経済学基礎」「英語で学ぶ経済学」「途上国の経済学」などを担当します。実生活に関わる事例やニュースを取り上げ、理論的な枠組みで考える力を養い、経済学の面白さを伝えることを心がけています。「途上国の経済学」では、なぜ貧しい生活から脱することが難しいのかについて、多面的に扱います。一見、非合理的に見える人々の行動の裏側には、その選択肢を選ぶ合理的な理由があることを学びます。
ゼミについて
私のゼミでは、途上国が抱える問題について学び、過去に行われた政策がどのような効果をもたらしたのか、データ分析を通じて学びます。一般的に、政策が期待されていた効果とは異なる結果になったり、思わぬ波及効果がもたらされたりすることが往々にしてあります。これらはデータをじっくりと見ることで明らかになることも多く、経済学の面白さの一つです。最終的には、皆さんが関心のあるテーマについて、自ら分析できる力を養うことを目標としています。
メッセージ
学生の皆さんにとっては、社会問題の多くが自分とは無関係な、遠くの場所で起きている出来事のように感じるかと思います。しかし実際には、立場や状況が変化することで、いつしか当事者となることもあるでしょう。異なる立場の人々への想像力を豊かに持つことが、問題を自分事として考えることに繋がります。ぜひ経済学への学びを深めながら、多様な視点で考える力を育んでもらいたいと願っています。
プロフィール
新倉博明(にいくらひろあき)です。慶應義塾大学経済学部を卒業した後、慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程にて博士(経済学)を取得しました。 大学院では産業組織論を学び、情報通信技術の革新が企業や市場に与える影響に興味を持って研究していました。研究を進める中で、一度通信に関わる最先端の企業を肌で感じてみたいとの思いが湧いてきました。そのため、ソフトバンクグループ株式会社に勤務し、国内外の企業合併案件や独占禁止法に関わる訴訟、及び経営のブランディングに関する分析などの業務に従事していました。そこでは、研究してきたことを実践できる機会を得ることができました。2018年より武蔵野大学に着任しています。
専門について
専門は産業組織論です。現在行っている研究は、コーポレート・ガバナンスにおける多様性の研究や情報通信技術の革新が市場に与えた影響をテーマにしたものがあります。
担当授業について
産業組織論、ミクロ経済学、英語で学ぶ経済学、データ分析入門、ゼミナールなどを担当しています。
ゼミについて
私のゼミで取り扱うトピックとしては、企業が社内外で行う行動や戦略、市場構造の分析などがあります。企業や市場の問題点を探し出し、データを自ら集めて分析し、自分の考えを論理的に他者に説明するまでの流れをトレーニングしていきます。
他人に自分の考えを理解してもらうために必要なプレゼンテーションの方法、プレゼンテーションシートの作り方も学んでいきます。
ゼミで企業や産業について学び、その後企業へ見学に行ったり、企業の方を招いてお話を聞くことで、学生が現実の経済を学んでいる実感を得られるように努めています。
ゼミ内で上級生、下級生が隔たりなく議論し合い、大学を卒業した後も助け合えるような、タテの繋がりができるよう、3・4年合同の懇親会やボーリング大会なども行っています。
メッセージ
経済学は一身一家の世帯から企業や国、世界を説いていく幅広い学問であると共に、日々の生活に即した実学の側面も持っています。そして、経済学は常に好奇心を持って、チャレンジや冒険を重ねて成長し続けています。
大学の講義で経済学を学び、日々の生活を通じて新しい発見を見つける、そんな醍醐味を感じて欲しいと思います。
西崎 健司
ニシザキ ケンジ
マクロ経済学
国際金融論
日本経済論
プロフィール
