「世界の幸せをカタチにする。」とはどういうことだろう? ④
矢田まりあさん
人間科学部 人間科学科 2019年4月入学
東京学芸大学附属国際中等教育学校出身。自身の視野を広げたいと、学内のコンテストにも積極的に参加し、第1回学外学修アワードの優勝など数々の受賞歴を持つ。将来の目標は、臨床心理士と公認心理師の資格を取得し、心のケアを受けることに対する抵抗感、および社会的偏見の軽減に貢献すること。
留学中に日英のカウンセリング事情について比較調査。
中学校時代、保健委員会に所属したことがきっかけで養護の先生や保健委員の先輩とおしゃべりをしているうちに、私にとって保健室が悩みを相談できる大切な居場所になりました。自分も悩みを抱えている人の支えになりたいと考え、より幅広い年代の人と関わることのできる心理カウンセラーという職業を目指し、人間科学科に入学しました。
大学に入学して心がけているのは、自身の視野を広げるために様々なことに挑戦することです。
1年次にはグロスターシャー大学語学留学プログラム(FS[フィールド・スタディーズ]・英国)に参加しました。英語「を」学ぶだけでなく、英語「で」学ぶことを意識し、語学力向上に加え、専門領域についても吸収していこうと考え、留学先の学生相談室の先生にイギリスのカウンセリング事情について、自主的に聞き取り調査を行いました。
通っていた高校の相談室は目立たない場所にあり、気軽に立ち寄れる雰囲気ではありませんでしたが、留学先の学生相談室は入りやすい場所にあり、すべての学生がカウンセラーの顔を把握できるなど、利用しやすい工夫がされていました。このような違いを知り、誰もが気軽に利用できる相談室を日本で実現するにはどうすればよいか考えるようになりました。
1年次からプレゼンコンテストに挑戦
イギリスで多様な国から来た仲間と英語を学んだ経験から、異なる文化や価値観を考慮でき、また外国語でさまざまな国籍の方の相談に乗ることができるカウンセラーを目指したいと思うようになりました。そうした考えを1年次に参加した「第2回武蔵野FS動画・プレゼンコンテスト」で発表したところ、「プレゼン優秀賞」をいただくことができました。
おもしろそうという好奇心からプレゼンコンテストに参加したのですが、自分の考えをまとめることができるだけでなく、どうすれば自分の考えを効果的に伝えることができるか考え、実践できたことが大きな収穫でした。この経験を活かして2年次も学内のコンテストには積極的に取り組んだ結果、「2020年度武蔵野大学学長杯スピーチコンテスト(英語の部)」で準優勝、SDGsに関連するオンラインFSを企画する「第1回学外学修アワード」では最優秀賞をいただくことができました。
異なる文化を持つ人にも寄り添える心理カウンセラーを目指して。
現在は、精神医学や被害者学の研究を行う中島聡美教授のゼミで学んでいます。学科FSでDV(ドメスティック・バイオレンス)被害者支援関連事業を行っているNGO団体のインターン・シップに半年間参加し、この分野に関心を持ちました。インターン・シップでは、毎月数回のミーティングが行われ、毎回ゲストスピーカーからDVや女性に関わる現状を聞きつつ社会的課題について学びを深めたり、ディスカッションなどを行ったりしました。
それまでの私はDVに対して「個人間の問題」だと考えていましたが、その背景には社会構造が深く関係していると分かり、視野を広げて学ばなければいけないと痛感しました。また、この経験から問題の本質がどこにあるのかを常に考えられるようになりました。
このインターンシップを通じて、経済学やジェンダー学、国際関係学など、自分とは大学や専攻が異なる4人の仲間と出会い、今まで思いつかなかった新しい考え方を学ぶことができました。それと同時に、仲間たちから多くの刺激を受け、「自分も専門分野に関する学びをもっと深めよう」というモチベーションの向上にもつながりました。
このようなインターンシップやコンテストへの挑戦や体験を通じて、私は多種多様な側面から人間というものについて学び、人間や社会問題をより多面的に見ることができるようになったと感じています。例えばある一つの事象について、「心理学的視点から見るとどのような分析ができるだろう」「文化や宗教の違いはどう影響しているだろう」など、さまざまな場で学んだことを統合して考えられるようになりました。
将来、心理カウンセラーになるために、私は臨床心理士と公認心理師の資格を取得したいと思っています。そして、相手の人生に関わることができる感謝を忘れずに、相談者がより良い人生を歩んでいけるきっかけを与えられるよう、今後も学内外の活動から社会を見つめ、どんな人の心にも寄り添える心理カウンセラーを目指したいと思います。
MESSAGE 矢田さんが考える、「世界の幸せをカタチにする。」とは?
現在、世界には約77億人もの人々が住んでいます。それぞれが異なる考えや価値観を持っており、自分の「当たり前」や「普通」が、他者にとってそうであるとは限りません。意見がすれ違ったとしても互いが歩み寄り、両者が納得できる着地点を見つけることだと思います。
※本文章中の所属等の表記は取材当時のものになります。