HOME教育学部文学部日本文学文化学科武蔵野文学賞「高校生部門」

武蔵野文学賞 「高校生部門」

2023年度武蔵野文学賞「高校生部門」発表

第12回 選考結果

武蔵野文学賞「高校生部門」の選考結果は以下の通りです。
たくさんのご応募ありがとうございました。

小説部門


最優秀賞

松井孝輝 市立札幌開成中等教育学校6年 「セヴンティーン・ブルーの生命線」

審査員特別賞

該当なし

優秀賞

宇津木咲来 常磐高等学校1年 「ヴァニタスの檻」 

受賞候補作

石井彩音 角川ドワンゴ学園S高等学校3年 「わたし小説」 
福地優良 クラーク記念国際高等学校2年 「循環」 
間宮光里 高等学校卒業程度認定資格    「オレオレ」
渡邉葵  国際基督教大学高等学校1年  「生類」

予選通過作

大森智華 愛知県立豊田西高等学校2年「赤と色、それが僕」
加藤紗礼 女子学院高等学校1年             「クルミ」

俳句部門


1句単独の部  俳句部門1句単独の部

最優秀賞

該当なし

優秀賞

該当なし

佳作

朝日七星  静岡理工科大学星陵高等学校2年
石塚瑞貴  白鷗大学足利高等学校2年
河田徹平  埼玉県立和光国際高等学校1年
福田光琉  埼玉県立和光国際高等学校1年
福田理紗  洗足学園中学高等学校1年
舟橋知美  東京都立戸山高等学校3年
村松奏哉  東京大学教育学部附属中等教育学校2年
山口陽菜乃 新潟県立新潟中央高等学校3年

複数句の部

最優秀賞

該当なし

優秀賞

清水航  洛南高等学校2年      「背骨のやうな」
千田大和 岩手県立花巻北高等学校3年 「泳ぐ」

佳作

戒能李咲 福島県立安積黎明高等学校3年 「花は葉に」
西野奏子 自由学園女子部高等科1年   「石の色」

土岐善麿短歌賞


1首単独の部 土岐善麿短歌賞 1首単独の部

最優秀賞

山下啓太 鳥取県立鳥取東高等学校3年

優秀賞

磯田有季 神奈川県立横浜緑ケ丘高等学校2年

佳作

石破真緖  鳥取県立鳥取東高等学校3年
澤友貴   鳥取県立鳥取東高等学校3年
武富愛音  東京家政学院高等学校1年
永岡詩歩子 武蔵野大学高等学校3年
平野慎悟  東京都立新宿山吹高等学校1年
前田明星  鳥取県立鳥取東高等学校3年
安田芽愛来 鳥取県立鳥取東高等学校3年


連作の部

最優秀賞

齋藤千穂 宮城県泉館山高等学校3年 「流転」

優秀賞

磯田有季 神奈川県立横浜緑ケ丘高等学校2年 「自販機の影」

佳作

西頭陽生 開成高等学校3年       「Blue Ray」
秀嶋瑞季 熊本県立熊本高等学校3年   「社会の保健室」 
平野慎悟 東京都立新宿山吹高等学校1年 「死んでから飲む水」 
古地陽一 豊川高等学校3年       「余命二時間」

評論部門


該当なし

授賞式

日時    令和5年12月10日(日)15:00~16:30
会場     オンライン

武蔵野文学賞授賞式2023

受賞者および選考委員

選考委員による選評

第12回 武蔵野文学賞「高校生部門」選評(小説部門)
第12回 武蔵野文学賞「高校生部門」選評(俳句部門)
第12回 武蔵野文学賞「高校生部門」選評(土岐善麿短歌賞)

選考委員

西本 照真

本学 学長

 

三田 誠広

作家・本学 名誉教授

 

宮川 健郎

本学 名誉教授

 

土屋 忍本学 教授 
町田 康作家・本学 教授 
楊逸作家・本学 講師 
三浦  一朗本学 教授 
堀切 克洋俳人・本学 教授 

井上 弘美

俳人・本学 客員教授

 

寺井 龍哉歌人・本学 専任講師 
林 あまり歌人・本学 講師 
河路 由佳歌人・本学 研究員 
横山 未来子歌人 


過去の作品

第30回(令和4年度)受賞作品

第30回(令和4年度) 武蔵野文学賞

第11回高校生部門 受賞作品一覧

小説部門

最優秀賞

「あかる」 横山若菜 千葉県立東葛飾高等学校3年

審査員特別賞

該当なし

優秀賞

「此の岸より想う」上井莉里佳 神奈川県立大磯高等学校3年

受賞候補作

「残る燕」   五十嵐蓮太郎 北海道札幌南高等学校2年
「彼女の痛み」 冨藤すず   大阪府立富田林高等学校2年
「淡紅色と青藍」半田咲那   慶應義塾湘南藤沢高等部3年
「とうし」   松波佑奈   岐阜県立加納高等学校2年

