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令和5年度 卒業式・修了式 式辞

令和2年度卒業式・修了式式辞2

卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
また、ご家族、関係者の皆様にも、心よりお慶びを申し上げます。
 
本日は、学校法人武蔵野大学の理事長をはじめとした理事者の皆様、武蔵野大学の同窓会であるむらさき会の会長、学校法人武蔵野大学後援会会長、名誉教授の先生方をはじめとしたご来賓の皆様のご臨席をたまわり、令和5年度の卒業式を挙行できますこと、大変ありがたく存じております。
 
さて、卒業生の皆さん、皆さんは大学生活の大半を、コロナ禍において過ごしてきました。振り返ってみると、皆さんが入学された2020年度は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大状況の中で、入学式も中止となりました。2020年4月2日に発表した学長メッセージ「2020年度入学式式辞にかえて」では、私は皆さんに向けて次のように述べていました。少し長くなりますが、引用いたします。
新型コロナウイルス感染拡大の中でも学びを深めよう

新入生の皆さん、今年度の入学式は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大状況の中で、中止とさせていただきました。新たな学舎で、新たな人生のスタートを心待ちにされていたことを思うと、本当に胸が痛みます。現時点で一堂に会して入学の喜びを分かち合うことはかないませんが、「ここに学ぶと初めて立ちし校庭の 花の四月の初心忘るべからず」(初代文学部長土岐善麿)の歌に込められた願いを新入生の皆さんがしっかりと受け止め、自らの大志を確認しつつ学びのスタートを切っていただきたいと思います。

武蔵野大学の学びの基本姿勢は、「いつでも、どこでも、どんな状況でも、終生、学び続ける」です。大学という場は自らが志す専門を学ぶ場であると同時に、これからの人生をどう生きていくか、自身の生き方について深く学び考える場でもあります。

学ぶことの意味は、自己の、世界の、限界を超えていくことにあると思いますが、今の状況はまさに自らの、そして人類の、感性、思考、知識、経験の限界に思いを致す貴重な機会を与えていると同時に、日々、その限界を超えるために人類の叡智を結集した無数のチャレンジがなされている状況です。一人の閉じた学びではなく、人類共同の開かれた壮大な学びのチャレンジが、現在進行中です。その学びに、皆さんもどういう姿勢で参加していくかが問われています。

学びの営みは、生きる営みと同義であるといってもよい。したがって、傍観者であることは許されません。自らが学びの主体者として、何をどう学んでいくか。自身の学びの意義を問い、自身の学びの姿勢を省み、自身の学びの質と量を深め拡げていく絶好の機会と受け止めていただきたい。
改めて、この4年間の大学生活を振り返ってみて、いかがでしたか。いろいろ困難もあり、悩んだり悔んだり悲しんだり、つらいことがいっぱいあったのではないかと思います。そのような困難な状況の中で、当初はオンラインでの授業が中心でしたが、武蔵野大学の学生としての本分を忘れることなく、ゼミや卒業研究、実習、就職活動、資格試験、大学院進学などの諸活動に懸命に取り組んでこられました。その甲斐あって、本日、晴れて卒業の日を迎えられました。皆さんには、いろいろとご不便、ご不自由をおかけしたことと思いますが、困難にくじけることなく学業に専念され、卒業を迎えられましたこと、コロナ禍での懸命なチャレンジに心より敬意を表します。

皆さんの中には、当初思い描いていた大学生活とはずいぶん異なった大学生活になったことを、残念に思っている方もおられるかもしれません。せっかくの大学時代、あれもしたかった、これもしたかった、けれども、あれもできなかった、これもできなかった。確かにそうだったかもしれません。しかし、コロナ禍においてもできたこともあるでしょう。できなかったことをカウントして、後悔し、不満を抱き続ける人生と、困難な状況に直面したけれども、それに必死で向き合うことのできた、その自分の歩みをしっかりとかみしめ、共に歩んだ仲間たちとその労苦をたたえ合い、また、ささえてくれた様々な力に感謝しながら生きていく人生と、どちらがしあわせな、ウェルビーイングな人生といえるでしょうか。コロナ禍での学業生活において、皆さんは先行き不透明な時代を生き抜いていく力を身につけたといえるでしょう。
 
