EU研究 国際総合研究所
国際関係 / EU
2024年度
EUの実証的研究と東アジアへの教訓
概要
ウクライナ戦争と中東危機という「2つの戦争」で世界は混迷し続けている。なかでも欧州連合(EU)は、そのはざまで苦難の季節を迎えている。2つの戦争がスタグフレーション(景気停滞とインフレの同時進行)をもたらすなかで、利上げ続けてきた欧州中央銀行(ECB)はいつ利下げに転じられるか難しい選択を迫られている。経済危機に加えて難民が押し寄せるEUに、極右ポピュリズムが蔓延するのも難題だ。しかし「主役なき世界」であって、EUの役割が重要であることに変わりはない。むしろ世界のアンカー役として、その存在は高まるだろう。米国の巨大テックに対する独禁政策の強化や急展開する人口知能(AI)のルール化ではEUはその方向性を示す役割を担う。「欧州グリーンディール」など脱炭素の先頭に立つ使命もある。問題は、米大統領選挙で共和党に指名を確実視されるトランプ氏が「2つの戦争」はもちろん、脱炭素などEUの努力をひっくり返す危険があることだ。単に「もしトラ」に備えるのではなく、危機の時代をどう防ぐか、EUの結束力と指導力が試されている。
<研究テーマ>
- 「2つの戦争」のはざまで
ウクライナ戦争は、米国の支援を実現せず、危機的状況にある。それは主権国家の権利を損ない、民主主義を台無しにする。EUのさらなるウクライナ支援が重要になる。中東危機は、イランを含めて中東全域に広がる危険を秘める。EUはドイツをはじめ「反ユダヤ主義」には反対だが、イスラエルによる行き過ぎた攻撃は人道危機そのものである。EUが声を高める責務がある。 - 難しいECBの金融政策
ECBはインフレの進行に対して矢継ぎ早に利上げしてきたが、それを中断したあと、いつ利下げに転じられるか正念場だ。肝心のドイツがマイナス成長に転じるなど景気にも配慮せざるをえなくなっている。 - 極右台頭の波紋
EUの極右台頭は世界にとっても頭に痛い課題だ。トランプ氏には欧州と通じるバノン氏ら極右が影響力をもつ。フランスのルペン氏やドイツの「ドイツのための選択肢」は存在感を高める。イタリア政権も右翼色が濃い。欧州議会選挙は、極右台頭の試金石になる。経済危機と難民がEU共通の課題であるためだが、極右台頭のなかでも、ポーランドで中道派のトゥスク政権が誕生したのはEUの新しい動きである。 - 独禁政策強化とAIルール化
EUが独禁政策の強化をめざすのは、資本主義のルールを守るためであり、規制を強化するためではない。独占を強める米国の巨大テック「マグニフィセント・セブン」に照準を当てるのは当然である。人間の知能を超えるかしれない生成AIには、発展をめざすだけでなく適切なルールが求められる。 - 脱炭素の先導役を続けられるか
脱炭素を徹底するため、目標の2050年の前に2040年を90%削減目標を打ち出したのは、EUの積極性を示している。しかし、ハンガリーなど旧東欧圏には反発も強い。仏独の農業者も反発している。そのなかで、どこまで先導役を続けられるかが問われる。 - 揺らぐ米欧関係ーカギ握る日本との連携
トランプ氏が北大西洋条約機構(NATO)加盟国への防衛義務を順守しないと述べている。それどころか防衛費の2%義務を守らない国には、ロシアに攻撃させるとまで言っている。世界の基軸である米欧関係が揺らげば、世界の混迷はさらに深まる。カギを握るのは、自由で開かれた日本との連携だろう。日・EUは連携して「世界のアンカー役」を担うべきだ。
プロジェクトメンバー
プロジェクトリーダー | 岡部 直明 | 国際総合研究所 フェロー |
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MIGAメンバー | レストレンジ美抄子 | 国際総合研究所 リサーチアシスタント |
※2017年度以前は明治大学国際総合研究所としての業績になります。
2023年度
EUの実証的研究と東アジアへの教訓
概要