予選通過作

「夕景の君は」浅見裕也 埼玉県立熊谷高等学校2年
「未来樹」  大島晴斗 盈進中学高等学校2年
「雪国の秋」 横山悠太 日々輝学園高等学校東京校3年

俳句部門


1句単独の部

最優秀賞

荒井よつば 東京都立足立高等学校3年

優秀賞

武藤龍之介 海城高等学校2年

佳作

青葉菫珠  千代田区立九段中等教育学校1年
穐田進太郎 海城高等学校3年
安和音南  興南高等学校3年
稲垣優一朗 宮城県仙台二華高等学校2年
伊葉小夏  今治精華高等学校3年
宇都宮駿介 愛媛県立松山東高等学校3年
小林菜々美 国際基督教大学高等学校3年
今野花南  宮城県仙台第三高等学校1年
関口菜々子 昭和第一学園高等学校3年
関口双葉  山梨県立都留高等学校2年
 

複数句の部

最優秀賞

神尾雛子 浜松学芸高等学校2年

優秀賞

該当なし

審査員による選評

第29回(令和3年度)受賞作品

第29回(令和3年度) 武蔵野文学賞

第10回高校生部門 受賞作品一覧

小説部門

最優秀賞

「青空に」  市村 涼香  北海道芸術高等学校 3年

審査員特別賞

該当なし

優秀賞

「いくじなし!」  成田 有倫  東京都立武蔵丘高等学校 3年

俳句部門


1句単独の部

最優秀賞

小林 千律菜  東京都立国際高等学校 2年

優秀賞

伊藤 栞奈   洛南高等学校 2年
佐藤 詠人   東京都立砂川高等学校 3年

佳作

大熊 梓遠   岐阜東高等学校 2年
大規 千華   福島県立福島西高等学校 3年
風間 瑠海   武蔵野大学附属千代田高等学院 2年
神尾 雛子   浜松学芸高等学校 1年
佐藤 秋雅   愛知県立豊橋西高等学校 2年
鈴木 駿大   群馬県立高崎北高等学校 2年
高橋 瞬次   春日部共栄高等学校 3年
村田 陽代莉  星野高等学校 3年
矢部 優希   学習院女子高等科 2年
吉田 有沙   福島県立福島西高等学校 3年

複数句の部

最優秀賞

南 幸佑    海城高等学校 2年

優秀賞

該当なし

審査員による選評

第28回(令和2年度)受賞作品

第28回(令和2年度) 武蔵野文学賞

第9回高校生部門 受賞作品一覧

小説部門

最優秀賞

小説「引っ越し祝い」  三善 早葵さん  明星学園高等学校 3年

審査員特別賞 (書き手の可能性を高く評価し、特例として審査員特別賞を贈ります)

小説「夏霞」  小田 栞さん  渋谷教育学園幕張高等学校 1年

優秀賞

小説「岬の海」  杉山 梨奈さん  群馬県立太田女子高等学校 3年


俳句部門

1句単独の部

最優秀賞

該当なし

優秀賞

伊藤 彰洋さん   愛知県立豊橋西高等学校 1年
佐藤 琳利子さん  岩手県立水沢高等学校 3年

佳作

釜江 康太さん  洛南高等学校 2年
斉藤 志桜さん  武蔵野大学附属千代田高等学院 1年
鈴木 萌晏さん  岩手県立水沢高等学校 3年
髙橋 朱音さん  岩手県立水沢高等学校 2年
新美 陸人さん  武蔵野大学付属千代田高等学院 2年
藤井 万里さん  立教池袋高等学校 2年
山之内 崇伸さん 豊川高等学校 2年

複数句の部

最優秀賞

該当なし

優秀賞

野城 知里さん  星野高等学校 3年

審査員による選評

※クリックするとPDFが開きます


第27回(令和元年度)受賞作品

第27回(令和元年度) 武蔵野文学賞

第8回高校生部門 受賞作品一覧

最優秀賞

小説「Memento」  史 浩安 さん  渋谷教育学園幕張高等学校 2年

優秀賞

小説「青のペンキ塗りがソコにいた」  野尻 晃生 さん  千葉県立津田沼高等学校  1年
小説「放課後の延長線上」       杉山 梨奈 さん  群馬県立太田女子高等学校 2年
小説「ドアノブ」           小濱 賢太 さん  筑波大学附属駒場高等学校 3年


