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前法学部長インタビュー

2021.02.09

武蔵野大学前法学部長『有明日記』その6

2020年度法律学科の総括―史上最高の実績報告です

前法学部長(前副学長) 池田眞朗

2020年度法律学科の総括―史上最高の実績報告です

お待たせしました、有明日記の更新です。「新世代法学部」を標榜して2014年に誕生した本学の法学部は、完成年度入学の4期生が2020年に4年生となり、また史上最高の成果を挙げてくれました。さらに1期生の卒業生たちの華々しい成果もありました。新型コロナによる遠隔授業の中でも、在学生も頑張っています。2021年度の今後のB日程、C日程入試や共通テスト利用入試の受験生の方や、申し込みを考えておられる方々のために、法律学科の最新情報をお伝えします。是非有明日記その3、その4、その5と合わせてお読み下さい。

1期生の大活躍―司法試験に2名、司法書士試験に1名、合格しました

まずは大変うれしいニュースです。2018年(平成30年)3月に卒業した法律学科1期生で、法科大学院に進学した諸君が、初めての司法試験に臨み、3名中2名がストレートで合格しました。いずれも慶應義塾大学に進学して修了した、須藤駿君(武蔵野池田ゼミ)と中村昌哉君(金尾ゼミ)です。お二人はこれから司法修習に入り、修了試験に合格すると、法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)のいずれかになることになります。
さらに1期生では、牧亜斗夢君(金尾ゼミ)が司法書士試験の最終合格を果たしました。こちらも、同試験についての法学部初の合格者です。

実は司法書士試験は、現在、司法試験以上の難関試験と言われており、本年度の司法書士試験の最終結果は合格者数595人、受験者数11,494人、合格率約5%で、しかも合格者の平均年齢は40.02歳でした。牧さんは、ほぼ独学で25歳(平成7年生まれ)で難関を突破したもので、今回の試験で同年生まれまでの若年合格者は合計41名という快挙でした。

法律学科1期生は、すでに平成31年の公認会計士試験で佐藤匠君が合格しており(佐藤君は法律学科に在籍しながら本学の育成プログラム会計士コースで研鑽)、これで難関資格試験の3冠を達成したことになります。

これは、法学部法律学科1期生の、道を切り開こうというパイオニア精神と、「法律を学んで人生を変える」というコンセプトのもと開設以来頑張って指導してきた教員の皆さんの努力が重なった結果と言えると思います。難関士業資格としてはもう一つ、不動産鑑定士試験があるので、今度はその合格者を出して4冠を達成してほしいと願っています。

法科大学院合格実績―史上最高の延べ26名が合格!

もうひとつ、2020年度は、法学部法律学科完成年度(開設4年目)に入ってきた諸君が4年生になり、進路の成果が問われる年でした。実は我々教員は、彼ら4期生を「パイロット・エイジ」と呼んで、武蔵野法律学科の教育成果を測る指標を示す学年と位置付けて指導してきていたのです。その彼らが、法科大学院入試で、史上最高の合格者数をたたき出してくれました。2020年度法律学科の法科大学院入試合格者は、一橋1、東北2、慶應義塾4、早稲田6、中央8、千葉1、都立大1、明治1、法政1、学習院1(延べ26名)となりました。初の一橋合格者を含めて国公立5名、私立上位3校(慶應・早稲田・中央)計18名、総計26名(すべて延べ人数)のいずれも史上最高となりました。なお実数で9名の法科大学院進学が決定しており、これも史上最多です。また、9名はすべて法曹士業プログラム生で、同プログラム生の法科大学院志望者は今年も全員合格を果たしました。

「法律を学んで人生を変える!」

もちろん、わが法律学科では、難関資格試験を突破させることが教育の第一の目的ではありません。開設以来、「マジョリティのための法学教育」を標榜して、いたずらに学説などを覚えさせるのではなく、このルールは誰の何のためにあるのか、こういうルールがないと人はどう困ってどう行動してしまうのか、を学ばせる、「ルール創り教育」に力を入れてきました。そして、各自の目的に沿って、法律の学びを生かして進路を切り拓いて行くことを教えてきたのです。法律学科のモットーは、「法律を楽しく学んで人生を変える」です。資格試験も、その進路を選ぶために活用すればよいのです。

