生体防御機能学研究室
超微量分析研究部門
PROJECTS
概要
細菌感染に伴って遊離するエンドトキシン(細菌内毒素)は、無秩序な炎症性メディエータの産生という内分泌系のかく乱を引き起こすことによって生体の恒常性の破綻を招き、その複合反応の総和として死に至らしめると考えられており、米国内だけでもエンドトキシンに起因する死者が年間に数十万人にも達すると推定されている医学上の大きな問題の原因物質である。当研究室では最終的にはこの難治疾患の治療法への発展を見据えて、エンドトキシンにより引き起こされる疾患の発症機序とその治療法に関する研究を行っている。
- マクロファージにおけるエンドトキシン認識機構の解析
エンドトキシンの化学構造は、由来する細菌によって異なるが、このように多種多様な構造を有するエンドトキシンをマクロファージがいかに認識し、多様な情報を細胞内に伝えるのかを解析している。 - エンドトキシンによる自然免疫活性化機構の解析
侵入した細菌の排除に関与する自然免疫の活性化には種々のサイトカイン等が関与する。エンドトキシンの認識から、これらサイトカイン産生に中心的役割を果たす転写因子NF-κBの活性化に至る細胞内情報伝達機構を解析している。 - エンドトキシンによる毒性の発現機構の解析
エンドトキシンによる過剰な自然免疫の活性化は生体にとっても有害に働くが、生体側の恒常性のバランスが崩れた際には微量なエンドトキシンでも重篤な疾患へと発展する。いかなる生体側の変化が重篤な毒性発現につながるのか、その機構を治療への発展を見据えて解析している。
SELECTED PUBLICATIONS
- Zenke K., Muroi M., Tanamoto K.: IRF1 supports DNA binding of STAT1 by promoting
its phosphorylation. Immunol. Cell Biol., 96, 1095-1103 (2018) - Zenke K., Muroi M., Tanamoto K.: AKT1 distinctively suppresses MyD88-depenedent and TRIF-dependent Toll-like receptor signaling in a kinase activity-independent manner. Cellular Signalling, 43, 32-39 (2018)
- Muroi M, Tanamoto K.: Zinc- and oxidative property-dependent degradation of pro-caspase-1 and NLRP3 by ziram in mouse macrophages. Toxicol. Lett., 235, 199-205 (2015)
- Muroi M, Tanamoto K.: IRAK-1-mediated negative regulation of Toll-like receptor signaling through proteasome-dependent downregulation of TRAF6. Biochim. Biophys. Acta, 1823, 255-263 (2012).
- Shioiri T., Muroi M., Hatao F., Nishida M., Ogawa T., Mimura Y., Seto Y., Kaminishi M., Tanamoto K.: Caspase-3 is activated and rapidly released from human umbilical vein endothelial cells in response to lipopolysaccharide. Biochim. Biophys. Acta, 1792, 1011-1018 (2009).
- Muroi M, Tanamoto K.: TRAF6 distinctively mediates MyD88- and IRAK-1-induced activation of NF-κB. J. Leuk. Biol., 83, 702-707 (2008).
- Muroi M, Tanamoto K.: Structural regions of MD-2 that determine the agonist-antagonist activity of lipid IVa. J. Biol. Chem., 281, 5484-91 (2006).
STAFF
室井 正志 Masashi Muroi 教授 Professor
善家 孝介 Kosuke Zenke 講師 Lecturer
渡邊 幸子 Sachiko Watanabe 助教 Assistant Professor
ACADEMIC ACTIVITIES
日本薬学会、日本細菌学会、日本エンドトキシン研究会、国際エンドトキシン・自然免疫学会
お問い合わせ
武蔵野大学薬学研究所
〒202-8585 東京都西東京市新町一丁目1番20号
TEL:042-468-3350(武蔵野学部事務課 / 受付時間:月~金 8:45~17:00)
E-mail:pharmacy@musashino-u.ac.jp