授賞式

日時    令和元年12月15日(日)12:30~13:30
会場     武蔵野キャンパス

武蔵野文学賞高校生部門2019

受賞者およびご家族と審査員


受賞作品講評

選考委員
武蔵野大学名誉教授

三田 誠広

最優秀賞

「Memento」  史 浩安 さん

高校時代に男子2名女子1名で海辺の民宿に行く経過が重厚な描写で語られる。細部がきっちりと押さえられているので語られる世界に現実感がある。しかし物語の終盤に到るまで何ごとも起こらない。やや退屈な展開ではあるのだが文体の緊張感で読者を最後まで引っぱっていく。やがて突如としてカタストロフが生じ、物語の数年後という設定の前後の枠の部分が、作品の世界に奥行きをもたらしている。必要以上に主人公の心理を語らない抑制された文体に特色があるのだが、少し抑えすぎていているようにも感じられる。過剰にセンチメンタルになる必要はないが、ヒロインの感性をもっと見せてほしい。

優秀賞

「青のペンキ塗りがソコにいた」  野尻 晃生 さん

数年前に祖父が亡くなりいままた祖母が亡くなった。葬儀に出向いた主人公が、祖父母の家の近くの橋の下で作業をする不思議な人物と遭遇する。大小さまざまな黒い物体に青いペンキを塗って川に流すという作業をひたすら続けている、この謎のおじさんの存在感が、作品に不思議な余韻を残す。この人が何ものでこの作業が何のためのものなのか、最後まで明確な説明はないのだが、人を失った悲しみと関わっているということは伝わってくる。あまり説明しすぎないところが、この作品の特色で、効果を上げているようにも思うのだが、主人公のキャラクターにもう少し工夫があってもよかったかなと思われる。
「放課後の延長線上」  杉山 梨奈 さん

幻想的な雰囲気をもった不思議な図書館の話。この図書館の設定がおもしろい。現実には存在しない図書館なので一種のファンタジーなのだろうが、図書館の細部にもいろいろと仕掛けがあって、読者はその不思議な世界に誘い込まれていく。図書館のどこかにある秘密の宝箱。現実世界のいざこざに巻き込まれ傷ついた主人公が、やがてその宝箱を発見する。果たしてその宝箱の中に何が入っているのか。そこにも幻想的な仕掛けがあって、読者を最後まで飽きさせない。作者が設定した作品の世界観が、夢のような話に確かな実在感を与えている。
「ドアノブ」  小濱 賢太 さん

複数の視点で語られ、そのつど謎が解き明かされていくという手法が楽しめる。とくに最初の視点が、ネコの語りになっているということが、次の「お兄ちゃん」の視点になった時に明らかにされるくだりは、仕掛けがうまく機能している。ネコだけが留守番をしている時に、怪しい人物が侵入して、開かずの間となっている物置から、絵を一枚盗みだし、さらに外れていたドアノブをつけていく。この犯行の謎がやがて明らかにされていく展開にはそれなりのおもしろさがあるのだが、謎解きに終始して、登場人物の個性や人間性が充分に描かれていない点が惜しまれる。

第8回受賞作品 ※クリックするとPDFが開きます


第26回(平成30年度)受賞作品

第26回(平成30年度) 武蔵野文学賞

第7回高校生部門 受賞作品一覧

最優秀賞

小説「月に向かって手を伸ばせ」  吉川 結衣 さん  岐阜県立大垣北高等学校 2年

優秀賞

小説「主役は舞台にあがれない」  保坂 凪砂 さん  十文字高等学校     1年
小説「屋上の雨」         松田 奈央貴 さん  つくば開成高等学校   3年
小説「優しさの用量」       若林 美優 さん  川崎市立高津高等学校  3年


授賞式

日時    平成30年12月16日(日)12:30~13:30
会場     武蔵野キャンパス

武蔵野文学賞高校生部門2018

受賞者およびご家族と審査員


受賞作品講評

選考委員
武蔵野大学文学部教授

三田 誠広

最優秀賞

「月に向かって手を伸ばせ」  吉川 結衣 さん

エッセーふうの文体ですが、文学好きで感性をもった女子が、図書館司書のおじさんから聞いたことに触発されて、考えをめぐらせていく、その思考の経路が丹念に描かれています。小説としての設定がなく、何事も起こらない話ではあるのですが、エッセーのようでいながら、充分に読者を惹きつける文章力があり、最後まで読者をひっぱっていく筆力はなかなかのものです。司書のおじさんが少しパターン化しているようにも感じられるのですが、切れ味のいい作品に仕上がっていることを高く評価しました。