毎年全学年で20名以上合格してきた宅地建物取引士試験は、今年は新型コロナのために2020年度の試験が2回に分かれたため、正確な数字がまだ集計できていませんが、たとえば今年卒業するM君は、2年生の時に宅地建物取引士試験に合格し、3年生を終えた春休みにはその資格を生かして不動産仲介の大手企業から内定を得られたので、2020年3月からの新型コロナ禍が始まる前に就職活動を終えることができたのです。また2020年度は、現役3年生のNさんが、行政書士試験に学科初の3年生で合格しました(過去に4年生合格は2期生に実績あり)。

さらに一歩進んだ法律学科へ―起業家学生の輩出推進

一年前の有明日記では、「さらに、わが法律学科は、法曹や公務員など、既存の社会の仕組みを支えていく人たちを輩出するだけではありません。独自の感性で想像力(イマジネーション)と創造力(クリエイティビティ)を磨いて、新しい仕事を開発していく、起業家志向の学生も育てたいのです。」と書きました。

その具体的な施策として、2020年度からは、本学の大学院法学研究科ビジネス法務専攻修士課程に新設した『起業ビジネス法務総合』という科目を、学部4年生が科目等履修生として院生と一緒に特別に履修できる制度を作りました。早速、初年度は2名の4年生が、この科目を履修しました。さらに上述の、司法試験に合格した須藤君も、司法試験受験後合格発表までの間の期間ということで、第3学期のこの科目に科目等履修生として参加してくれたのもうれしいことでした(なお、司法試験合格者である須藤君と中村君の2名は、この期間に法律学科1年生の補習授業の講師もしてくれました。私が思い描いていた、「先輩が後輩を教える」かたちが、早くも実現しつつあります)。

本学大学院法学研究科へ続く奨学金制度も

さて、今日はもう一つ新しいお話です。4年生で、上記の大学院ビジネス法務専攻の科目を履修したり、ビジネス法務専攻に進学したりしたい人のために、4年生に奨学金による補助をする制度も作りました。法学研究科独自の特別奨学金、愛称はその名もわかりやすい「ABC奨学金(Ariake Business Challengers奨学金)です。大学院の科目を、いくつか科目等履修生として4年次に学べるもので、原則は本学の大学院修士課程に進学する人が対象ですが、起業希望者で上記の『起業ビジネス法務総合』を受けたい人については、大学院進学と関係なしに応募できます。

科目等履修生は、1科目の受講料が5万円なので、2科目10万円までの支給をする予定です(詳細は4年生になるときのガイダンスで説明します)。いろいろな支援の制度を活用して、「なりたい自分」になってください。その他法律学科としては、1年生の入学時に、先の宅地建物取引士試験の問題集と共に、TOEIC用の単語集を全員に配付する作戦を今年も継続して実施します。

新型コロナに負けずに楽しく学ぶ

2020年度は、残念ながらコロナに始まりコロナに終わる一年でした。けれども、法律学科は、遠隔のZoom授業でも、楽しくやっています。2020年度1学期の授業アンケートでは、Zoomの方が理解度が上がったという結果も出ており、個別には、対面の大教室よりもいつ当てられるかわからない緊張感がある、という回答もありました。

下記には、『武蔵野TV』にアップしている、2020年夏の模擬授業、卒業生・在校生インタビュー(上記の須藤君も登場します)、池田ゼミZoom夏合宿報告のURLを掲げておきます。

