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学部紹介

学部長メッセージ
文学の聖地へ
ムサシノ、牟刺志野、むさし野、Musashinoの武蔵野
学部長 土屋 忍 教授
古代の日本列島に中国大陸から漢字が伝来し、漢文が輸入されると、漢字を話し言葉に当てはめた万葉仮名が使われるようになります。8世紀に成立した古事記や日本書紀、万葉集では万葉仮名が用いられて書き記されました。例えばムサシノクニの場合、古事記では「無耶志国」、日本書紀では「武蔵国」と同じ音にいくつかの字が当てられ、同じムサシノクニを表す場合でも万葉仮名の表記には揺れが見られました。日本に現存する最古の歌集である万葉集には地名としてのムサシノを詠んだ歌が5首ありますが、「牟射志野」とも「武蔵野」とも表記されました。
やがてひらがなやカタカナを使って独自の物語を紡ぐようになり、11世紀には、源氏物語が生まれました。その頃には「武蔵野」という漢字の地名表記が定着し、源氏物語の「武蔵野」は、そこに生育する植生のイメージを引き出し連想させる役割を担いました。19世紀までには欧州との交渉を通じてアルファベットが伝来し、音を表記するためのローマ字も使われるようになります。そして、20世紀に入ると、土岐哀果がローマ字短歌集『NAKIWARAI』(1910年4月、ローマ字ひろめ会)を上梓します。
 
Musashino wa kataoka-tsuzuki, 
Namisugi no hazue akarami, 
Haru to narikeri.
 
上記は、もともと「むさし野は片岡つゞき並杉の葉すゑ赤みて春となりけり」という縦書きで発表された歌でしたが、それを横書きのローマ字で表し、3行分ち書きのスタイルで表現しています。『NAKIWARAI』をとりあげて批評した石川啄木は、3行分ち書きの形式を採用し、第一歌集『一握の砂』(1910年12月、東雲堂書店)を世に出します。
土岐善麿(号として哀果・湖友)は、学生時代に若山牧水らととともに「武蔵野」を散策し、湖友名で「むさし野」短歌を新聞紙上に連載しました。その中の一首が「むさし野は片岡つゞき並杉の葉すゑ赤みて春となりけり」(『読売新聞』1907年3月31日付)でした。それから60年近くを経て、文学の聖地である武蔵野の教壇に立つことになります。
土岐善麿は、1965年に開学した武蔵野(女子)大学の文学部日本文学科主任教授に着任し、1979年まで教壇に立ち、本学の基礎を築きます。「日本語」で書かれた「文学」は、世界中のさまざまな場所で書き継がれ、多言語に翻訳されて読み継がれ、「日本文学」として今に至ります。その歴史は1500年を超え、その表現形式は、詩、歌謡、和歌、物語、説話、小説、戯曲、随筆、評論、短歌、俳句、漢詩、能・狂言、歌舞伎、児童文学など多種多様です(日本の小学生、中学生、高校生は、「国語」という科目でそのごく一部を学んでいます)。
武蔵野大学の文学部では、15名の専任教員を配し、1500年の時を経て今を形成しているすべての時代のすべての形式の「日本文学」を学べるカリキュラムを構築しています。調査、研究、創作を実践的に行う少人数科目も用意しています。
土岐善麿(1885-1980)は、歌人であり、研究者(文学博士)であり、現代国語の基礎を確立した日本語学者であり、館長として戦後の日比谷図書館を再建した図書館人であり、新作能の作者であり、駅伝を発案企画した新聞記者であり、全国の学校の校歌280曲を作詞した作詞家でした。武蔵野大学では、土岐先生の文学的業績の大きさを拠り所にして文学部を発展させてきました。
武蔵野の教壇に立った土岐は、「このいのちこのひかりこそわれらのもの 春はいま武蔵野に 学園にあり」と詠み、「ここに学ぶと初めて立ちし校庭の 花の四月の初心忘るべからず」などの愛唱歌を多く遺しました。
武蔵野は文学の聖地です。武蔵野には文学の「いのち」があり「ひかり」があり、「学園」があります。武蔵野大学は総合大学ですので、他学部からの学びもあります。日本で日本の文学を学びたいなら、武蔵野に来てください。「校庭」に立って「初心」を抱きましょう。

沿革

1924年築地本願寺で産声をあげる(関東大震災の被災者の学習支援のため)
1926年築地から武蔵野キャンパスに遠足(約2500本の黒松の苗を植樹)
1941年黒松30本を皇居外苑に奉納(3月に移植)
1965年4年制大学としての開学
文学部を創設(大河内昭爾・亀井勝一郎・土岐善麿を中心に)
1972年能楽資料センター創設(土岐善麿を中心に)
2002年仮設の能舞台を新築(講堂で能や狂言の上演ができる大学に)
2008年武蔵野文学館の登録(名誉館長に大河内昭爾が就任)
2018年むさし野文学館竣工(文学館のある大学に)

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