優秀賞

「主役は舞台にあがれない」  保坂 凪砂 さん

これは一種のファンタジーなのでしょうが、先輩が書いた戯曲の中に主人公が入りこんでいくという着想がおもしろく、ただのファンタジーよりも少し先に行っているという感じをもちました。それなりに起承転結があって、この種の話にありがちな空疎な夢物語ではなく、小説としての骨格をもった作品です。ただリアリティーのないこの種の作品の場合は、細部の描写などで仮想現実の存在感をより強固に確立する必要があります。その点が少し弱いかなと感じました。
「屋上の雨」  松田 奈央貴 さん

前回も入賞した書き手です。作品の傾向が前回と同じ感じで、懐かしさもありますが既視感も憶えました。イメージの捉え方が鮮やかで、描こうとしている世界が読者に伝わるところは評価できるのですが、とてもセンチメンタルな作品で、時に文章が感傷的になりすぎるところがあります。こういうものが好きな読者にとっては、そこが作品の山場ということなのでしょうが、より広い読者に感銘を与えるためには、少し抑え気味に書くということも考えていいのではと思います。とはいえ雨の屋上という冒頭の設定が魅力的で、美しいシーンに仕上がっています。
「優しさの用量」  若林 美優 さん

ファンタジーというか、おとぎ話のような文体です。描かれている世界に通常の意味でのリアリティーはないのですが、この種の作品は、作品なりの世界観があり、その世界に固有の法則性みたいなものがあればいいので、その意味では、しっかりとした法則が確立されています。「優しさ」という一種の効能をもった作用には、薬のような用量があって、その用量をオーバーすると死に到るという原理が設定されているのです。姉の死をめぐる謎を求めて旅に出た弟が主人公ですが、旅の過程で少しずつ謎が説き明かされていく展開が魅力的です。

第25回(平成29年度)受賞作品

第25回(平成29年度) 武蔵野文学賞

第6回高校生部門 受賞作品一覧

最優秀賞

小説「コンピート・メモリー」  武市 あかね さん  秋草学園高等学校 2年

優秀賞

小説「夜を恐れず、朝へ行く」  田中  颯英 さん  学校法人明徳学園相洋高等学校 3年
小説「疑問」          小野田 千恭 さん  山手学院高等学校 2年
小説「拝啓、天国の君へ」    松田 奈央貴 さん  つくば開成高等学校 2年

授賞式

日時     平成29年12月17日(日)12:30~13:30
会場     武蔵野キャンパス

武蔵野文学賞#25_01

受賞者およびご家族と審査員


受賞作品講評

選考委員
武蔵野大学文学部教授

三田 誠広

最優秀賞

「コンピート・メモリー」 武市 あかね さん

音楽学校のオーディションに参加した2人の女の子の話です。ヒロインの方は凡庸な人物ですが努力家です。もう一人はやや気まぐれなところがある天才肌の女子です。小説や映画にはコンペティションものというジャンルがあります。人柄と才能の違いが、コンペを通じて明らかになっていくというもので、この作品もそういう段取りで話が進んでいきます。努力家のヒロインが、天才肌の女子の歌唱を聞いて、自分の限界を知るということになります。話の仕組みがやや図式的ですし、そこで歌われるミュージカル『キャッツ』の主題歌の内容に寄りかかっているところも問題ですが、書き手のモチベーションはよく伝わってきます。文章のレベルも高く、難しいテーマに挑んでよくもちこたえていると感じました。

優秀賞

「夜を恐れず、朝へ行く」 田中 颯英 さん

同じ高校の女子が亡くなったというところから話が始まります。主人公の男子は、この女子のことを気にしているような、いないような感じなのですが、何かの拍子に「どこでもドア」ふうの仕掛けで、怪しい領域に迷い込んでいきます。そこで運命を操る謎の女に「何か後悔することはないか」と訊かれて、その女子の話をします。すると過去にワープして、タイムパラドクスふうの展開になっていきます。このような時間を前後させる話はドラマやコミックスでもくりかえし書かれているので、新鮮さはないのですが、テンポ良く話が進んでいくところに筆力を感じました。
「疑問」 小野田 千恭 さん

