4つの特長
社会や自然のあらゆる現象に数理モデルを活用して問題解決
数値や数式でしか処理できないコンピュータの世界では、色、形、大小などを数値に置き換えます。数理工学とは、社会や自然のあらゆる現象をそうした数字や記号などの「数学語」で理解し、問題解決を図る学問です。実際に問題解決を実行する際には、「プログラミング」に代表されるコンピュータの活用が重要となります。本学科では、現象をモデル化して理解する力を身に付け、システム設計に応用できる人材や、大規模データから問題の本質を見抜くデータサイエンティストなど、持続可能な社会の実現に向けて主体的に取り組む人材を育成します。
数学のおもしろさと可能性を教えられる中学・高等学校の数学教員も目指せる
数理工学の必修科目に加え、応用代数、応用幾何など基礎的な数学と他学科と共に学ぶ教職課程の科目を履修することで中学・高等学校教諭一種免許状( 数学)の取得が可能です。数理工学の広範な分野を専門とする教員陣から数学の多種多様な可能性とおもしろさを学び、基礎的な数学と応用数学の知識をバランスよく身に付けることで、「いかにして社会の問題を数学で解決していくのか」、数学の楽しさや奥深さを子どもたちに教えられる教員を目指せます。
特定の領域に特化せず広い分野の数理を学ぶ
数学・物理・統計を3 本柱とし、工学すべての分野に通じる基礎を学びます。さらに、応用数学から純粋数学、物理やデータ解析など、幅広い分野を専門とする教員陣のもと、各分野での専門的な知識と技術を修得します。4 年間の学びを通して、基礎から発展へ体系的に学修します。
「プロジェクト」活動で社会に応用できる能力を身に付ける
学生が学年の枠を超えて自主的に企画から携わり実行する実践型授業が「プロジェクト」活動です。学生が主体となってプロジェクトチームをつくり、数理工学の力を用いて、課題解決・目標達成を目指します。教科書や技術書を苦労しながら読み込み、実装に移すスキルを磨きながら、自らの考えを明確かつ論理的に組み立て意見交換することによって、課題解決のための試行錯誤を繰り返します。主体的に考える力と実行力、他者の考えを傾聴する姿勢、リーダーシップ、チームワーク力などを、高い次元で総合的に身に付けることを目標としています。
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学生の声
大学で数理が持つ可能性に気付きました。
大学院進学も視野に学びを深めています
先輩たちの就職・進学先
進学
東京大学大学院/東京工業大学大学院/東京都立大学大学院/九州大学大学院/慶應義塾大学大学院/早稲田大学大学院/茨城大学大学院/筑波大学大学院/東京理科大学大学院/中央大学大学院/明治大学大学院/静岡大学大学院/武蔵野大学大学院 他
就職
北海道電力/明治安田システム・テクノロジー/SOMPO システムズ/岡三証券/NTT データフロンティア/日本通運/ヤマトシステム開発/千葉銀行/鉄道情報システム/東京都/横浜市/千葉市/東京都教育委員会 他
学科長メッセージ
数理工学のすすめ
櫻井 建成 教授
山口大学大学院 理工学研究科 博士後期課程システム工学専攻 修了 [博士(工学)]
研究領域:非平衡開放系物理学、非線形科学
数理工学は、数学をツールとして駆使し、様々な課題を解決していく学問です。高校までの数学では、ひたすら数学の問題を解いていることが多いかもしれませんが、数学はそればかりのための学問ではありません。非常に多くの数学的手法が、実際の問題を解決していく中で発展してきました。皆さんの学んできた数学を縦横無尽に駆使して、いろんな問題を解いてみましょう。物理の知識を駆使して数式にされた問題も、どんどん解いていくことができます。たくさんのデータの中から、その統計的性質を元に、仕組みを明らかにしていくこともできます。数式が複雑になってきたらコンピュータを使って解くこともできます。もちろん,コンピュータを使って正しい答えを出す計算方法も数学を使って導き出します。
また、数学という言葉は万国共通です。どんな言葉を話す人でも同じ数式で話ができます。ミクロの世界から、地球環境に関すること、更には宇宙まで、数理を使って解き明かしましょう。武蔵野大学工学部数理工学科では、幅広い視野と柔軟な思考を持ち、次の能力を持続可能な社会づくりに活かせる人を育てていきます。
現象数理:いろいろな事象の本質に注目し、説明するモデルを組み立て解明する
構造数理:最適な形やつながりを見つけ、その仕組みを解き明かす
統計数理:多くのデータの中に潜む理(ことわり)を見つけ出す
教員メッセージ
数理の力を生かして社会や人々の生活に貢献できる存在になろう
木下 修一 教授
新潟大学 自然科学研究科
エネルギー基礎科学専攻博士課程修了[博士(理学)]
研究領域:数理物理・物性基礎、ネットワーク科学
数理工学科には新しいことにチャレンジしたいという意欲的な学生が多く、自分たちで企画・実行するプロジェクト活動でも柔軟な発想を生かした研究や作品が数多く生まれました。数理工学科の魅力は教員と学生との距離が近いことにあり、3年次以降配属される学生部屋は各教員研究室のすぐ隣。今年度からはプロジェクトルームも新しく用意されますので学生の皆さんは学内にある自分たちの“居場所”を有意義に生かしてください。数理工学科で学ぶ知識は未来の新たな科学技術やサービスを理解し新しい価値を創造するための礎となり、卒業後は情報産業だけでなくメーカー、金融業、広告業など、さまざまな業界で活躍できます。本学科での学びをまず十分楽しんで、数理の力を社会や人々に還元していきましょう。
教員メッセージ
数学と社会
佐々木 多希子 准教授
東京大学大学院 数理科学研究科 博士課程修了[博士(数理科学)]
研究領域:偏微分方程式の数値解析と数学解析
皆さんは数学が好きですか?私は小さい頃から算数、数学が大好きでした。私は決して天才タイプではありませんが、何時間もかけて問題を解いたり、友達に数学を教えることに喜びを感じていました。一方で「数学が何の役に立つのか」はよく分からず、数学は心を豊かにする学問ではあるけれども、社会の役に立つものだとは思っていませんでした。私の数学に対する考え方は大学で「(微分方程式の)数値解析」に出会うことで変わっていきます。様々な現象が微分方程式という微分を用いた方程式で表現されることが知られています。微分方程式の解を求めることで、例えば天気や感染症の広がりを予測することができます。ところが、微分方程式の解を具体的に求めることは非常に難しい場合が多く、数値計算を使って解を求める手法が研究されています。数値計算の結果にどのような意味があるか正しく理解し、よりよい数値計算法を提案するには数値計算法の背後にある数学を理解する必要があり、数値計算法の背後にある数学を研究する学問が数値解析です。私は数値解析を通して数学が社会の役に立つことが分かりました。これはほんの一例で、数学は心を豊かにするだけではなく社会の役に立ち、私たちの生活を豊かにしています。皆さんにも是非、数理工学科で数学の美しさや可能性を感じてもらえたらと思っています。