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2023.09.22

日本文学文化学科生の作品が第34回東京学生映画祭にて観客賞を受賞

8月18日〜20日にかけて開催された第34回東京学生映画祭で、文学部日本文学文化学科4年生の伊藤 遥香さんが監督を務めた作品「万年幻想曲」が「観客賞」を受賞しました。同作は、本学学生8名が製作した映画作品で、脚本は文学部日本文学文化学科4年生の森貞 茜さんが務めています。

日本文学文化学科生の作品が第34回東京学生映画祭にて観客賞を受賞1

東京学生映画祭は日本で最も長い歴史を持つ、国内最大規模の学生映画の祭典です。
学生の製作した映像作品を全国から募集し、コンペティション形式でグランプリを決定しています。
過去の受賞者には『EUREKA』青山 真治監督、『アヒルと鴨のコインロッカー』中村 義洋監督、『君の膵臓を食べたい』月川 翔監督、『ちはやふる』小泉 徳宏監督、『溺れるナイフ』山戸 結希監督をはじめ、現在の日本映画界の第一線で活躍する多くの才能を輩出しています。

受賞作「万年幻想曲」

母子家庭で育った主人公、天。母である陽子は、心理カウンセラーとして忙しい毎日を過ごしている。ある時、ピアニストを目指す友達の彩葉が、陽子のカウンセリングを受けていることを知る。実の親子のように彩葉へ寄り添う陽子の姿に、天は複雑な感情を覚える。天の誕生日の翌日、久しぶりの陽子とのお出かけに心躍る天。しかし、連れてこられたのは、彩葉のピアノのコンクールであった。天の中で何かが狂い始める…。

【コメント】

伊藤 遥香 さん
まずはこのような賞をいただき、スタッフやキャストのみなさん、小谷先生、そして関わってくださったすべての方々への感謝の気持ちでいっぱいです。私が創作活動を始めたきっかけは、過去の自分を救いにいきたいという理由にありました。中高時代のバスケ部での様々な感情や記憶を無駄にしたくない、という思いが原動力となっています。今回、初監督として制作を進めていく中で、小谷先生から頂いた助言のひとつに「主役は監督の自己投影」という言葉がありました。まさに私の根本にある想いと、作品における監督の役割が合致し、当時の閉塞感を存分に込めて制作に当たりました。特にこだわったラストシーンは、言葉ではなく、映像だけの表現を長く使用しています。作品を見た人それぞれが解釈を持ってもらい、また現状の「ままならなさ」を改めて訴えたいという思いを込めました。現実において、人はすぐには変われない、努力が報われることは少ない、と私は感じます。だからこそフィクションであっても簡単に主人公を救いたくないと強く思います。今後はこの作品で得たものを活かし、限りなく現実に寄り添いながら自己と主人公を重ね、制作を続けていきたいと思います。

森貞 茜 さん
初めて脚本に挑戦した作品が目に見える結果となり、驚きと嬉しさを感じています。脚本作りにあたって、主人公を取り巻く客観的な出来事を描くことで物語を進めるよう心がけました。主人公の母との関係、友人との関係、先生との関係を記録のように描きながら主人公の心の内に迫っていく展開になっていますが、あれは誰が悪かったとか、あの時こうしておけばよかったとか、そういった第三者目線の主観や教訓めいた表現はなるべく排除したつもりです。そんな脚本を基にして、監督や演者をはじめとする現場の皆さんが、作中の当事者である登場人物たちに命を吹き込んでくれました。作品を観てくださった方それぞれが第三者視点から、あるいは登場人物に自分を重ね、自分なら主人公へどのように手を差し伸べるか考えてくだされば、それもまた物語の推進力になることと思います。

土屋 忍 武蔵野文学館館長/文学部長
高校野球で言えば、部室も用具も持たない無名の野球部が常連校をおさえて甲子園に出場し、さらに勝ち上がりを見せたような快挙です。本学からの入選者は2人目、受賞は初めてです。ふりかえってみれば、文学部は受賞ラッシュ。コロナ禍をはさみ、ここ5年間だけで10以上の賞(和漢連句研究、俳句、俳句評論、書道、映画、日本語学、武蔵野文学館、能楽資料センターなど)を受賞してきました。学生たちがそれに続いてくれたかと思うと、感無量です。

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