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2020.1.22

2020年法律学科の最新情報―受験生の皆さんへ

法学部長(副学長) 池田眞朗

宅建表彰式2年生2019IMG_3067

お待たせしました、有明日記の更新です。「新世代法学部」を標榜して2014年に誕生した本学の法学部は、2019年も順調に発展し成果を挙げてきました。2020年度の今後のB日程、C日程入試やセンター試験利用入試の受験生の方や、申し込みを考えておられる方々のために、法律学科の最新情報をお伝えします。是非有明日記その3、その4と合わせてお読み下さい。

法科大学院合格実績―国公立の合格・進学者も誕生

 2019年度の法科大学院入試では、有力私立大学院には、例年と同様の実績を挙げましたが(慶應義塾大学1名、早稲田大学2名、中央大学4名、法政大学1名)、さらに国公立大学にも初の合格者を出しました(東北大学、千葉大学、首都大学東京各1名)。今年も法科大学院進学志望者は全員合格を果たしたことになります(進学先は東北1、慶應1、早稲田2、中央2、法政1)。なお、これらの諸君は、大半が、本学の法曹士業プログラムの受講生です。また、法律学科では3年生で法科大学院に合格した学生が中退ではなく卒業の資格を得られる制度(仮称「法曹進学コース」)の整備の検討も始めており、2020年度にはそれへの対応の意味も込めて、3年次に専門演習科目(憲法演習、刑法演習)を増設します(民法演習は既設)。これらの演習科目は、法科大学院進学希望者以外の学生も受けられます(教室規模によっては成績順で選抜します)。

公認会計士も誕生!

 さらに一つうれしいニュースは、法律学科第1期卒業生から、公認会計士の最終試験合格者が出たことです。2018年3月に卒業した佐藤匠君が見事合格しました。法律学科では畑違いの分野ですが、佐藤君は1年次から一人だけ本学の育成プログラム会計士コースに入って頑張っていた人です(武蔵野TVの法律学科紹介動画をご覧ください)。今後は、本学の大学院法学研究科ビジネス法務専攻に進学している人たちから、不動産鑑定士や司法書士という、難関法律資格試験の合格者の輩出が期待されます。

メインはマジョリティの学生―宅地建物取引士合格者の増加

 ただ、本学法律学科のメインの教育対象は、あくまでも多数派の法律学科生です(「マジョリティのための法学教育」を標榜して、授業をしています)。その多数派が「人生を変える」のに最も好適な国家資格が、宅地建物取引士なのです。この合格者も、わが法律学科ではどんどん増えています。下のグラフをご覧ください。2015年度3名、16年度7名、17年度15名、18年度21名、そして19年度も21名、という数字です。しかも19年度は、2年生が10名合格し、同一学年の単年度合格者数の記録を更新しました(この学年は、昨年1年生で4名合格していますので、既に14名が資格者となったわけです)。このペースでいけば、現在の3年生以下は、現在法律学科の定員は1学年190名ですので、卒業時までに約1割が宅建士、という目標をクリアできることになると思われます。
この資格は、もちろん不動産関係に進むには必須ですし、それ以外の業種への就職活動でも、民事基本法をしっかり学んだという証明になり、有利な評価をされます。不動産業界の大手企業では、最初のweb試験と一次試験が免除になり、二次の面接試験からのスタートになります。今年も、就職を決めた学生たちから、「本当に人生が変わりました」といううれしい報告が来ています。

2019年度合格実績

さらに一歩進んだ法律学科へ―起業家学生の輩出推進

さらに、わが法律学科は、法曹や公務員など、既存の社会の仕組みを支えていく人たちを輩出するだけではありません。独自の感性で想像力(イマジネーション)と創造力(クリエイティビティ)を磨いて、新しい仕事を開発していく、起業家志向の学生も育てたいのです。
その具体的な施策として、2020年度からは、本学の大学院法学研究科ビジネス法務専攻修士課程に新設する『起業ビジネス法務総合』を、学部4年生が科目等履修生として特別に履修できる制度も作りました。昨年、この有明日記で紹介した野村泰暉君のように、既に会社を持って学業と両立させている学生が今後も出てきてほしいものです。

TOEIC受験大作戦も着々と成果を

 もう一つ大事なことは、英語の重要性です。現代では、どういう進路に進むにせよ、TOEICのスコアが必要になるのです(資格を取るのだから英語はできなくて良い、という時代は終わったのです!)。そこで法律学科では、有明日記の3にも書いたように、このTOEICのスコアを取ることを必須にしました。ゼミに入るにも、法曹士業プログラムなどを受けるにも、TOEICのスコアが判定に要求されるようにしたのです。そして一方でTOEICの公開テストの受験を推奨し、ことに年2回、6月と12月の公開テストには、大学から費用補助が出るので、これをほぼ全員で受けるように指導しています。実際、昨年の有明日記4にも書いたように、TOEIC公開テストの学内申込者数では、法律学科生が圧倒的な多数を占めています。もちろん、法律学科としては、ただ受けさせるだけではなく、1年生の入学時に、先の宅地建物取引士試験の問題集と共に、TOEIC用の単語集を全員に配付する作戦を実施しています。