西崎健司(にしざきけんじ)です。1972年3月の生まれで、熊本県の出身です。1994年に東京大学経済学部を卒業後、日本の中央銀行である日本銀行に29年間勤めました。日本銀行では、金融政策運営の企画立案を担当する部署に8年余り在籍したほか、金融政策運営において判断の裏付けとなる国内外の金融市場や実体経済の調査・研究に長くに携わりました。また、横浜支店長として、神奈川県という大規模な都市エリアで用いられる現金供給を管理するという仕事も経験しました。この間、米国に留学して、ニューヨーク州立大学バッファロー校で経済学修士号を取得しました。2023年から、武蔵野大学経済学部経済学科に着任しましたが、これまでの実務経験も活かしていきたいと思っています。
専門について
マクロ経済学と呼ばれる経済学の一分野の観点から、主に日本経済を対象として理論的・実証的に分析してきました。とくに、日本経済の成長率が趨勢的に低下しているのはなぜか、日本において物価や賃金の上昇率が他国と比べ低いのはなぜか、というテーマは、一貫して研究対象となっています。また、いわゆる異次元緩和のような「非伝統的」な金融政策の効果や、為替レートの決定理論のパフォーマンス評価も、主要研究テーマです。さらに最近は、気候変動問題が日本の実体経済や金融システムに及ぼす影響についての研究にも取り組んでいます。これらの研究の成果は、内外の学術雑誌やより一般向けの媒体で発表してきました。
担当授業について
私の担当科目は「国際金融論」、「日本経済論」、「マクロ経済学」です。国際金融論では、為替レートの決まり方や世界的な金融危機が発生するメカニズムなどについて、代表的な議論を学び、金融面から世界経済を分析する広い視野を養います。また、日本経済論では、日本経済が高度成長から安定成長そして低成長へ移行していった背景とともに、現在の低成長下で財政金融政策が直面する挑戦を学ぶことを通じて、日本経済の課題と進むべき方向性について自分で考える力を磨きます。
ゼミについて
日本経済の成長率は趨勢的に低下しています。私のゼミでは、こうした成長率低下の背景や、そのもとでの物価・資産価格の決定メカニズム、金融政策の課題などについて考えていきます。ゼミの進め方は、教科書の担当箇所を各人に割り振り、当該回に発表してもらい、みんなでディスカッションを行う、「輪読」形式を基本としますが、これにより日本経済や国際金融に関する理解を深めるとともに、より一般的な「議論する力」を涵養することができます。また、例えば日本銀行の本店や併設されている貨幣博物館などの見学などを行うことも考えています。
メッセージ
物価、為替レート、金利など、経済変数は我々の身近な生活に大きな影響を及ぼします。経済学の知識を身に着けることによって、経済のメカニズムに対する理解を深めることは人生の大きな知恵・財産になります。一緒に謎解きにトライしていきましょう。
平湯 直子
ヒラユ ナオコ
計量経済学
環境経済学
プロフィール
平湯直子(ひらゆなおこ)と申します。慶應義塾大学商学部を卒業し、同大学大学院商学研究科で博士号(商学)を取得しました。2014年4月に武蔵野大学に着任しました。
専門について
専門は環境経済学です。計量分析の手法を用いて環境問題について研究をしています。大学時代は計量経済学のゼミに所属していました。4年次に中国・三峡ダム問題に関心を持ったことが、環境分野を分析テーマとするきっかけとなりました。モノの生産は環境負荷を生じさせます。国と国との経済面での相互依存関係がもたらす環境負荷の誘発(経済と環境の国際間相互依存関係)を分析テーマとし、他分野の先生方との学際的プロジェクトに参加し実証分析を行っています。また、最近では、環境に関する消費者の「意識と行動」に関心があり、意識をしてから行動に移るまでの規定因について、環境ラベル、カーボンフットプリント等を事例に分析を行っています。
担当授業について