高校の女生徒2人が図書室の隅で奇妙な本を見つけます。いくつかの「疑問」が書かれています。その疑問に2人で回答していくうちに、個性の違いが判明していく……それだけの話ですが、何気ない会話の中に、それまで気づかなかった、お互いの個性の違いがわかり、理解を深め合うといった内容です。スリルはまったくないのですが、翌日になると二人がその本の存在を忘れているという設定が、それなりに効いていると思います。偶然に出会った謎の書物をきっかけに、日常性を超えた哲学的な疑問と遭遇し、ごくふつうの女の子たちが、その不思議な領域に踏み込んでいくさまが、無理なく描かれています。
「拝啓、天国の君へ」 松田 奈央貴 さん

電車の中で偶然に出会った女子のことが気になって、あとを追う男子の話です。テンポよくエピソードが展開していき、この女の子の謎めいているところが作品の魅力でもあるのですが、最後に設定が明らかにされると、やや拍子抜けになります。それでも途中までは魅力的で、よく書けていると思いますし、女の子のキャラクターがいきいきと描かれているところは評価できます。さらに主人公が最後に「死」と向き合うことになるその場面を、誠実に書き切っているところには好感がもてます。気持ち良くよめる作品です。

第24回(平成28年度)受賞作品

第24回(平成28年度) 武蔵野文学賞

第5回高校生部門 受賞作品一覧

最優秀賞

小説「ゼンマイ」    齋藤 晴生 さん   文教大学付属高等学校 3年

優秀賞

小説「象牙の塔を出る」   吉本 みほ さん   長崎県立諫早高等学校 3年
小説「喝采」        磯崎 美聡 さん   清泉女学院高等学校 2年
小説「希望の残滓」     井上 稜麻 さん   福岡舞鶴高等学校 3年

授賞式

日時     2016年12月18日(日)12:30~13:30
会場     武蔵野キャンパス

武蔵野文学賞 「高校生部門」授賞式の様子

武蔵野文学賞 「高校生部門」授賞式の様子02


受賞作品講評

最優秀賞

「ゼンマイ」 齋藤 晴生 さん

今回はSFやファンタジーの応募作が多かったのですが、この作品はリアルな現代小説です。女の子が2人いて、片方の女の子が、好きな男子とお祭りに出かけます。でも途中ではぐれてしまって・・・というような話です。まず高校生の生活をリアリズムで書こうとした意欲を評価したいと思います。小さな作品なのですが、よくまとまっています。とくに2人の女子の微妙な心理が的確に押さえられて、それがストーリーを作っている点に書き手の力量を感じました。登場人物のキャラクターがしっかりと描き分けられており、そのどれもが好感のもてるものだというところも評価できます。

優秀賞

「象牙の塔を出る」 吉本 みほ さん

近未来を描いたサイエンスフィクションです。人工的に人間を合成する研究者と、助手と、合成された少女(天使のような羽根を背中につけています)と、実験の対象となる合成人間の診察をする女医が登場します。冷徹な研究者に対し、助手と女医は批判的な目で見ており、怒りを感じたりもするのですが、最終的には、この研究者にもわずかな心の温もりがあるということがわかります。展開やイメージ作りが荒削りで、完成度はそれほど高くないのですが、近未来の世界を何とか描ききろうとした意欲は評価できます。何よりもこの合成された少女のイメージが麗しくて、心に残りました。
「喝采」 磯崎 美聡 さん

現代の女子校にいる女の子が、謎の回転ドアみたいなもので、エリザベス1世時代のイギリス王朝にタイムスリップします。そして、過去と現代を行ったり来たりするという話です。そのタイムスリップの仕組みがイメージとしてわかりにくいので、小説としての迫力が不足しているのですが、中世のイギリス王朝の雰囲気がそれなりに伝わってきます。少し書き急いでいて、現代の部分の展開が不足しています。ヒロインと、もう1人の女子が出てくるのですが、キャラクターの描き分けが充分ではないので、エンディングの効果があまり出ていないのが残念です。
「希望の残滓」 井上 稜麻 さん

近未来のサイエンスフィクションです。世界全体が廃墟になっています。人類は壊滅状態ですが、なぜか生き残っている男女2人が、荒廃した世界をさまよい歩きます。ありきたりな設定ではあるのですが、文章がしっかりしていて、それなりに前向きな感じの結末になります。2人のキャラクターも描き分けられていますし、ある程度の筆力があると認めてよいと思います。しかしながら、設定そのものに新味がないので、小説としての魅力は充分ではありません。セリフもしっかりと書かれてはいるのですが、もっと緊張感がほしいと思います。

