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Musashino Institute for Global Affairs

国際総合研究所

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経済・社会 / ヘルスケア

医療イノベーション

2022年度
R4年 医療政策の基礎的な価値と企業動向に関する総合的な研究

概要


新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の流行は、既存の医療制度および医療提供体制が平時の安定的なオペレーションを前提とした極めて微妙なバランスのもとに成り立っており、新興感染症の流行といった危機管理には十分に対応できないことを明らかにした。その一方で、こうした既存の枠組みを補完するかのように、リモート診療の進展やAI医療機器の承認、デジタルヘルス関連の製品・サービスの浸透が進むなど、医療提供のあり方や健康管理のあり方そのものが急速に変容しつつあるといってよい。

本プロジェクトでは、これまでに大きく2つの観点から研究を推進してきた。
一つは、医療インフラとしての医療制度、医療機器をグローバルな規模で製造販売する企業の動向に関する調査である。医療産業の国際展開を進める上では、国や地域を超えてグローバルに活動している企業とともに、国や地域における医療提供を担う医療機関や各国政府、とくに保健省/厚生省の動向を把握することが重要である。医療機関や各国政府は、医療機器をはじめとする医療関連製品を購入するユーザーであると同時に、介護を含む医療関連サービスの規制や制度の設計と運営を担っており、依然として各国の医療制度および医療提供体制を考えるうえで中核的なプレイヤーである。

二つ目は、従来の医療政策が当然としてきた「健康」という概念を再検証し、医療政策の基礎的価値とそれに関連する企業の動向を把握することである。「疾病」に罹患した患者、あるいは「疾病」と診断のついた対象を治療するという大枠の価値を大前提としてきたものの、神奈川県が推進する「未病」概念の登場や「予防医療」の提唱など、「健康」をめぐる概念そのものが大きく変容しつつあり、「病気を治す」という考えから、むしろうまく管理し調節していく対象へと価値観が転換しつつあるように窺われる。従来は、技術的な制約から実現が困難であったリアルタイムでの健康情報の収集と管理、そして共有といった試みは、高速・大容量通信の普及と高い演算能力を持った端末が汎用化しつつある現在においては、文字通り「デジタルヘルス」として結実しつつあり、こうした価値観の変容を後押ししている。

健康・医療、特に医療機器分野に関する最新の動向としては、AI医療機器に代表されるように、大規模データの学習を通じて人間の経験と判断よりも優れた分析を可能とする意思決定支援機能が現実に登場し、具体的な製品として承認されつつあることが着目される。AIによるより正確な分析に基づき、より的確かつ適時での介入や製品・サービスの提供が可能となりつつある今日は、健康・医療に関する大きな技術的な転換点を迎えつつあるといってよい。しかしながら、こうした新興技術の登場は、既存のルールや法体系上の整理では必ずしも的確にその性能や機能を評価することができないといった課題や、医師のAI医療機器に対する責任の問題等、新たな課題を生み出しつつある。新たな技術・製品・サービスの登場に対して、どのようにしてそのリスクとイノベーションの効用を評価するかが、今あらためて問われているのである。

そこで本年度のプロジェクトは、コロナ禍で急速な浸透をみせつつあるデジタルヘルスやAI医療機器をはじめとする医療機器の分野における新興科学技術の登場に焦点を当てつつ、今日新たに課題となりつつある技術的課題および法基盤上の課題を俯瞰するとともに、政府による研究開発投資や企業による投資と開発の動向を観察する。加えてこうした新興技術に対する規制のデザインプロセスが有する課題について、特に産官学のコミュニケーションの観点から検討していく。それにより今後求められる研究開発投資のあり方や規制のデザインのあり方について議論を深めていく。

具体的には、本プロジェクトは、文献調査等のデスクサーベイに加えて、ゲストスピーカーを招いた定期的な研究会を開催する形で進めることとする。国内外の主要な行政機関や独法・国研、医薬品・医療機器メーカーやヘルスケア関連企業、そして研究者らを招いてそれぞれの動向や実態について情報を収集・整理していく。それを通じて、健康・医療分野のステークホルダーらがイノベーションの実現に向けて協調的に将来的な戦略を検討していく上で有用と考えられる基礎的な資料を作成することを目指す。

