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Vol.06

「ブッダの言葉」

宗教には科学では説明できないスーパーネイチャー(形而上学、自然科学では説明できない事柄)が存在すると考えられがちですが、宗教の側では、そうでもないという発言が結構されているのだということについて、前回、述べました。もちろん、宗教にも多様性はあるというべきでしょうが。
 
で、宗教では、ウェルビーイングに関す多くのる発言がされています。キリスト教は愛の宗教と呼ばれることもあるくらい、愛について語られていますが、今回は、前回からの流れで、哲学・思想としての仏教について考えてみましょう。
ブッダの言葉をそのままとどめたと考えられている、『ブッダのことば ―スッタニパータ―』という本の、第一 蛇の章 八 慈しみ に次の一節があります。
 
「いかなる生物生類であっても、怯えているものでも強剛なものでも、悉く、長いものでも、大きなものでも、中くらいのものでも、短いものでも、微細なものでも、粗大なものでも、目に見えるものでも、見えないものでも、遠くに住むものでも、近くに住むものでも、すでに生まれたものでも、これから生まれようと欲するものでも、一切の生きとし生けるものは、幸せであれ。」
 
生きとし生けるものは幸せであってほしいというブッダの願いです。
 
ブータンを訪問したときにも、この願いが息づいていることを感じました。ブータンの仏教はチベット仏教の一部だと考えられています。チベット仏教は大乗仏教。五体投地というすさまじい祈り方で、世界の生きとし生けるものの幸せを願うことが知られています。
 
五体投地とは、五体(両手・両膝・額)を地面に投げ伏して、仏や高僧などを礼拝することです。仏教において最も丁寧な礼拝方法の一つとされていて、日本でも天台宗・真言宗では行われています。チベット仏教では五体投地しながら少しずつ前に進んでいき、巡礼するというスタイルを取ります。ブータンでの祈り方はチベットのそれとは異なっていましたが、基本的な考え方は似ています。
 
ブータンで、ガイドさんとともにタウツァン僧院に参拝したとき、ガイドさんに言われたことが印象的でした。
 
「ブータンの仏教は大乗仏教。大乗仏教は、大きな乗り物の仏教。だから、乗り物に乗ったみんなの幸せを願うんですよ。自分のことも願ってもいいですが、まずはみんなの幸せを願ってくださいね」
 
はっとしました。日本の仏教も大乗仏教。なのに、自分や家族のご利益のことばかり願っていないでしょうか。ぜひ、願うときには、みんなの幸せも願いましょう。
 
祈る人は幸せ、という研究結果もあります。願いましょう。
 
祈る人は幸せ、という研究結果もあります。
 
あなたが幸せでありますように。あなたの愛する人が幸せでありますように。あなたの苦手な人も、嫌いな人も、憎しみ合う人も、戦う人も、みんな幸せでありますように。人間以外の動物も、植物も、八百万の生きとし生けるものが幸せでありますように。人類が環境問題や格差の問題、パンデミックの問題、紛争や戦争を克服し、わたしたちの子孫も幸せでありますように。
 
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