第5回受賞作品 ※クリックするとPDFが開きます

第23回(平成27年度)受賞作品

第23回(平成27年度) 武蔵野文学賞

第4回高校生部門 受賞作品一覧

最優秀賞

小説「甘くて苦い。」     日暮 彩奈 さん   埼玉県立芸術総合高等学校 3年

優秀賞

小説「冬の雛」             赤澤 藍 さん
小説「一冊の約束」           亀原 慶貴 さん   つくば秀英高等学校 2年
小説「銀河鉄道とスマイルトレイン」   上釜 葉月 さん   東京都立稔ヶ丘高等学校 3年

授賞式

日時     2015年12月20日(日)12:30~13:30
会場     武蔵野キャンパス

受賞作品講評

最優秀賞

日暮 彩奈さん「甘くて苦い。」

高校生の男女のバレンタインデーをめぐる、ささやかではあるけれども心温まるエピソードです。幼なじみであまりにも親しすぎる日常性の中に、恋心が秘められているという、よくある話ではあるのですが、プロットの展開が巧みに構成され、文章がみずみずしくて惹き込まれます。登場人物のキャラクターも印象的に描き分けられていますし、結末に到る展開もよくまとまっています。
赤澤 藍さん「冬の雛」

幼なじみの中学三年生の男女の話です。雛のような弱々しい印象だった男の子が、いまは背が伸びて、名門高校から推薦の指名が来るほどのバレーボールの選手になっています。ヒロインは知的ですが、やや暗い感じで、男の子が自分から離れていくのではと不安になっています。恋愛ともいえない少年と少女の淡い思いが、安定した文体で描かれています。少し叙情に傾きすぎているところもあるのですが、筆力を感じさせる作品です。
亀原 慶貴さん「一冊の約束」

いつも図書館の同じ席にいる女の子に目をとめた少年が主人公で、その女の子の幻想的なイメージがしだいに増幅していって、ミステリアスな展開になります。リアリズムからファンタジーに移行していくプロセスが、丹念な描写によって支えられているので、結末の設定にも違和感がありません。さりげない導入部から、種明かしの過去のエピソードまで、かなり長い展開を破綻なく描ききったところにパワーを感じます。
上釜 葉月さん「銀河鉄道とスマイルトレイン」 

淡い詩のような文体で、高校一年生の繊細な優しい少年を描いています。文体が弱く、設定もおとぎ話のような感じなのですが、幻想的なヒロインに対置される同級生の明るい女の子に、個性と存在感があって、物語のリアリティーを支えています。幻想の中の銀河鉄道と、現実の本川越行きの電車の対比が鮮やかで、物語の幅を広げています。風景描写など、もう少し散文的な展開があれば、小説らしい作品になると思います。

第4回受賞作品 ※クリックするとPDFが開きます

第22回(平成26年度)受賞作品

第22回(平成26年度) 武蔵野文学賞

第3回高校生部門 受賞作品一覧

最優秀賞

小説「朝陽」   赤澤 藍さん   東海大学付属仰星高等学校 2年

優秀賞

小説「河川敷のゆび」      岡村 恵理香さん   東京都立上水高等学校 3年
小説「桃夜五夜」        辻 茉莉絵さん    東京都立忍岡高等学校 3年
小説「ヒロイック・ヒール」   伊藤 帆乃香さん   日本女子大学附属高等学校 3年

授賞式

日時  平成26年12月21日(日) 12:30~13:30
会場  武蔵野キャンパス 7号館5階 大会議室A

武蔵野文学賞第22回01

武蔵野文学賞第22回02


受賞作品講評

最優秀賞

赤澤 藍さん「朝陽」

まじめな女の子と、つっぱりふうの女の子。住む世界が違っているような二人が、偶然再会して、そこからドラマが広がっていきます。生い立ちも性格も異なる二人の人間が、しだいに親しくなっていく過程に、人間というものの不思議な側面が見えてきて、ちょっとスリリングな感じの気配も漂ってきます。作者のまなざしに温かさがあり、なかなかに奥の深い作品に仕上がっていると思います。

優秀賞

岡村恵理香さん「河川敷のゆび」

高校生の男の子と女の子の、とてもピュアな関係が、明るく美しく描き出されます。現代の高校にもこんな男女がいるのかなと思われるほどに、知的でおっとりとした感じで話が進んでいきます。そこがこの作品の魅力でもあるのですが、何だか昔の話みたいな気もします。話がうまくまとまりすぎていて、少しスリルが不足しているかなとも思われるのですが、作者の文章力、構成力に、書くことへの意欲と将来性が感じられます。
辻 茉莉絵さん「桃夜五夜」