ウクライナ戦争でEUは戦後最大の窮地に追い込まれた。ロシアに対する強力な経済制裁の跳ね返りで、エネルギー危機がEUを直撃した。しかし、NATOとともにEUはウクライナ支援の先頭に立つ役割を担っている。分断の時代が世界にスタグフレーションの危機をもたらすなかで、ECBの金融政策はどこまで引き締めを継続するか選択を迫られている。
しかしウクライナ戦争で、EUはむしろその存在意義を高めたのも事実である。当のウクライナをはじめモルドバやバルカン諸国などEUは第2次東方拡大の時代を迎えるだろう。環境や独禁政策などルールメーカーとしてEUの役割はすでに定着しており、ウクライナ戦争後の融合の時代は、EUの時代になる可能性もある。
<研究テーマ>
- ウクライナ戦争とEUの危機
ウクライナ戦争でEUは危機に見舞われたが、経済制裁や武器供与などでウクライナ支援の先頭に立つ役割を求められる。EUが危機にどう立ち向かうかで、ウクライナ戦争の行方が決まる。 - 脱ロシアでエネルギー転換迫られるEU
ロシアからの原油・天然ガス・石炭の供給停止でEUは輸入先の多元化とともに、脱炭素の徹底が求められる。 - スタグフレーションの危機とECBの金融政策
ウクライナ戦争と米中対立による世界の分断は、スタグフレーションの危機を招いたが、欧州は米国よりも深刻だ。そのなかでインフレ退治を優先して引き締めを続けるECBのかじ取りは、至難だ。 - きしむEUと英国の関係
スタグフレーションの危機はEUより英国に鮮明に表れている。世界の分断と欧州の分断という二重のコストを支払う必要に迫られているからだ。EU離脱への後悔が英国に広がっている。英EU関係もきしみ続けるだろう。 - EUの第2次東方拡大
ウクライナ戦争は、EUの第2次東方拡大をもたらすだろう。汚職撲滅など難題は多いが、ウクライナは支援に支えられてEU加盟を実現するだろう。 - ルールメーカーとしてのEUの役割
EUのルールメーカーとしての役割はさらに高まる。地球温暖化防止、独禁政策強化、個人情報保護などだ。さらに「社会的市場経済」が資本主義の基本理念になる可能性もある。 - 融合の時代はEUの時代
ウクライナ戦争の終結や米中融和で、世界に「融合の時代」がよみがえるという期待がある。それを担うのはEUである。EU流が融合の世界モデルになる可能性がある。
プロジェクトメンバー
プロジェクトリーダー | 岡部 直明 | 国際総合研究所 フェロー |
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MIGAメンバー | レストレンジ美抄子 | 国際総合研究所 リサーチアシスタント |
2022年度
EUの実証的研究と東アジアへの教訓
概要
EUはようやく深刻なコロナ危機からの出口をみつけだそうとしている。そんななかで、ロシアのプーチン大統領によるウクライナへの軍事侵攻がEUに深刻な打撃を与えている。西側は連携して金融、経済制裁に踏み切ったが、天然ガス供給でロシアに依存したドイツはじめEU諸国への影響は避けられない。プーチン大統領の暴挙を防げなかったのは、長くEUを牽引してきたメルケル独首相の不在が響いている。
それでもEUが米中対立など混迷する世界で重要な役割を担うことに変わりはない。それどころか、資本主義の在り方が問い直されるなかで、環境、個人情報保護、競争政策などグローバル・ルールメーカーとしてのEUの存在感はかえって高まるだろう。
<研究テーマ>
- ウクライナ危機とEU
ウクライナ危機の背景にあるのは、自由で開放的なEUの大きな吸引力である。それはEUとNATOの東方拡大を促し、ロシアの隣国ウクライナにも及んでプーチン大統領の危機感を高めることになった。「プーチンの戦争」による打撃をどう最小限に防ぐかEUそして西側の結束が試されている。 - メルケル後のEU運営
16年もの長きにわたるメルケル独首相の存在がEUを世界のアンカーにしたのは間違いない。メルケル後のEU運営がぎくしゃくすれば、世界への影響も避けられなくなる。EU運営が安定化するかどうかは独仏連携の行方が試金石になる。 - コロナ危機が生むEU再結束
プロジェクトメンバー