武蔵野大学法学部法律学科は、人生を変えられるところ、ピンチをチャンスに変えられるところ、そして高校時代の君の立ち位置をいっぺんに変えられるところです。ただしそれも君の意欲次第です。ただ待っていてもチャンスはつかめません。今、チャンスをつかみに行動したい君、是非来てください。
①法学部法律学科WEBオープンキャンパス模擬授業、卒業生在校生インタビュー Part.1(模擬授業)
https://www.musashino-u.tv/others-ch/1548/

②2法学部法律学科WEBオープンキャンパス模擬授業、卒業生在校生インタビュー Part.2(インタビュー)
https://www.musashino-u.tv/others-ch/1554/

③法律学科池田ゼミZOOM夏合宿紹介
https://www.musashino-u.tv/academic-ch/1449/

関連リンク

2021.01.21 法律学科の1期生2名が司法試験に合格しました
https://www.musashino-u.ac.jp/news/20210121-01.html

2020.12.28 法科大学院合格者数最終発表  国立・私立とも史上最高を更新しました
https://www.musashino-u.ac.jp/news/20201228-03.html

2021.02.03 法律学科1期生が司法書士試験に合格しました
https://www.musashino-u.ac.jp/news/20210203-01.html


武蔵野大学 法学部法律学科

池田眞朗教授1

池田 眞朗 Masao Ikeda
【プロフィール】
1949年生まれ。博士(法学)(慶應義塾大学)。2020年3月まで、本学副学長・法学部長。現在本学大学院法学研究科長。専門は民法債権法、金融法。現在日仏法学会理事、ABL協会理事長。慶應義塾大学名誉教授。

フランス国立東洋言語文明研究所(旧パリ大学東洋語学校)招聘教授、司法試験(旧・新)考査委員(新司法試験民法主査)、国連国際商取引法委員会国際契約実務作業部会日本代表、日本学術会議法学委員長、金融法学会副理事長等を歴任。

動産債権譲渡特例法、電子記録債権法の立案・立法に関与。主著の『債権譲渡の研究』(全4巻)で全国銀行学術研究振興財団賞、福澤賞を受賞。2012年民法学研究功績により紫綬褒章受章。

【最近の著作・論考】

【著書】(教科書類のみ)
『スタートライン債権法〔第7版〕』(日本評論社、2020年3月、本学2年生民法3Aから4Bの指定教科書)
『プレステップ法学〔第4版〕』(編著、弘文堂、2020年3月、本学1年生法学1の指定教科書)
『新標準講義民法債権各論〔第2版〕』(慶應義塾大学出版会、2019年)
『新標準講義民法債権総論〔全訂3版〕』(慶應義塾大学出版会、2019年)
『民法への招待〔第6版〕』(税務経理協会、2020年)

【論文等】
「新世代法学部教育の実践―今、日本の教育に求められているもの①~⑥」 書斎の窓(有斐閣) 643号~648号(2016年1月~2016年11月)
「民法改正案債権譲渡部分逐条解説―検討と問題点」慶應法学(慶應義塾大学法科大学院)36号(2016年12月)
「日本法学教育史再考―新世代法学部教育の探求のために」武蔵野法学 (武蔵野大学法学部)5・6号(2017年2月)
「民法改正法の解説と施行までの留意点」税経通信(税務経理協会)72巻13号(2017年11月)
「日本の金融法制の現状と展望―金融イノベーションと規制の観点から」(中国清華大学国際シンポジウム講演記録)SFJジャーナル(流動化・証券化協議会)16号(2018年2月)
「日本民法典の発展過程――ボワソナード旧民法典から二〇二〇年施行の債権関係大改正まで」二宮正人先生古稀記念『日本とブラジルからみた比較法』信山社 2019年7月
「民法(債権法)の全体像とその改正の概要」税経通信 2019年12月号
「行動立法学序説―民法改正を検証する新時代の民法学の提唱」法学研究(慶應義塾大学)93巻7号(2020年9月)
※2017年度の国立小樽商科大学の入学試験では、池田先生の著書『民法はおもしろい』(2012年、講談社現代新書)が現代国語の問題に使用されました。

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