これはいつの時代の話でしょうか。江戸川乱歩や夢野久作が活躍した時代のファンタジーのようですね。桃園に夜な夜な現れる幽霊のような美少女と、そこに魅入られてしまった男との、幻想的な物語が魅力的に語られます。作者はこういう世界が好きなのでしょう。まったく現実離れした世界ではあるのですが、作者の美意識がしっかりと書き込まれていて、それなりにリアリティーがあり、楽しめる作品になっています。
伊藤帆乃香さん「ヒロイック・ヒール」

高校生の男女の話。ちょっと危ない感じの話です。こういう話はリアリティーを確保するのが難しいものです。大丈夫かな、と思いながら読み進んでいくと、やっぱりストーリーの設定が先に立って、人間の造詣が不充分です。ですから全体が作り物という感じに見えてしまうのですが、でもストーリーを語っていこうという意欲に引っぱられて、最後まで読んでいけます。人物のデッサンさえちゃんとすればもっといい作品になります。

第3回受賞作品 ※クリックするとPDFが開きます

第21回(平成25年度)受賞作品

第21回(平成25年度) 武蔵野文学賞

第2回高校生部門 受賞作品一覧

最優秀賞

小説 「しまんちゅぬ まぶい」   岡村 恵理香 さん   東京都立上水高等学校  2年

優秀賞

小説 「冬に咲く花」     市川 弥佳 さん   清泉女学院高等学校  1年
小説 「真冬にかき氷」    山下 美穂 さん   自由の森学園高等学校  3年
小説 「きゅうり」      中根 恵美 さん   東京都立小金井北高等学校  3年

授賞式

日時  平成25年12月22日(日) 12時30分〜13時30分
会場  武蔵野大学 武蔵野キャンパス 6号館2階 第3会議室

日本文学文化学科学「武蔵野文学賞 高校生部門」


講評

最優秀賞

岡村恵里香さん「しまんちゅぬ まぶい」

風景が美しいスケールの大きな作品

沖縄を舞台にした作品です。東京から沖縄に転校した女の子がしだいに沖縄の風物になじんで、最後に淡い恋をするという話です。父親とのいさかいなどもテーマになっていて、よく考えられた構成になっています。何よりも沖縄の風景が美しく台詞も活きています。スケールの大きな物語で細部にもよく目が行き届いています。とくに若者たちの感じやすい感性と微妙な心理の揺れ動きが的確にとらえられていて、背景の沖縄の風物の描写と相俟ってすばらしい作品に仕上がっていると思いました。

優秀賞

市川弥佳さん「冬に咲く花」

詩的な叙情性が魅力

花屋のアルバイトをしている若者のところに、不思議な感じの女性の客が来るというところから話が始まります。登場人物は他には花屋の店長だけでコンパクトにまとまっています。作り物めいたお話ではあるのですが、文章がしっとりと落ち着いていて、詩的な叙情性もあり、全体が過不足なくまとまっています。哀しい感じの作品ではあるのですが、書き手も登場人物も前向きに生きようとしていて、そこに好感をもちました。
山下美穂さん「真冬にかき氷」

ユーモアに満ちたいきいきとした会話

喫茶店のやや怪しい感じの女と、若者2人の交流の話です。この怪しい女のキャラクターが傑出していて、ユーモアもあり、かなりの筆力を感じます。話そのものはショートショートのようなものなのですが、いきいきとした会話で最後まで読者を飽きさせません。人生そのものに対する作者の見識を感じさせる魅力的な作品です。この怪しい女のキャラクターを活かして、もっと長い作品に挑戦するといいと思います。
中根恵美さん「きゅうり」

現実を見つめる姿勢を評価

最初に甘いきゅうりが出てくるところが面白いのですが、話の展開は少しごちゃごちゃしていています。ただ両親との微妙なズレを最後まで粘り強く書ききっているところと、お話としてまとまりの悪いところに、妙なリアリズムを感じます。高校生の応募作には絵空事のようなファンタジーが多いのですが、この作品には鈍い手応えがあります。文学というものを現実からの逃避ととらえるのではなく、現実をしっかりと見すえるために小説を書くという姿勢を評価したいと思います。

第2回受賞作品 ※クリックするとPDFが開きます

第20回(平成24年度)受賞作品

第20回(平成24年度)