プロジェクトリーダー | 岡部 直明 | 国際総合研究所 フェロー |
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MIGAメンバー | 森田 恵 | 国際総合研究所 リサーチアシスタント |
2021年度
EUの実証的研究と東アジアへの教訓
概要
コロナ禍でEUは戦後最大の苦難の時代を迎えている。厳しいロックダウンにもかからず、感染者、死亡者の増大は収まらず、深刻な経済危機からも抜け出せない。英国のEU離脱や旧東欧圏首脳の反EU姿勢など難題を抱えるEUはこのまま分裂してしまうのかという悲観論もある。しかし、過度の悲観論に陥るのは禁物だ。やや皮肉だが、コロナ危機がEU再統合にはずみをつける可能性がある。メルケル独首相の指導力で創設された巨額の復興基金は、共同債の発行を通じて財政統合に道を開くものである。国境炭素税、デジタル税、金融取引税など新税の導入は、グローバル・ルールメーカーとしてのEUの役割が重視されることを示している。バイデン米大統領の登場でも変わらない米中対立は、世界のアンカーとしてのEUの存在感をかえって高めることになるだろう。
<研究テーマ>
- コロナ危機が生むEU再統合
コロナ危機は、共同債を含む復興基金の創設などEU再統合の可能性を開いた。旧東欧圏に反EUの風潮は残るが、BREXIT後の離脱ドミノは起こらない。 - きしむBREXIT後の英EU関係
EUと英国は2020年末の期限ぎりぎりでFTA合意を成立させたが、これでEUと英の関係が正常化することはない。ブロックチェーンの破壊で、EUに依存してきた英国への打撃は長引く。EUのその余波を受けることになる。 - 米中対立で浮上するEU
米中対立は簡単には終わらない。そのなかで浮上するのは、EUの存在感である。バイデン米政権登場で米EU関係は修復される。EUは人権問題などで対中警戒感を強め、米国と連携するが、一方で対中投資協定など巨大な中国経済を復興の土台と考えている。 - 重み増す日・EU関係
コロナ危機後の世界で、日・EU関係は一層重要になる。日本は欧州では英国優先でEUを後回しにしがちだが、世界の潮流を考えれば、日・EU関係こそ重視すべきだ。 - 「社会的資本主義」の本場としてのEU
コロナ危機で鮮明になったのは、資本主義そのものの問題だった。中国の「国家資本主義」は論外だが、米国の「規範なき資本主義」も巨大な独占を放置する結果になった。そのなかで、浮上するのは「社会的資本主義」である。その源流は西独の「社会的市場経済」にある。国連のSDGsや投資のESGにも通じる。株主資本主義からステークホルダー資本主義への転換もその潮流といえる。その本場としてのEUの存在感は高まる。
プロジェクトメンバー
プロジェクトリーダー | 岡部 直明 | 国際総合研究所 フェロー |
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MIGAメンバー | 廣澤 孝夫 | 国際総合研究所 客員研究員 |
森田 恵 | 国際総合研究所 リサーチアシスタント |
2020年度
EUの実証的研究と東アジアへの教訓
概要
EUはいま戦後最大の試練に直面している。英国のEU離脱に加えて、新型コロナ・ウイルスの猛威に直撃されている。危機の震度は、震源地の中国を上回るほどだ。このなかで、「移動の自由」を基盤にしてきたEUの活力は奪われ、存立基盤をそのものが揺らぐ事態になっている。しかし、この危機がEU崩壊への序章になるとみるのは、間違いだ。危機にあってもEUは「たゆたえども沈まず」である。いたずらに悲観主義に陥ることなく、EUの再結束と新たな役割を冷静に分析することをめざしている。
- コロナ・ショックを超えて
コロナ・ショックがEUの存立基盤を揺さぶり、EU経済に深刻な打撃を与えることは間違いない。危機はとくに、イタリア、スペインなどかつてのユーロ危機にみられた「弱い輪」に集中的にあわれている。危機の拡散のなかで、独仏も身動きが取れずEUの結束も風前の灯になっているようにみえる。皮肉なのは、EU内での協力がままならないなかで、震源地の中国がイタリア支援に乗り出していることだ。国境なき連合だったはずのEUが「国境封鎖」に動かざるをえないのは深刻である。
