HOME大学案内大学紹介武蔵野大学式辞集

令和2年度 卒業式・修了式 式辞

令和2年度卒業式・修了式式辞2

卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。ご家族、関係者の皆さまにも心よりお祝い申し上げます。今回の卒業式は、新型コロナウイルスの感染防止のために、卒業生の皆さんだけにご参加いただくことにいたしました。ご家族の皆さまにおかれましては、お子様方の晴れ姿をご覧になりたかったことと存じますが、お許しいただきたく存じます。

本学は、仏教精神に基づく人格教育を建学の精神に掲げて設立・運営されている大学ですが、仏教において大切にされる言葉に、「恩」という言葉があります。「心」という字の上に原因の「因」という字を書きます。その言わんとするところは、この私のいのちを生み出し、育み、ささえてきた様々な働きに対して深い感謝の念を抱くことにあろうかと思います。本日卒業される皆さんも、本学の人格教育にふれる中で、親御さんを始めお世話になった多くの方々に対し、深い恩を感じながらこの卒業式に臨んでいることと思います。いただいたご恩を、いただいた方にそのまますべてお返しすることは難しいけれども、恩を感じた皆さん方がこれからの人生において、世界の幸せを生み出す新たな因となって活躍されることを心から願っています。

さて、卒業生の皆さん、皆さんはこの一年間、新型コロナの感染症拡大の中で、武蔵野大学の学生としての本分を尽くすべく、ゼミや卒業研究、就職活動、資格試験、大学院進学などの諸活動に懸命に取り組んでこられ、その甲斐あって、本日、晴れて卒業の日を迎えられました。昨年4月には、緊急事態宣言下で急遽オンラインでの授業がスタートし、新型コロナの収束が見込めない中で、皆さんにはこの一年、いろいろとご不便、ご不自由をおかけしました。皆さんも、そして教員自身も十分に慣れない新たな学修スタイルの中で、最大限の教育の質を担保しようと懸命のチャレンジでした。皆さんのこの一年間のチャレンジに、まずもって心より敬意を表します。

振り返ってみれば、今から10年前の2011年3月11日に東日本大震災が起こり、2010年度の卒業式は中止となりました。あれから10年目の昨年度の卒業式は、新型コロナの感染症拡大の中で中止といたしました。起こった事象は異なりますが、10年に一度、卒業式を中止にしなければならないほどの大変な事態に向き合わざるを得ない、私たちはそういう時代を生きていることになります。もちろん、このような事態の発現は、何も現代において始まったことではなく、人類の歩みを考えてみれば、古代においても中世においても、いつの時代においても生存を脅かす事象の発生は日常茶飯事でした。それでは、古代や中世の危機と今日人類が直面している危機は質的に同じかというと、それは質をまったく異にしているように思います。今日、私たちが向き合っている危機、あるいは懐胎している危機は、人類全体の存亡を左右しかねない危機であり、地球環境全体を根こそぎ破壊しかねない、再生不能な不可逆的な危機が深化している状況です。

卒業式の晴れの場で、わざわざ危機感を煽るような話をする必要があるのかと思われるかもしれませんが、皆さんは、「世界の幸せをカタチにする。」というブランドステートメントを掲げた武蔵野大学の卒業生であればこそ、このような危機感を共有しつつ、ハピネス・クリエイターとしての志を胸に世界に巣立っていただきたいのです。本日の式典は時間が限られていますので、十分に思いをお伝えすることがかないませんが、皆さんが慣れ親しんだキャンパスに、今、張り巡らされているポスター、「2050年のあなたへ。」を読み上げて、卒業の餞にしたします。
2050年のあなたへ。

20歳の学生であるあなたが50歳になる、2050年。あなたを取り巻く世界は、どんな世界だろうか。

気候変動による異常気象、災害が頻発し、資源や食料を奪い合う国家間の紛争が多発し、

あなたを含む、多くのいのちが危機を迎えている。今の私たちはそんな可能性を決して否定できずにいる。



人間が生きるということそのものが、動植物のいのちをいただくことで成り立っているように、

生きとし生けるものが繋がっている世界。

「自分さえよければ」が誰かから生じれば、その繋がりごと壊れてしまう。

無関心でいられる安全地帯など誰にもなく、「自分」さえも生を持続させることができない。



そんな世界にしないためのたたかいこそが、これからの学問。

誰かの痛みを放っておけない感性と、「ひとりよがり」から踏み出していく勇敢さをもって、

私たち、武蔵野大学は挑み続ける。

国連が提唱するSDGs達成への取り組みや、課題解決力を持ったクリエイティブな実践者を輩出する

未来創造型プログラムなど、2020年、私たちの全学的なアクションが始まっている。




困難はある。でも武蔵野で学んだ者はあきらめない。

「世界は、幸せか」と問い続け、応え続けていく。

私たちにはできる。



世界は、幸せか。
これまで武蔵野大学において身に付けた、他者の幸せを願うしなやかな感性、問題解決に取り組むアクティブな知性、そして未来の価値を生み出す豊かなクリエイティビティ、創造性、これらを力に、皆さんが50代になる2050年の未来に向かって、世界の諸課題に向き合い、「世界の幸せをカタチにする。」ハピネス・クリエイターとして活躍されることを心から念じ、卒業式の式辞といたします。

ご卒業、おめでとうございます。
令和3(2021)年3月15日、16日
武蔵野大学学長 西本 照真
大学案内
入試情報
教育
学部
大学院(研究科)
研究科(一覧)
研究
研究所・研究室・センター
学生生活・就職

大学案内

入試情報

教育