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法学部長インタビュー

「新時代法学部」の挑戦~発送の転換~

日本の法学教育のいま

2015年現在、わが国の法学教育は、司法制度改革の影響を受けて、大きな転機にさしかかっている。毎年3000人の司法試験合格者を出そうとした法曹養成計画は頓挫し、また合格しても就職ができない弁護士が珍しくない状況になり、全国の法科大学院は定員割れの状態のところも多くなって、それが大学入試における法学部人気の低落を招いている、といわれている。

この国を動かす人材を生み出す最大の母体は法学部だ

池田眞朗教授3

しかしながら考えてみれば、法学部というものが、行政組織をみても、企業組織をみても、「この国を動かす人材」を供給するインフラとして必須のものであることには、なんら変わりはないはずである。ルールを理解し、それに則って行動する人間、そして場合によってはそれ(国レベルでは法律だが、地方自治体レベルでは条例、会社で言えば定款になる)を創る人間は、どのような時代になろうとも必要なのであるし、そういう人材を生み出す最大の母体が大学法学部であることは、疑いようもないところであろう。

法学部の価値は、社会や集団でのルールを作れる人材を育成すること

それならば、ここは発想を大転換するべきではなかろうか。法学部は、本来、司法試験や法科大学院の合格者数で評価されるべきところではない。法律を覚えることの得意な人間ではなく、ルールを理解し、それを使いこなし、またその帰属する社会や集団でのルールを作れる人間、をどれだけ育成できるかが、本来の法学部の価値を決めるのではなかろうか。

法学教育の使命は、ルールを理解し、他者と幸福を共有できる人材を輩出すること

そして、この危険に取り巻かれている現代社会(あるいは現代の「地球」)の中で、一人ひとりがどれだけ持続的な幸福を享受できるか、という観点からも、社会のルールを正しく理解して、他者を尊重し、他者と幸福を共有する、いわゆる「共生」の考え方を身につけた人材を輩出させることが、法学教育の使命となるべきなのではなかろうか。

法学教育研究と法律実務家による理論と実務のコラボレーション

このように考えると、法学の研究態度も変わってくる。理論をひねり出すことが研究の目的なのではなく、人々の幸福のために紛争をよりよく解決し(あるいは未然に防ぎ)、他人を害さないようにしながら自己の自由をより多く享受できる、そういう社会を実現するために法学研究は存在しなければならないのである。したがって、大学の研究者は、必然的に、地方自治体や企業の構成員と協働しなければならない(たとえば私自身の研究テーマである民法の債権譲渡においても、企業金融の実務家との研究会から得るところが大きい)。理論と実務のコラボレーションが必須の課題になるのである。

池田眞朗教授2

新時代を拓く法学部

実は、こういう法学教育や法学研究の新たな目標を実現しようとするのが、武蔵野大学法学部なのである。法律学科は、上記のような理念を持って新たにスタートした。またその政治学科は、もちろんこれまでの政治経済学部での実績も承継して更なる発展を図っている。近隣の企業には、エクスターンシップという形で積極的に教育面でのご協力もお願いする予定である。

「有明」の名にふさわしい、「新時代を拓く法学部」の挑戦に期待していただきたい。

池田眞朗教授1

池田 眞朗 Masao Ikeda

武蔵野大学法学部教授・法学部長
武蔵野大学政治経済研究所 研究員

経歴

司法試験考査委員(新司法試験民法主査)、国連国際商取引法委員会作業部会日本代表、日本学術会議法学委員長等を歴任。慶應義塾大学名誉教授。現在金融法学会副理事長、日仏法学会理事、ABL協会理事長。2012年紫綬褒章受章。

*池田眞朗教授の最近の論考として、『世界』(岩波書店)2015年9月号に「新世代法学部教育論―「法曹養成」を超えた真の指標を求めて」が、『日本語学』(明治書院)2015年11月号に「社会科学系の小論文の書き方―法律学を中心に」が掲載されています。

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