こうしたコロナ・ショックをどう乗り越えるか。EUは財政赤字の国内総生産(GDP)比の3%ルールを棚上げして、1%分を危機打開にあてる方針だ。緊急避難措置としてはやむを得ない選択だろう。欧州中央銀行(ECB)の金融緩和に限界がみられるなかで、財政規律を金科玉条にしてきたEUの柔軟性が試される。財政出動ではG7やG20での連携が重要になるが、その大前提としてEU自体の結束が問われる。 - 英国離脱と自由貿易協定交渉の展開
英国のEU離脱(BREXIT)は、すったもんだの末に実現したが、2020年末までの移行期間内に英EUの自由貿易協定交渉が合意する保証はまったくない。自由貿易協定交渉が合意するには最短でも4年かかるだけに、移行期間の延長は避けられないだろう。とくにコロナ・ショックで英国とEUの交渉は身動きできないだけに、なおさらだ。それでも、ジョンソン英首相の強硬離脱を貫こうとすれば、「合意なき離脱」の危機が再燃する。 - グリーン・ディール戦略の可能性
EUのフォンデアライエン新委員長がまず掲げたのは、グリーン・ディール戦略である。今後10年間で1兆ユーロのグリーン投資を実施し、社会を「循環型」に転換する野心的な計画である。
2020年11月に英国グラスゴーで開くCOP26に向けて、温暖化ガス削減目標を「1990年比で少なくとも40%」から「少なくとも50%に引き上げ、55%をめざす」と切り上げた。温暖化防止をEU主導で実現する姿勢を鮮明にしている。
地球環境についてラガルドECB総裁も金融政策の新たな目標に据える方針であり、2トップの女性リーダーがEUの存在感を高める可能性がある。 - グローバル・ルール・メーカーとして
EUはグローバル・ルール・メーカーとしての役割を担っている。とくに、コロナ・ショックを通じて、GAFAなど巨大米IT企業が独占力を高める可能性があるだけに、独禁政策や個人情報保護などEUの役割は重くなる。 - 日EU連携の重要性
危機の時代にあって、何より重要なのは「国際協調」である。覇権国家である米国のトランプ大統領が「米国第一」で国際協調を崩してきただけに、日本とEUの連携はとりわけ重要になる。それは経済連携協定を超えて、国際協調の「要」といえる。
研究会
第48回
「最終局面を迎える英国のEU離脱情勢~to deal, or not to deal, that is the question~」
日 時:2020年12月18日
講 師:田中理氏(第一生命経済研究所主席エコノミスト)
第47回
「バイデン氏が変える世界と米欧関係 ~2020米大統領選報告~」
日 時:2020年11月26日
講 師:菅野幹雄氏(日本経済新聞ワシントン支局長)
第46回
「英国EUの交渉とEU新体制の課題-世界金融危機~ユーロ危機との違いと今後の課題-」
日 時:2020年10月13日
講 師:伊藤さゆり氏(ニッセイ基礎研究所主席研究員)
2019年度
EUの実証的研究と東アジアへの教訓
概要
欧州連合(EU)をめぐる混迷が続いている。しかし、いたずらに悲観主義に陥ることなく、様々な課題を冷静かつ総合的に研究、分析する。
まず英国のEU離脱(BREXIT)とその影響が引き続き研究課題になる。離脱を担ってきたメイ首相は辞任に追い込まれたが、強硬離脱派が首相に就けば、10月31日の離脱期限に「合意なき離脱」のリスクも高まる。英国民の間に「BRETURN」(EU回帰)の機運が高まるなかで、国民投票再実施の可能性も残る。どちらにしても英国の分裂は避けられない。EU離脱が英国経済、EU経済、さらには世界経済への影響を短期、長期的視点で分析する。
5月の欧州議会選挙は、EUに広がるポピュリズム(大衆迎合主義)の深度をみるうえで大きな試金石になる。極右が台頭し、中道勢力の落ち込みが目立ったが、リベラル派や環境グループの伸長もあり、EU統合支持派が過半数を維持した。しかし、格差拡大を背景とするEU懐疑派の動向は引き続き重要な分析テーマになる。