2年次の「計量経済学」と3年次の「環境経済学」をおもに担当しています。「計量経済学」は1年生全員が学ぶ「統計学」に続く学問であり、統計理論を理解したうえで、現実の経済データを用いた実証分析を可能とする計量分析手法の修得を目的としています。パソコンを用いた演習形式の授業です。「環境経済学」は経済学では比較的に新しい分野の学問です。経済成長と環境保全は、かつては対立関係にありましたが、公害から地球環境問題へと展開してきた過程で、両者は共存する関係になってきています。環境保全に取り組むことが新しい経済発展をもたらし、持続可能な社会の実現へと繋がっていきます。その中で“経済学”が果たす役割を考える学問が環境経済学です。授業では、まずは環境問題を知ることが重要であり校外見学の機会を多く設け、グループワークにおいて、統計的手法を用いて環境データから諸問題を明らかにし、解決策を考え発表する場も設けています。
ゼミについて
環境問題に関する多くの事例に触れることで、経済学的視点から環境問題を捉え、経済と環境の共生を考えることをゼミのテーマとしています。環境白書やエネルギー関連の文献の輪読を行っています。また、統計データの収集の仕方、得られたデータの分析の仕方を学修し、関心のあるテーマについて卒業論文を作成してもらっています。環境経済学での学びの成果をはかる機会として、ゼミ生の多くが『エコ検定』に挑戦しています。将来、特に環境分野で貢献できる人材を育成したいと日々考えています。
メッセージ
経済・社会を知り、効果的に読み解くために、経済学科ではデータ分析を重要視しています。課題解決を導くためには、データを精緻に解析することが必要であり、そこで統計・計量分析の手法が必要となります。データは客観的事実を表すものであり、データをもとに誰もが納得できるものの見方を提示することができます。経済学科では1年次より「統計学」「データ分析入門」を学ぶことができ、段階的にデータ分析力を身に付けることができるカリキュラム構成になっています。今後、データの重要性はさらに増していくことが予想されます。定量的に課題を明確にし、具体的な解決策を提示できる力をぜひ身に付けましょう。
松岡 佑和
マツオカ ヒロカズ
公共経済学
プロフィール
松岡佑和(まつおかひろかず)です。神戸大学経済学部を卒業し、東京大学大学院経済学研究科で博士号(経済学)を取得しました。その後、縁あって2016年に武蔵野大学に着任いたしました。
専門について
私の専門は公共経済学です。政策を扱う経済学を公共経済学と言います。私は政策の中でも特に社会福祉に興味があり、社会福祉を経済学の観点から分析しています。社会福祉と経済はあまり関係がないと思われるかもしれませんが、社会福祉の大きな問題である貧困は経済と直接関わりますし、高齢者増加による年金や医療費の問題などは、政策を通して経済と大きく関わっています。また政策だけではなく、民間の社会福祉活動も社会福祉の向上による経済的効果を持つことがありますので、経済学の対象となります。私は政策、民間ともに社会福祉が関わっているものは、全て興味があります。私の出発点はいかに社会をより良くしていくかです。その対象が社会福祉であり、方法が経済学です。
担当授業について
私の主な担当科目は統計学と公共経済学です。統計学というのはデータを用い物事を分析する学問です。経済学ではデータ分析を重要視しています。データをよく見てみると、私たちが思いもしなかったことが見えてくることがあります。もう1つは公共経済学です。政策が私たちにどのような影響を与えるかを分析する学問です。政策という括りですから、政府が関わることは全て守備範囲です。税金や年金などだけではなく、所得の不平等、経済格差など、社会で考えていかなければいけない大きな問題も扱います。
ゼミについて
私のゼミでは公共経済学を柱にしています。テーマは毎年変わりますが、現在は貧困を扱っています。貧困はどのようなものか、どのように考えていけば良いか、どのような政策があり、有効な政策は何かなどを考えていきます。社会をいかにして良くするかを徹底的に考えます。
メッセージ
経済学の特徴はデータを用いたアプローチと言えるかもしれません。実社会でもデータから考えるアプローチの重要性が増しています。一方で、より良い社会をいかにして作るかという観点から社会や政策を考えてみると、データだけでは語ることが出来ないことが多いのも事実です。データを用いたアプローチとともに、社会を構成する1人1人の立場に立った政策を学生と一緒に考えていきたいです。