学びにつながるフィールド・スタディーズの実施

 さらに、武蔵野大学は全学で1年生にフィールド・スタディーズ(FS)という学外学修授業を必修としていますが、例えば地方での農業体験とか、海外での見学旅行などは、それぞれ貴重な機会とはいえ、専門の学びにつながらずに終わりかねません。そこで法律学科では、2018年度から、武蔵野市や西東京市とタイアップして、空き家調査のFSを展開しています。空き家問題は、社会的に大問題であるだけでなく、空き家対策特別措置法をはじめ、民法や登記法、税法など、多くの法分野にかかわる問題だからです。また、2019年度からは、同様の趣旨で、出入国管理のFSも始めました。
また本学では、2019年に「武蔵野大学SDGs実行宣言」を出しましたが、法律学科では、そのSDGs関係の教育も始めており、2019年度には、東北医科薬科大学の佐俣紀仁先生の国際法とSDGsの講演(政治学科と共催)、サンパウロ大学の二宮正人先生(本学客員教授)の外国人労働者問題についての講演などを行っています。

法律学科現役生の多様な活躍

 以上のように、法律学科は着々とその教育内容と質保証を高めていますが、何より大事なのは、学生諸君がのびのびと、個性を生かした活躍をしてくれる舞台を整えることです。その結果、2019年度は、青雲塾(故中曽根康弘氏主宰)懸賞論文で法律学科2年の藤岡拓夢君が優秀賞を獲得し(藤岡君は1年次の2018年には本学の「副学長杯FS動画コンテスト」でも優勝しています)、また同じく法律学科2年の臼井春樹君は、プロボクシングフライ級東日本新人王決勝戦で優勝しました。法律学科では、こういう学外の活動も、積極的に奨励し、顕彰するようにしています。

「法律を楽しく学んで人生を変える」-目指すのは、オンリーワンでナンバーワンの法学部法律学科

 本学の法律学科の教室は、一番前から席が埋まります。法律学科のモットーは、「楽しく学んで人生を変える」です。本当に人生を変えることができた先輩たちが続々誕生しています(先にも述べましたが、このHPから『武蔵野TV』に入って、法律学科の紹介動画をご覧ください)。君も、今の高校での「立ち位置」をリセットして、新しい人生を創ってみませんか。そういう意欲のある諸君が受験してくださるのを楽しみに待っています。
目指すのは、オンリーワンでナンバーワンの法律学科です。そこに行き着くために、一緒に頑張ってみませんか。

池田眞朗教授1

池田 眞朗 Masao Ikeda
【プロフィール】
1949年生まれ。博士(法学)(慶應義塾大学)。2020年3月まで、本学副学長・法学部長。現在本学大学院法学研究科長。専門は民法債権法、金融法。現在日仏法学会理事、ABL協会理事長。慶應義塾大学名誉教授。

フランス国立東洋言語文明研究所(旧パリ大学東洋語学校)招聘教授、司法試験(旧・新)考査委員(新司法試験民法主査)、国連国際商取引法委員会国際契約実務作業部会日本代表、日本学術会議法学委員長、金融法学会副理事長等を歴任。

動産債権譲渡特例法、電子記録債権法の立案・立法に関与。主著の『債権譲渡の研究』(全4巻)で全国銀行学術研究振興財団賞、福澤賞を受賞。2012年民法学研究功績により紫綬褒章受章。
【最近の著作・論考】
【著書】(いずれも2020年4月1日施行の民法改正に対応した改訂版)
『スタートライン債権法〔第7版〕』(日本評論社、2020年3月出版予定、本学2年生民法3Aから4Bの指定教科書)
『プレステップ法学〔第4版〕』(編著、弘文堂、2020年3月出版予定、本学1年生法学1の指定教科書)
『新標準講義民法債権各論〔第2版〕』(慶應義塾大学出版会、2019年)
『新標準講義民法債権総論〔全訂3版〕』(慶應義塾大学出版会、2019年)
【論文等】
「新世代法学部教育の実践―今、日本の教育に求められているもの①~⑥」 書斎の窓(有斐閣) 643号~648号(2016年1月~2016年11月)
「民法改正案債権譲渡部分逐条解説―検討と問題点」慶應法学(慶應義塾大学法科大学院)36号(2016年12月)
「日本法学教育史再考―新世代法学部教育の探求のために」武蔵野法学 (武蔵野大学法学部)5・6号(2017年2月)
「民法改正法の解説と施行までの留意点」税経通信(税務経理協会)72巻13号(2017年11月)
「日本の金融法制の現状と展望―金融イノベーションと規制の観点から」(中国清華大学国際シンポジウム講演記録)SFJジャーナル(流動化証券化協議会)16号(2018年2月)
「イノベイティブな法務」をめざして――武蔵野大学大学院法学研究科ビジネス法務専攻の目標と本シンポジウムの趣旨(特集・武蔵野大学大学院法学研究科ビジネス法務専攻開設記念シンポジウム「ビジネス法務の未来を語る」) 武蔵野法学10号 2019年2月
「日本民法典の発展過程――ボワソナード旧民法典から二〇二〇年施行の債権関係大改正まで」二宮正人先生古稀記念『日本とブラジルからみた比較法』信山社 2019年7月
「民法(債権法)の全体像とその改正の概要」税経通信 2019年12月号
※2017年度の国立小樽商科大学の入学試験では、池田先生の著書『民法はおもしろい』(2012年、講談社現代新書)が現代国語の問題に使用されました。

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