EU統合を先導してきた独仏の影響力がどうなるかも大きな研究課題だ。総総分離のメルケル独首相の地盤沈下は避けられず、マクロン仏大統領も収まらない反政権デモで弱体化している。独仏主導の体制を立て直せるかが課題である。欧州委員長、欧州中央銀行(ECB)総裁といったEUの主要人事も今後のEUの行方を左右することになる。
ユーロ圏経済の低迷などEUは難題を抱える。米中覇権争いによる新冷戦はEU経済に影を落としている。トランプ米大統領による保護主義が世界経済の足を引っ張っているだけに、自由貿易を標ぼうするEUの存在意義はむしろ高まる。
とくに世界のルールメーカーとしてのEUの役割は大きな分析テーマである。GAFA(グーグル・アマゾン・フェイスブック・アップル)など独占的なIT企業に対抗する個人情報保護の立場からのルール化の役割は大きい。独禁法強化やデジタル課税など公正な資本主義のために先駆的な役割を担う。
その際、日本との連携はとくに重要になる。日EU経済連携協定はメガFTAとして動き出したが、さらなる日EU連携の可能性を探ることも研究課題だ。
研究会
第45回
2019年11月29日
「一帯一路と中東欧経済‐モンテネグロの高速道路建設計画の事例研究」
報告者:土田 陽介 氏(三菱UFJリサーチ&コンサルティング 調査部 研究員)
【議事概要】
第44回
2019年10月21日
「Brexitの行方とEUの展開」
報告者:森本 学 氏(日本経済新聞社 編集局 国際部 次長)
【議事概要】
第43回
2019年7月31日
「英国の合意無き離脱で何が起こるか~Brexitアップデート ~」
報告者:吉田 健一郎 氏(みずほ総合研究所 欧米調査部 上席主任エコノミスト)
第42回
2019年6月13日
「2019年欧州議会選挙とEUの行方」
報告者:田中 俊郎 氏(慶應義塾大学名誉教授)
第41回
2019年2月4日
「Brexit交渉の行方と経済・金融面での影響」
報告者:吉田 健一郎 氏(みずほ総合研究所 欧米調査部 上席主任エコノミスト)
2018年度
EUの実証的研究と東アジアへの教訓
概要
EUはいま戦後最大の転機に直面している。英国のEU離脱を受けてEU再生に立ち上がれるかどうかの岐路にある。離脱連鎖は防がれているが、EU内では難民問題などをめぐってポピュリズム(大衆迎合主義)の風潮は収まらない。スペインのカタルーニャ州独立問題など地域主義の動きもみられる。
トランプ米大統領による自国第一主義の影響が広がるなかで、独仏主導でユーロ改革などEU再生にどこまで取り組めるかが試される。
しかし、2度の世界大戦を経てできた平和の組織、EUが崩壊するとみるのは妥当ではない。危機のなかでこそ、EUの粘り強さに着目すべきである。いたずらに悲観主義に陥ることなく、「EUの真実」を冷静に分析し、内向き化する世界にあってグローバル・アクターとしての役割を展望する。
合わせて、日本とEUとの経済連携協定など経済関係強化の動きを分析する。トランプ米大統領の登場で、保護主義の機運が広がるなかで、保護主義防止に日EUの連携はますます重要になっている。
研究会
第40回
「流動化するドイツ政治とEUのゆくえ」(2018.11)
講師:森井 裕一 氏(東京大学 大学院総合文化研究科 教授)
【議事概要】
第39回
「英国のEU離脱交渉の今後」(2018.9)
講師:小松 啓一郎 氏(Komatsu Research & Advisory代表)
【議事概要】
第38回
「イタリア総選挙とEU問題」(2018.7)
講師:伊藤 武 氏(東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻 准教授)
【議事概要】
第37回
「EUのデジタル戦略」(2018.6)
講師:渡邊 昇治 氏(経済産業省商務情報政策局 総務課長)
【議事概要】
2017年度
公開討議
「英国離脱とEU再生」【議事概要】