なお、本研究を円滑に進めるために東京大学で開催を予定している医療関連の研究会とも連携をはかることとし、必要に応じて合同研究会等を開催する。また、神奈川県立保健福祉大学ヘルスイノベーション研究科並びに同大学の付属機関であるイノベーション政策研究センターと連携することにより、国内での特色ある取り組み事例として神奈川県による未病関連の施策や未病産業に対する動向についてもフォローする。

プロジェクトメンバー


プロジェクトリーダー 大西 昭郎国際総合研究所 研究主幹
MIGAメンバー黒河 昭雄国際総合研究所 客員研究員

 

研究状況


2021年度

2021年度
R3年 医療政策の基礎的な価値と企業動向に関する総合的な研究

概要


 これまでは、医療インフラとしての医療制度、医療機器をグローバルな規模で製造販売する企業の動向について調査を進めてきた。医療産業の国際展開を進める上では、引き続き、国や地域を超えてグローバルに活動している企業とともに、国や地域における医療提供を担う医療機関や各国政府、とくに保健省/厚生省の動向を把握することが重要である。医療機関や各国政府は、医療機器をはじめとする医療関連製品を購入するユーザーであると同時に、介護を含む医療関連サービスの規制や制度の運営も担っている。今年度は大学等の研究機関や各種学会で情報収集や調査を行うとともに、研究を円滑に進めるために、 一般財団法人機械振興協会経済研究所で開催している医療関連の研究会から情報提供を受けることとし、必要に応じて合同研究会を開催する。 

本研究では、医療政策が当然としてきた「健康」という概念を再検証し、医療政策の基礎的価値と企業の動向を把握することを目的とする。コロナ禍を経験し、リモート診療やデジタルヘルスを含め医療政策をとりまく環境は急速に変容しつつある。これまでは、医療インフラとしての医療制度、医薬品や医療機器等の医療関連製品をグローバルな規模で製造販売する企業の動向、さらに医療提供を担う医療機関や各国政府、とくに保健省/厚生省の動向について調査を進めてきた。これまで医療政策では、「疾病」に罹患した患者を治すという大枠の価値を大前提としていたものの、これまでの調査から分かったのは、「健康」という概念自体が変容しつつあり、医療政策の目標や対象自体が変容を迫られはじめているということである。また、既存の医療制度、医療提供体制が実は新しい感染症の蔓延に必ずしも十分に対応できないことも明らかになりつつある。今年度は、医療機器メーカーをはじめとする医療関連製品メーカーがイノベーションを実現できるように、近年進化を遂げているデジタルヘルスに注目し、将来の戦略を検討していく上で有用な資料を作成することを目的とする。具体的には、海外の主要な医療政策を司る政府機関の実態や動向について、特にデータ利活用やシェアリングの観点から収集・整理する。本研究では、神奈川県立保健福祉大学ヘルスイノベーション研究科並びに同大学の付属機関であるヘルスイノベーション政策研究所とも連携し、同大との関係が緊密なカリフォルニア大学サンディエゴ校での情報収集や調査を行うとともに、研究を円滑に進めるために東京大学や機械振興協会で開催している医療関連の研究会および医療政策研究会から情報提供を受けることとし、必要に応じて合同研究会を開催する。


プロジェクトメンバー


プロジェクトリーダー 大西 昭郎国際総合研究所 研究主幹
MIGAメンバー黒河 昭雄国際総合研究所 客員研究員

 