第1回高校生部門受賞作品一覧

最優秀賞

小説「みずうみメルヘン」    岡崎 佑哉 さん   新潟県立六日町高等学校  2年

優秀賞

小説「油彩のつながり」    小林 薫子 さん   帝京大学高等学校 3年
小説「落涙のとき」      渋谷 咲 さん    秋田県立秋田西高等学校 3年
小説「青宙は、続かない」   千野 穂香 さん   山梨県北杜市立甲陵高等学校 1年

授賞式

日時  平成24年12月16日(日) 12時30分〜13時30分
会場  武蔵野大学 武蔵野キャンパス 6号館2階 第3会議室

※諸般の事情により、高校生部門の授賞式は日程を変更して実施します。

武蔵野文学賞第20回01

武蔵野文学賞第20回02


講評

最優秀賞

岡崎佑哉さん「みずうみメルヘン」

想像を絶した圧倒的なパワーに驚く

いまの高校生はどんな小説を書くのだろうと楽しみにしながら、どうせあわい恋心を描いた甘い作品が多いのだろうなと、いささか懐疑的な気分で選考にあたったのですが、この作品を読んで驚きました。ものすごいパワーですね。病気の女の子が出てくるのですが、この子に同情するといった安易な態度ではなく、その背景にある社会全体に対して敵意をもった主人公の、モラルの破壊を恐れない大胆な行動が、すごい筆力でテンポよく展開されます。ちょっと危ない感じの才能ですね。でも、それでいいんです。若さというものはそういうものです。「いい子」になってしまったらおしまいです。心の中に怒りの火をかかえて、とことん暴れてみればいいのです。もちろん、ほんとに暴力をふるうのはよくないですよ。でも小説という虚構の中では、常識やモラルなんてぶち壊してしまえばいいのです。

優秀賞

小林薫子さん「油彩のつながり」

感傷をひかえた静かな眼差し……完成度の高い作品

高校生の初恋ともいえないほのかな思いを描いた佳品です。いかにも高校生が書きそうなテーマですが、この作品の完成度の高さに驚きました。高校生の書き手にありがちな、センチメンタルなところが少しもない。油絵を描いている男子のその絵に惹かれていくうちに、その男子に恋心に近い感情をもつようになる少女の多感な心の動きが、丹念に、そしてきわめて冷静に描かれています。文章がいいですね。情景がしっかりと書き込まれ、感情に流れずに、禁欲的といってもいいほどに、抑えぎみに書かれています。軽いライトノベルに慣れた読者には、テンポがゆるいと感じられるかもしれませんが、文学というのはこれくらいでいいのです。テンポがゆるいからといって中身がうすいわけではありません。むしろ一瞬、一瞬に、ものすごい緊張感が感じられます。こういうのを「筆力」というのですね。すごい才能だと思います。
渋谷咲さん「落涙のとき」

年上の女子の大人の魅力……こんなのよく書けるね

大学の映画サークルに所属している感性の豊かな男子学生と、不思議な魅力をもった先輩女性との、恋愛ともいえない(でも恋愛でしょ、これは!)ほのかな関係を描いた秀作です。大学一年の男子と社会人の女性という年齢差から生じる距離感が微妙な筆致で描かれ、そのもどかしさが効果をあげています。作者は高校生ですよね。自分より年上の人のことを書くというのは、とても難しいのです。がんばって書いても、いかにも背伸びしているって感じがして、ボロが出てしまうことが多いのです。でもこの作品は、安定しています。わたしの小説ゼミの学生でも、大人の女性をこんなふうには書けません。書き手が高校生だと考えると、驚異的です。よくこんなの書けるね……と、自分の高校生のころを想い出したりもします。少し苦言をいえば、タイトルですね。これでは読者に先を読まれてしまいます。
千野穂香さん「青宙は、続かない」

ういういしい!心がツンと痛くなる!

英語塾に通う小学生女子のみずみずしい感性を描いた作品です。ささやかな触れ合いの中から、しだいに思いがつのっていく過程に、すっごくリアリティーがある。大人が読んでもどきどきします。ぼくのような老人が読んでも、心がツンと痛くなる。このぐらい若い子たちの恋愛を描こうとすると、思いが先走って泣いたり叫んだり、モノローグ調になりがちなのですが、この作品は全体が控えめに書かれている。そういうところに才能が感じられます。作者は、実は、1年生です(応募の時点で)。甲子園で、1年生のピッチャーが、すごいコントロールをしている、そんな感じです。でも最後のところで感情が爆発して、ちょっとコントロールが乱れているのですが、そこがまた、ういういしい! いいですね。魅力的な作品です。

第1回受賞作品 ※クリックするとPDFが開きます


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