開 催 日 :2017年10月30日
パネリスト :田中 俊郎 氏(慶應義塾大学名誉教授)
中島 厚志 氏(経済産業研究所理事長)
伊藤 さゆり 氏(ニッセイ基礎研究所主席研究員)
菅野 幹雄 氏(日本経済新聞コメンテーター)
モデレーター:岡部 直明 氏(明治大学国際総合研究所フェロー)
研究会
第36回
「イタリア総選挙カウントダウン~ポピュリスト達の空騒ぎ~」(2018.2)
講師:田中 理 氏(第一生命経済研究所主席エコノミスト)
【議事概要】
第35回
「イギリス政治の現況と対EU交渉」(2017.12)
講師:若松 邦弘 氏(東京外国語大学 大学院総合国際学研究院教授)
【議事概要】
第34回
「スペインの銀行危機と安定化政策~イタリアとの比較を視野に」(2017.11)
講師:土田 陽介 氏(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社調査部研究員)
【議事概要】
第33回
「ドイツ選挙(9月24日)後のドイツ並びにEU情勢の展望」(2017.9)
講師:森井 裕一 氏(東京大学 大学院総合文化研究科教授)
【議事概要】
第32回
「日本-EU EPA大枠合意の意義とインパクト」(2017.7)
講師:木村 福成 氏(慶應義塾大学 経済学研究科委員長・経済学部教授)
【議事概要】
第31回
「マクロン仏政権の可能性と課題」(2017.7)
講師:中島 厚志 氏(経済産業研究所 理事長)
【議事概要】
第30回
「英国総選挙後のEU離脱交渉の行方」(2017.6)
講師:吉田 健一郎 氏(みずほ総合研究所 欧米調査部 上席主任エコノミスト)
【議事概要】
第29回
「EUの将来を考える—欧州出張報告」(2017.4)
講師:岡部 直明 氏(明治大学国際総合研究所フェロー)
【議事概要】
2016年度
シンポジウム
「EUは危機を超えられるか -中東危機と英国離脱-」【報告書】
開催日:2016年10月31日
基調講演
「EUと日本」
ヴィオレル・イスティチョアイア=ブドゥラ 氏(欧州連合大使)
第一部パネルディスカッション
「英国のEU離脱と欧州の行方」
モデレーター:岡部 直明 氏(明治大学国際総合研究所フェロー)
パネリスト :野上 義二 氏(日本国際問題研究所理事長/元駐英大使)
小林 栄三 氏(日本貿易会会長/伊藤忠商事株式会社会長)
吉田 健一郎 氏(みずほ総合研究所上席主任エコノミスト)
第二部パネルディスカッション
「EUと中東—難民問題の背景」
モデレーター:山内 昌之 氏(明治大学国際総合研究所特任教授/東京大学名誉教授)
パネリスト :脇 祐三 氏(日本経済新聞コラムニスト)
中川 恵 氏(明治大学国際総合研究所客員教授/羽衣国際大学教授)
第三部パネルディスカッション
「ユーロ危機は収束したか」
モデレーター:岡部 直明 氏(明治大学国際総合研究所フェロー)
パネリスト :白井 さゆり 氏(慶應義塾大学教授/前日銀審議委員)
伊藤 さゆり 氏(ニッセイ基礎研究所上席研究員)
林 秀毅 氏(明治大学国際連携機構特任教授/日本経済研究センター特任研究員)
研究会
第28回
「日立の欧州戦略と英国のEU離脱」(2017.2)
講師:田辺 靖雄 氏(日立製作所執行役専務)
【議事概要】
第27回
「オランダのポピュリズム政党 -ヨーロッパ統合のなかの小国政治-」(2017.1)
講師:水島 治郎 氏(千葉大学 法政経学部教授)
【議事概要】
第26回
「仏大統領選とEUの行方 ~リアリズムの欧州統合肯定論」(2016.12)
講師:渡邊 啓貴 氏(東京外国語大学 大学院総合国際学研究院教授)
【議事概要】
第25回
「イタリアの国民投票と銀行問題 ~ポピュリズムの波が押し寄せる~」(2016.11)
講師:田中 理 氏(第一生命経済研究所主任研究員)
【議事概要】
第24回
「日EU・EPAについて」(2016.8)
講師:金子 知裕 氏(経済産業省経済連携課長)
【議事概要】
第23回
「英国のEU離脱とその影響」(2016.6)