研究状況


2020年度

2020年度
R2年 医療政策の基礎的な価値と企業動向に関する総合的な研究

概要


本研究では、医療政策が当然としてきた「健康」という概念を再検証し、医療政策の基礎的価値と企業の動向を把握することを目的とする。医療政策をとりまく環境は急速に変容しつつある。これまでは、医療インフラとしての医療制度、医薬品や医療機器等の医療関連製品をグローバルな規模で製造販売する企業の動向、さらに医療提供を担う医療機関や各国政府、とくに保健省/厚生省の動向について調査を進めてきた。これまで医療政策では、「疾病」に罹患した患者を治すという大枠の価値を大前提としていたものの、これまでの調査から分かったのは、「健康」という概念自体が変容しつつあり、医療政策の目標や対象自体が変容を迫られはじめているということである。また、既存の医療制度、医療提供体制が実は新しい感染症の蔓延に必ずしも十分に対応できないことも明らかになりつつある。今年度は、医療機器メーカーをはじめとする医療関連製品メーカーがイノベーションを実現できるように、将来の戦略を検討していく上で有用な資料を作成することを目的とする。具体的には、海外の主要な医療政策を司る政府機関の実態や動向について、特にデータ利活用やシェアリングの観点から収集・整理する。本研究では、フランスのボルドー大学等の研究機関や各種学会で情報収集や調査を行うとともに、研究を円滑に進めるために東京大学や機械振興協会で開催している医療関連の研究会および医療政策研究会から情報提供を受けることとし、必要に応じて合同研究会を開催する。

プロジェクトメンバー


プロジェクトリーダー 大西 昭郎国際総合研究所 研究主幹
MIGAメンバー佐藤 智晶国際総合研究所 客員研究員

 

2019年度

2019年度
H31年 医療政策の基礎的な価値と企業動向に関する総合的な研究

概要


本研究では、医療政策が当然としてきた「健康」という概念を再検証し、医療政策の基礎的価値と企業の動向を把握することを目的とする。医療政策をとりまく環境は急速に変容しつつある。たとえば、モバイルヘルスアプリなどをはじめとして、健康分野と医療分野を横断し、新しい価値を生み出すような製品が生み出されはじめている。これまで医療政策では、「疾病」に罹患した患者を治すという大枠の価値を大前提としていたものの、これまでの調査から分かったのは、健康という概念自体が変容しつつあり、医療政策の目標や対象自体が変容を迫られはじめているということである。その影響は、医療政策の目標や対象のみならず、製品の規制や保険償還の在り方にもおよびはじめている。今年度は、健康や医療の質に関する指標とイノベーションに対するインセンティブに特に着目しながら、医療機器メーカーをはじめとする医療関連製品メーカーがイノベーションを実現できるように、将来の戦略を検討していく上で有用な資料を作成することを目的とする。具体的には、海外の主要な医療政策を司る政府機関の実態や動向について収集・整理し、その後で必要に応じてグローバルに活躍する企業に対してインタビュー調査を実施する。本研究では、研究機関や各種学会で情報収集や調査を行うとともに、研究を円滑に進めるために一般財団法人機械振興協会や東京大学で開催している医療関連の研究会および医療政策研究会から情報提供を受けることとし、必要に応じて合同研究会を開催する。

プロジェクトメンバー


プロジェクトリーダー 大西 昭郎国際総合研究所 研究主幹
MIGAメンバー佐藤 智晶国際総合研究所 客員研究員

 

研究状況


2018年度

2018年度

概要


これまでは、医療インフラとしての医療制度、医療機器をグローバルな規模で製造販売する企業の動向について調査を進めてきた。医療産業の国際展開を進める上では、引き続き、国や地域を超えてグローバルに活動している企業とともに、国や地域における医療提供を担う医療機関や各国政府、とくに保健省/厚生省の動向を把握することが重要である。医療機関や各国政府は、医療機器をはじめとする医療関連製品を購入するユーザーであると同時に、介護を含む医療関連サービスの規制や制度の運営も担っている。今年度は大学等の研究機関や各種学会で情報収集や調査を行うとともに、研究を円滑に進めるために、 一般財団法人機械振興協会経済研究所で開催している医療関連の研究会から情報提供を受けることとし、必要に応じて合同研究会を開催する。

プロジェクトメンバー


プロジェクトリーダー 大西 昭郎国際総合研究所 研究主幹
MIGAメンバー佐藤 智晶国際総合研究所 客員研究員

 

 

研究状況


一般財団法人機械振興協会経済研究所で開催している「医療政策研究会」で扱っている主なテーマ
 
  • 医療機器分野に関連するELSI
  • モバイルヘルスのイノベーションとその可能性
  • 健康長寿社会の実現
  • 医療制度の持続性のために必要な医療供給体制のあり方と効率的な治験環境
  • リアル・ワールド・データ/エビデンスの活用
  • 医療機器分野の法政策とイノベーション
  • ビッグデータを用いた医療技術・医療機器評価
  • など
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