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Vol.03

「近江商人の三方よし経営とは!?」

先日、近江商人の末裔である塚本喜左衛門さんのお宅にお伺いし、お話を伺いました。六代目塚本喜左衛門さんは、京都にあるツカキ株式会社代表取締役の他、NPO法人三方よし研究所理事長などもされています。幼少期に過ごしたという邸宅は滋賀県東近江市五個荘金堂町(町並み保存地区)にあります。また、東近江市立近江商人博物館にも伺いました。昔の日本に思いを馳せることのできる、風情のある町でした。

三方よし経営とは、売り手よし、買い手よし、世間良し。これは日本のウェルビーイング経営の走りではないかと思っていたのですが、まさにそうでした。売り手よしとは、単に自分達が儲かることではなく、自分達の人格形成を行なうことも重視する概念なのだそうです。子供の頃からどうやって値切るかを教え込む一方、芸術や文化に勤しみ、高い人格を形成する。買い手よしは、単に商品やサービスを手に入れるのみならず、長期的に繁栄すること。世間よしは、単に税金を払って社会に利益を還元するということではなく、長期的に良い社会をつくること。

コインの表にピンチと書かれている時、裏にはチャンスと書かれている、というお話が印象的でした。明治維新、関東大震災、第二次世界大戦、東北地震などの大きな変化(ピンチ)が訪れた時、そこで人々をいかに救うかを考えて、ピンチをチャンスに変えるのが、近江商人だとおっしゃるのです。誤解を恐れず近江商人の考え方を述べるなら、社会の役に立つこと(利他)と、貪欲に利益を追求すること(自利)の、高いレベルでの両立だと思いました。仏教で言う「自利利他円満」です。自分の利益と、お客様や社会の利益が丸く満ち足りて円満であること。

ウェルビーイングの研究結果から見ても理にかなっています。自分の利益ばかりを求める人はわがままになって友達をなくすので不幸です。利他ばかりの人も自己犠牲になりすぎてバーンアウトに陥るリスクがあります。自分の幸せもよく考え、同時に他人の幸せのことも考える人が幸せ。まさに近江商人の三方よしですね。

夕食は、愛知川町にある料亭竹平楼に伺いました。明治天皇が2回も行幸されたという料亭です。ここには、渋沢栄一さんの晩年の書「業精干勤」も掲げられていました。業〈ギョウ〉は勤〈ツト〉むるに精〈クワ〉し。学業は勤めれば勤めるほど精通する。こちらもウェルビーイングの研究成果と付合します。成長意欲が高く、学ぶ人は幸せです。ちなみに、私が勤務する慶應義塾大学の伊藤公平塾長も、伊藤忠兵衛の来孫。近江商人の末裔です。何歳になっても学び続け、自利利他円満を実践する人生を送りたいものですね。

料亭竹平楼にある渋沢栄一の書「業精干勤」

料亭竹平楼にある渋沢栄一の書「業精干勤」
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