講師:吉田 健一郎 氏(みずほ総合研究所 欧米調査部 上席主任エコノミスト)
【議事概要】
第22回
「日EU経済関係の今後の展開について ~伊勢志摩G7首脳会議を踏まえて~」(2016.6)
講師:赤石 浩一 氏(経済産業省大臣官房審議官/通商政策局担当)
【議事概要】(詳細非公開)
第21回
「EUと中東 -難民、テロ問題の背景」(2016.5)
講師:脇 祐三 氏(日本経済新聞コラムニスト)
【議事概要】
2015年度
研究会
第20回
「EUの行方と日EU関係」(2016.3)
講師:塩尻 孝二郎 氏(外務省参与)
【議事概要】
第19回
「ドイツで進むインダストリー4.0への取組み」(2016.1)
講師:尾木 蔵人 氏(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 コンサルティング事業本部 副部長)
【議事概要】(詳細非公開)
第18回
「難民問題のドイツ・EUへの影響」(2015.11)
講師:森井 裕一 氏(東京大学 大学院総合文化研究科 教授)
【議事概要】
第17回
「EU新体制が進める優先策とインダストリー4.0」(2015.10)
講師:田中 晋 氏(JETRO 企画部)
【議事概要】
第16回
「国民投票後のギリシャ」(2015.7)
講師:伊藤 さゆり 氏(ニッセイ基礎研究所 上席研究員)
【議事概要】
第15回
「ギリシャ問題の歴史的背景と現代的課題」(2015.5)
講師:村田 奈々子 氏(東京大学特任講師)
【議事概要】
2014年度
研究会
第14回
「ユーロ危機を超えて -デフレか成長復活か-」(2015.2)
講師:田中 素香 氏(中央大学教授)
【議事概要】
第13回
「英国のEU離脱を巡る論点」(2014.12)
講師:吉田 健一郎 氏(みずほ総合研究所 欧米調査部 上席主席エコノミスト)
【議事概要】
第12回
「ウクライナの未来はどこに?~デタントからラプローシュマンへの道~」(2014.10)
講師:田中 理 氏(第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト)
【議事概要】
第11回
「EU・中国関係史:EUの対中認識」(2014.9)
講師:田中 俊郎 氏(慶應義塾大学名誉教授)
【議事概要】
第10回
「強いドイツと弱いユーロ圏 -危機の現場にみた欧州の苦悩」(2014.7)
講師:菅野 幹雄 氏(日本経済新聞社編集局経済部長)
【議事概要】
第9回
「ヨーロッパ統合史から見たEUの課題」(2014.6)
講師:川嶋 周一 氏(明治大学政治経済学部准教授)
【議事概要】
第8回
「ウクライナ危機を巡って――歴史の教訓」(2014.4)
講師:フランク・ミシュラン(明治大学国際連携機構特任准教授)
【議事概要】
2013年度
研究会
第7回
「欧州のデフレ懸念と金融政策の限界」(2014.3)
講師:田中 理 氏(第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト)
【議事概要】
第6回
「銀行同盟:EU銀行監督と破綻処理」(2014.2)
講師:太田 瑞希子 氏(亜細亜大学 講師)
【議事概要】
第5回
「最近の日欧関係(日欧EPA/FTAなど)」(2014.1)
講師:塚本 弘 氏(日欧産業協力センター事務局長)
【議事概要】
第4回
「ユーロ圏の債務危機と労働市場 -構造改革の成果と課題-」(2013.11)
講師:伊藤 さゆり 氏(ニッセイ基礎研究所上席研究員)
【議事概要】
第3回
「欧州の政治潮流」(2013.10)
講師:平石 隆司 氏(三井物産戦略研究所 国際情報部欧米室長)
【議事概要】
第2回
「ユーロ危機と銀行同盟」(2013.9)
講師:勝 悦子 氏(明治大学副学長・政治経済学部教授)
【議事概要】
第1回
「ユーロ危機は終わったか?」(2013.7)
講師:林 秀毅 氏(一橋大学客員教授/日本経済研究センター特任研究員)
【議事概要】