本学は、仏教精神に基づく人格教育を建学の精神に掲げて設立・運営されている大学です。仏教において大切にされている言葉に、「恩」という言葉があります。「心」という字の上に原因の「因」という字を書きます。その言わんとするところは、この私のいのちを生み出し、育み、ささえてきてくださった様々な働きに対して深い感謝の念を抱くことにあろうかと思います。本日卒業される皆さんも、本学の人格教育にふれる中で、親御さんを始め、ご家族、友人、先生方、職員のみなさん、お世話になった多くの方々に対し、深い恩を感じながらこの卒業式に臨んでいることと思います。いただいたご恩を、いただいた方にそのまますべてお返しすることは難しいけれども、恩を感じた皆さんがこれからの人生において、世界の幸せを生み出す新たな因となって活躍されることを心から願っています。
 
本日、卒業されるみなさんは、本学が創設されて100年目の卒業生となります。1924年、世界的な仏教学者であった学祖高楠順次郎博士によって創設されて、今年で100年。本学は、今年、2024年に、創立100周年を迎えました。武蔵野の100年とは、一言でどう表現できるでしょうか。私は、100年の間に卒業していった卒業生たちの人生すべてだ、と答えたいと思います。本学で学び、経験し、成長したことを糧に、卒業生たちが一人一人の人生を歩み始める。その一人一人の人生の営みの集大成が、武蔵野の100周年です。

100周年のキー・メッセージは、「響き合って、未来へ」です。卒業生たちが、本学のブランドステートメント「世界の幸せをカタチにする」という目標を卒業後も抱き続け、響き合い、協力しあいながら、未来へとつなげていく。過去に卒業した方々と、今、卒業していく皆さんと、これから卒業していく未来の卒業生、みんなが一つの願いでつながっています。ちょうど、この第一体育館の外に100周年の取り組みとして描かれた人物画のごとく、多様な人々が、老いも若きも、性別も、職業も、民族も国籍も超えて、つながっていく。ともに生きていく。ともに、世界の幸せをカタチにしていく。武蔵野大学は、そのような大学であり続けたいと思います。
 
本日の式典は時間が限られていますので、十分に思いをお伝えすることがかないませんが、皆さんが慣れ親しんだキャンパスに、張り巡らされている100周年の記念ポスター、「響き合って、未来へ」を読み上げて、卒業の餞にいたします。

タテ組み_カラー_100周年ロゴ

約一世紀にわたり、多くの生徒、学生、教員、職員、

そして卒業生を含む学外からの協力者が、

さまざまな境を越え、高め合い、笑い、涙し、響き合ってきた軌跡。

それが学校法人武蔵野大学です。

しかし、この道はまだ途中。

世界は、幸せか。私たちが学問し、実践し、挑み続けてきたこの問いに、

そうだと答えられる状況はまだ遠いのが現実です。

これまで以上に、ひとりよがりを超え、異なる力を響き合わせて、

世界の幸せをカタチにする未来へ向かうときです。

100周年記念事業メッセージ「響き合って、未来へ。」には、

そのような決意を込めています。

想いはつながる。世界は変えられる。

学校法人武蔵野大学の創立100周年は、

もっと大きな理想を実現する第一歩です。
これから、卒業して諸方面で活躍していく中で、あなたが学んだ大学はどういう学校か、尋ねられることがあるかと思います。その時は、「世界の幸せをカタチにする。」をブランドステートメントに掲げている大学に学んだこと、自分が専門にしていた学問もその大きな目的のための学問であったこと、そして多くの仲間が同じ思いで大学生活を送ってきたこと、それらのことを胸張って語っていただきたいと思います。

これまで武蔵野大学において身に付けた、他者の幸せを願うしなやかな感性、問題解決に取り組むアクティブな知性、そして未来の価値を生み出す豊かなクリエイティビティ、創造性、これらを力に、2050年の未来に向かって、さらに100歳になる22世紀に向かって、世界の諸課題に向き合い、「世界の幸せをカタチにする。」ハピネス・クリエイターとして活躍されることを心から念じ、卒業式の式辞といたします。
 
ご卒業、おめでとうございます。
令和6(2024)年3月14日
武蔵野大学学長 西本 照真
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